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ジェーニャさんのこと [声優(ひと)]

今回ガルパンの劇場版でジェーニャさんという声優さんが出演されている。

ロシア生まれのロシア人の方で、
2005年から日本に活動の場を移し、
現在まで声優やロシア語の監修等で活躍されている。

自分がこの人を知ったのは、
確か十年以上前に、

「ロシア人のものすごいオタクがいる。」

というこれまたおそろしくいい加減な情報からだった。

けっこうこのときはネットでも文字媒体でも話題になっていたが、
日本でその後活動されているということはじつは知らなかった。

じっさいwikiをみても、
2009年頃まではあまり活動のそれがみえてこない。

ただそれ以降自分のみているアニメにことごとく出演されているので、
メインではなかったにせよ、
そういう意味で名前だけはなんとなく印象として残っていた。

ただそのときおりみかけるジェーニャさんが、
かつてみかけた「すごいロシア人のオタク少女」と同一と分かったのは、
じつはずいぶん最近のことだった。

またその名前を覚えるきっかけとなったのも、
じつは本人の生まれがノヴォシビルスクだったからということ。

ノヴォシビルスクといってもピンとこないかもしれないが、
ロシア音楽マニアでは、
この街に1956年創立されたノヴォシビルスク国立フィルハーモニー交響楽団の、
その音楽監督を創立時から亡くなるまでじつに51年間つとめた、
名匠アルノルト・カッツという人がかなり有名で、
それでノヴォシビルスクという名前が印象に残っていた次第。


そのためジェーニャさんは失礼ながら、
じつは声優としてあまり印象には残っていない。

だから印象に残ったのは今回のガルパンが初めて。

そんなジェーニャさんがブログでとても印象に残ることを書いていた。

http://ameblo.jp/jenya/entry-12098181494.html
http://ameblo.jp/jenya/entry-12109212261.html

上記にリンクしたのでそれをお読みいただくと、
声優のたいへんさと、
それがかなったときの充足感というのが、
とても手に取るように分かる。

また水島監督の声優に対するスタンスというか、
愛情と機会を与える姿勢というのも良くわかる。

ほんと声優の努力に対してリスペクトをしてくださる監督だ。


ジェーニャさんにとって、
おそらく日本でのそれは当初予想としたものとは違い、
長期戦になればなるほど、
ひとつのジレンマみたいなものを抱えていたように感じられる。

軌道にのりそうでなかなかのらない声優のそれ、
本人はロシア人としての特性ももちろん活かしたいだろうけど、
日本の声優として認められたいというのが、
どこか気持ちに強くあったと思う。


だから正直ガルパンの「ノンナ」などは、
自分がやりたいと思ったところもあっただろう。

ファンの中にもネットで

「ジェーニャさんというロシア人の声優さんもいるから登場させて」

というかんじのコメントを書き込んでいた人もいた。


そんな中、
日本に住んで十年目の昨年(2015)、
自分をイメージされてつくられたキャラで、
ロシア語と日本語の両方を駆使し、
とても印象に残るクラーラという役を演じた。


おそらく本人にとってはいろいろなことが去来したことだろうけど、
当然これで日本でのそれが終わりというわけではない。

むしろこれからがいよいよお楽しみというところだろうか。


ただ正直言うとジェーニャさんの日本語はクセが無さすぎる。
ふつうすぎるというか極端にいうと蒸留水みたいなかんじすらする。

さすがに井澤さんや能登さんみたいに、
声そのものが一発芸に近い人は別として、
はたしてこれをどううまく利用していくのかというところが、
これからを左右することだろう。

ただ自分はジェーニャさんのそれを、
細かくいろいろと聞きこんでないので、
ひょっとするとまだいくつか引出があり、
今はそれを開けるのを待機してる状態なのかも。


とにかく世界でいちばん難しい言語とさえ言われてる日本語を、
あそこまで駆使できるだけの努力をしていることを思うと、
いろいろと臨機応変に対応もできることだろう。

それにしても十年前に

「ロシア人のものすごいオタクがいる。」

といわれた人が今は劇場版アニメで素晴らしい役をもらい出演している。

これはやはり掛け値なしに凄いことだと思う。


これからもぜひ日本でより活躍してほしいものです。


しかしこういう人にこそ
「ピーターと狼」のナレーションをしてもらうべきだろうなあ、
クラシック業界は。

まああの業界は柔軟さが足りないというか閉鎖的というかお役所的というか…。


愚痴がはじまったので〆です。


公式ツィッター
https://mobile.twitter.com/jenya_jp
公式ブログ
http://ameblo.jp/jenya/

悠木碧さんについての雑感 [声優(ひと)]

悠木碧さんというと、
自分が知ったのは「紅」の九鳳院紫役。

当時16歳だったというけど、
この当時ですでに芸歴が十年超えていて、
来年(2016)は、
どうもデビュー20周年らしいとのこと。

完全に芸能界とともにその人生を生きてきた、
根っからのプロということだ。

現在でもネット等で、
子役時代のそれをみることができるけど、
みてると賑やかという印象とともに、
無意識で自分の立ち位置というか、
ポジションがどこにあるかをわかっているという、
けっこうまわりがみえているというか、
感じることのできる人という、
そんな印象がある。

でも紫のときはそういうことを知らないでみていたが、
正直
「がんばってる努力はかうけど下手」
という印象が最初にきた。

だけどなんというのだろう、
それでもなんか見ている方に、
演じている役を強く感じさせるというか、
とにかく惹きつける力を感じさせるものがあった。

これ以降悠木さんをよくテレビでみるようになったが、
まあとにかくどこでも一生懸命というか、
ひたすらつたなくとも、
とにかくストレートを全力で投げつつづける、
愚直なまでにいろいろな役を演じていた。

悠木さんは正直、声の色や質に特長が無い。
このため自分の武器は今は全力投球のみという、
そういうかんじでやっていのだろうか、
とにかくそんなかんじがしばらくはしていた。


で「GOSICK -ゴシック-」のヴィクトリカ役あたりからだろうか、
ちょっと陰影のついた演技が感じられ始めた。

たしかにいつまでもかつてのスタイルだと、
いくら悠木さんといえども、
けっこうしんどい状況になっていくのではないかという気がし、
ちょっと心配などもしたのですが、
「あれ、これはおもしろいことになるかも」
などとこのとき思ったりしたものでした。

その後「戦姫絶唱シンフォギア」の立花響役で、
聴いていてなんか息苦しい歌を歌いながらも、
元気で真っ直ぐなだけではない悠木さんが、
少しずつかんじられるようになっていきました。

ですがそんな徐々な変化が、
いきなり一足飛びで大きくなったのが
「ソードアート・オンラインⅡ」のユウキ役。

あれみて驚いたというか、
感心した人ってかなりいたと思うのですがどうでしょう。

自分の今までの特長を失わず、
それでいてああいう抑えて訴えこむ演技。

凄いというか、とにかく驚いてしまいました。

このあたりからでしょうか、
とにかく悠木さんはこういう感じの役も、
目立ってきたような気がしました。

たしかにその演技は共演もよくされている、
悠木さんが私淑している先輩声優の方に、
かなり影響を受けているというか、
そこから自分なりにうまくとりこんでいるという、
そういうふうにも感じられるけど、
これは真似ているというより、
今まで自分がやってきたストレート勝負を、
愚直なまでにここでも行っているという、
そんなかんじがしてしかたがない。

ある意味姿勢がブレてないということだろうけど、
それが20年も芸能界でやってこられた、
ひとつの要因なのかもしれません。

このままいけば悠木さんも安泰かなと思っていたけど、
このまえみた「オーバーロード」のクレマンティーヌ役。

たしかに凄くキレてはいたけど、
あの過剰なビブラートはどうなのかなあと。

正直あれだとなんか往年の林家彦六師匠の、
「ばあ~~~~かあ~~~~や~~~ろう~~~」
みたいで、
「これ笑うとこなのかなあ」
と正直過ぎたるはなんとかみたいな気がしたものでした。


悠木さんまさかこれ読まないよなあ。
読んだら倒れるだろうなあ…。

しかしこの役、
なんか「フルメタル・パニック! The Second Raid」の
夏玉蘭とキャラは正反対ながら、
ちょっと重なるものがあったのもなんかの縁なのかなあ。


まあただこういうところも、
これもまた悠木さんらしいのかなあと、
そんな気もしたりしたものでした。

ただこの方、
とにかくいろんな意味でバランス感覚の良い方なので、
そのあたりもうまく自分にあわせ取り込み、
今後も活躍していくことでしょう。

あと極端な大当たり役がなかったのも、
そういうナチュラルな変化をすることができた、
これまた要素なのかもしれません。

今後さらなる活躍を期待しましょうということで〆。


因みに自分は悠木さんの下の名前。

かなり長い期間読み間違えてました。

「みどり」

と思って信じて疑わなかったんですよね。

「紅」「紫」ときたらやっぱり「あお」だろうなあ。
なんで「みどり」にいっちゃったかなあ…。

うーん…申し訳ありません。

大塚周夫さんの思い出 [声優(ひと)]

大塚さんは自分が本当に幼少の頃から、
その声を聞き親しんでいる。

アニメでは「ゲゲゲの鬼太郎」の「ねずみ男」役。

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そして洋画の吹き替えにおける、
リチャード・ウィッドマークとチャールズ・ブロンソンの声。

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この二つが自分にとっての大塚さんのベースのイメージとなっている。


特にブロンソンの出演映画は当時ひじょうによくTVでも放送されていて、

「大脱走」「荒野の七人」「バルジ大作戦」は、
主役ではないがその印象深い役柄だったこともあって、
大塚さんの声とセットで慣れ親しんだものでした。

そして「チキチキマシン猛レース」のブラック魔王は、
ケンケン役の神山卓三さんとの名コンビということもあって、
これまた大塚さんの当たり役となっていきました。

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その後もルパン三世(1st)の石川五ェ門役。

バビル2世のヨミ役。

ガンバの冒険のノロイ役。

名探偵ホームズのモリアーティ教授役。

そして最近では、

ぬらりひょんの孫のぬらりひょん役。


といったあたりの役が印象として残っています。


それにしても大塚さんは悪役でもひょうきんな役でも、
また男臭い役でもハードな役でも、
その声を変えずに語り口だけでそれらを見事に演じてしまう。

「ねずみ男」とブロンソンなんてちょっとふつう結びつかないのですが、
大塚さんという声でそれが結びついてしまうというところに、
大塚さんの凄さというのを痛感させられてしまいます。

そしてとにかく驚くのは何年経ってもその声の変わらないこと。

最近のぬらりひょん役でも、
かつて聞いたそれとほとんどイメージが変わらない、
凄みを効かせるところはそれこそウィドマークのような雰囲気で、
アニメに洋画の雰囲気を持ち込んだかのような演技をみせて、
正直個人的にはかなり唸らされたものでした。

他にも「銀河鉄道の夜」でも
鳥捕りの役で印象的な役をされていました。

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大塚さんはよくテレビでも拝見していたせいか、
声優として知った方がはるかに早いのに、
俳優でもあり声優でもあるという、
自分はそんなかんじでじつはとらえていた。


だから声優の大塚さんと今回その訃報が掲載されたとき、
確かにそれでもいいのかもしれないけれど、
「声優としても有名な俳優の…」
という言い方でもよかったのではないかと、
じつはそう今でも感じている。


自分のサイトでも、
ニュースのタイトルをそのままやったために最初声優となっていましたけど、
今回は変えてもよかったのかなと、
先ほど変えてしまいました。

青二のそれも俳優となっていましたし。


ああ、それにしてもまたひとり素晴らしい方が亡くなられてしまいました。

あらためて心より深く哀悼の意を表します。


ほんとうに今までありがとうございました。


尚、下のそれは今から50年ほど前の
「ウルトラQ」の「地底超特急西へ」に出演されていた大塚さん。
放送は1966年の3月ですが収録は1965年の12月頃とのこと。

当時はけっこう大塚さんTVの特撮ものによく出演されてました。

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最後に若き日の俳優大塚周夫さんの姿で〆。

井澤詩織さん [声優(ひと)]

井澤さんの声を初めて意識したのは「ガルパン」のそど子役。

それ以来、井澤さんの声を聞くと思わず

「そど子だあ」

になってしまう。


だが井澤さんの声なのですが、
個人的にあの声を聞くと妙に安心してしまうというか、
妙に懐かしい感じがしてしかたがない。


こういうときはたいていかつて同じようなラインの声をもった方が、
声優として活躍されているのですが、
はてあれほど超個性的な声質の声優さんて、
以前いただろうかとちょっと考え込んでしまった。


ただ釘宮理恵さんや新井里美さんが、
各々松島みのりさんや白石冬美さんと、
似たラインの声を一部もっていたこともあり、
井澤さんもいろいろと記憶をさかのぼってみたりした。


そしてやはりいらしゃった。

井澤さんと似たラインの声をもたれてたいた方。

それはかつて昭和のモノクロアニメのときから活躍されていた、

三輪勝恵さん、

だった。

主な役どころでは、

一番最初のモノクロ版「パーマン」の主人公、須羽ミツ夫/パーマン1号役。

「カリメロ」のカリメロ役。

そして「じゃりン子チエ」のヒラメちゃん役と、
「あさりちゃん」のあさり役、

をされていた方だ。


特にヒラメちゃんは関西では現在も有名なので、
ご存じの方も多いのではないだろうか。


それを思うと井澤さんは、
時代が時代ならゴールデンタイムのアニメの主役を、
それこそ何本されててもおかしくないという、
きわめて需要の高い声の持ち主ということになる。


でも現在の井澤さんの役をみると、
ちょっと当時の三輪さんとはかなりポジションが違い、
今の時代はこういうふうに必要とされているのかと、
時代の違いというものを強く感じさせられたものでしたし、
なんかちょっともったいないといいますか、
もう少し違う井澤さんをみてみたいなあと、
そんな気もしたものでした。


ただだからといって、
釘宮さんや新井さんと三人で役をやると、
昭和の雰囲気が復活するのかというとそうでもないんですよね。

このへんが面白いというかなんといいますか…。


とはいえ、

一度井澤さん主演の「怪物くん」。

みてみたいなあ…。

http://piyorivoice.blog64.fc2.com/
(井澤さんのブログ)

永井一郎さんの思い出。 [声優(ひと)]

永井一郎さんというと、
サザエさんの「波平」とか、
宇宙戦艦ヤマトの「佐渡酒造」「徳川彦左衛門」、
うる星やつらの「錯乱坊」等々というあたりが浮かんでくる人が多いと思う。

もちろん他の作品にも多数出演されていたので、
それ以外の作品でのイメージの方が強い方もいらっしゃるだろう。

自分もそのひとりで、
永井一郎さんというと1969-1970年に放送された、
「もーれつア太郎」の父ちゃんこと×五郎役になってしまう。

この作品は今見ると錚々たるメンバーが揃っていたが、
(後にア太郎の子分となるデコッ八役には加藤みどりさんが演じられていた。)
永井さんはその特殊な設定にもかかわらず、
その存在感はピカイチのものがあった。

それから自分は永井さんの声や名前をみかけながら育ち、
そしてアニメ等を見続けていった。

永井さんのようにその声がほとんど変わらず、
しかも役柄によってもその声を変えずに多くの役を演じられている方というと、
TVアニメ放送開始の最初の十年はそれが当たり前のようなところがあった。

ようするに声優さんがそれぞれ自分の声=看板のようものになっていのだ。
最近亡くなられた、青野武さん、内海賢二さん、納谷悟朗さん、田の中勇さんなどもそうだし、
野沢雅子さん、富田耕生さん、中村正さん、古谷徹さん、などもそのスタイルを受け継いでいる、
いわば自分の声を変えずにその名前を大看板にしたタイプの声優さんのひとりといっていいだろう。

特に永井さんは視聴率の高いアニメに多く出ており、
いろいろな役をその強い存在感を決して無理に押し出さず、
そこにいるだけで、存在感を視聴者に強く感じさせてしまう、
ある意味自然体の強さのようなものもあったせいか、
毎日聞いても飽きが来ないという強みもあった。

そしてその声を聞く度に妙に安心感も覚えたりしたものでした。

だけどTVアニメが放送開始されて51年目の今年、
そんな日常があっさりと終わってしまった。
しかも最近今年はじまった新番組「スペース☆ダンディ」の第二話にも、
ゲスト出演されていたばかりだった。

公式サイトには永井さんの笑顔とコメントがある。
http://space-dandy.com/episode/02/

そして番組の公式ツィッターには

「先日放送の第2話にゲスト出演いただいた、永井一郎さんがお亡くなりになられました。アフレコ時もとてもお元気そうで、「一万年生きてるキャラなんて難しいね。俺まだ80年ぐらいしか生きてないから、まだまだ」などとおっしゃってました。心より、ご冥福をお祈りします。」

というコメントがあった。
病気であったわけでもなく、現役バリバリであっただけにほんとうに言葉もありません。

ただ、いまはとにかく「今までほんとうにありがとうございました。」、
という言葉が精一杯です。

あらためまして、心より深く哀悼の意を表します。

今までほんとうにありがとうございました。合掌。

新井里美さん [声優(ひと)]

この前「インデックス」の劇場をみて思ったが、
新井さん演ずる白井黒子の存在感というのは、
やはり格別なものがあった。

新井さんというと最初に知ったのは
「まほろば」での五重人格のヒロインと
劇場版「Zガンダム」のファ・ユイリィだった。

ただどちらも新井さんという名前を強く印象づけたかというと、
じつはあまりそうてでもなかった。

かといって「コードギアス 反逆のルルーシュ」の篠崎咲世子役や
「二十面相の娘」のトメさん役でも、
そのキャラは印象が強いものの、
新井さんならではという印象はあまりなかった。

今見返してみると、
「まほろば」の緑川千百合役などは
黒子のそれを彷彿とさせるものがあるので、
今も昔もそんなに路線が極端に変わったわけではないのでしようが、
とにもかくにも2008年「とある魔術の禁書目録」における、
白井黒子役が爆発的に新井さんの名前を強く印象づけられた。

そしてこのとのときの新井さんの声と演技がとにかく当たった。

それ以来新井さんのこのときの黒子がベースになる役がいくつかでてきた。

「オオカミさんと七人の仲間たち」のナレーション(天の声)。
「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」の白夜叉役などが、
そのいい例だと思う。

このあたりは黒子の声でというリクエストがでていたのだろう。

もちろんそれだけといううわけではないけど、
これが売りになったという感じはある。

正直新井さんの黒子声は
ある意味若本さんのそれに匹敵するくらい存在感がある。
ひょっとするともう普通の演技ができなくなっているのでは?
というくらいインパクトがとにかく強い。

だけどこれくらい個性的な声だとふつうはすぐ飽きられてしまうのですが、
新井さんの黒子声は何故かそういうかんじがしない。

というよりかつてもこれと似た声をかなり長い年月聞いた記憶がある。
いろいろと記憶をほっくりかえしていたら、
白石冬美さんに似ていることがわかった。

考えてみると新井さんと白石さんは劇場版「Z」で共演を果たしているので、
そのときのそれがあったのかもしれないし、
ひょっとすると「白井」という名字から「白石」さんを連想したのかもしれない。
このへんは本人が何か発言されているのだろうか?

それを思うと、これからこの黒子声は、
いろいろな形で需要がでてくるかもしれない。
ただそれはアニメという枠を超えたものとなるだろうし、
アニメでもお子様向けのそれにも拡がってくるかもしれない。

ご本人もすでに家庭をもたれているので、
ある意味適役かもしれません。

とにかく本来もっている声が
ひとつの役がきっかけとなって注目され、
それがある意味需要の高い、
そしてかつて一世を風靡した声と似たライン上にあることで、
ひじょうに注目されるようになった新井さん。

これからどういう方向に活躍の場が向かっていくのか。
ちょっと注目していきたいと思います。

そういえば最近ひさしぶりに白石冬美さんがアニメに出たが
それを新井さんだと思った方がいたとか。

今後白石さんと新井さんの共演というのはあるのでしようか?
これにもちょっと注目。

本多知恵子さんの思い出 [声優(ひと)]

本多知恵子さんの思い出とはいっても
個人的に面識もなく接点も無い。
だからこれから書くことはあくまでも私的な思い出ということになります。

ただそれでも書く気持ちになるのに
丸一日以上かかってしまいました。

本多さんは1981年にテアトル・エコー付属養成所に受験しという。
自分が受験した二年後ということで、
ああ、ということは楽譜コピーして歌ったり、聴音やったりとか、
舞台の上でいろいろやったのかななどと思ったりもした。

あの当時のエコーや俳協の養成所というのは
たしか昼間にバイトなどする時間が無く
夜くらいしかそういう時間がとれなかったという記憶がある。

本多さんもおそらくそういうたいへんな時期を経て
そしてチャンスをつかんだのだろう。

自分がそんな本多さんを知ったのはデビュー作ではなく、
「重戦機エルガイム」のファンネリア・アム役だったと思う。
ちょうど自分がアニメにも少し関係する仕事をし始めた頃で、
「エルガイム」のLPも当時その関係でよくみていたものでした。

ですが自分が本多さんの名前をはっきり意識したのは
「機動戦士ガンダムΖΖ」のエルピー・プル&プルツー役。

とにかくその弾けた明るさと
何にも考えていないようなナチュラルな元気さはインパクト大で、
これによってアムが本多さんだったことを思い出したくらいでした。

アムもプルも基本性格も環境も似たところがあり、
それで本多さんが各々の役を演じたのだろう。
だがそれがとにかく当たった。
本多さんのくったくのない元気印爆発のそれと
またその後の悲劇におけるストレートな演技が多くのファンをつくり、
本多さんの名前を全国区に押し上げたものでした。

だがなぜか昭和から平成になると
本多さんの存在が少しおとなしくなってしまう。
ちょうど林原めぐみさんあたりの世代を中心とした
本多さんより下の世代の女性声優さんが出始めた時期だった。

考えてみると本多さんは、
潘恵子さん、小山茉美さん、島津冴子さんの世代の後、
林原めぐみさんや、三石琴乃さん、久川綾さんの世代の前をつなぐ
声優の質的変化がおきはじめるその間にいたかんじとなっている。

このため前者の中で育っていた本多さんにとっては、
この後者の方々を含めた多くの若手の台頭は、
なかなか難しい立ち位置に平成はじめのころはいたのかもしれない。

正直1990年代の初め頃は本多さんの名前を
自分の意識から消えていた時期がある。
だがその力をみせつけた事がこのときあった。
それは「Voice Artist BOX コレクション本多知恵子」、
というボックス形態のビデオが発売されたときのこと。

このとき他に三人の声優さんと一緒に発売されたのですが、
本多さんの名前を一瞬懐かしいと思ってしまったくらいでした。
ですがこのとき本多さんのそれはけっこう売れたといい、
やっぱり本多さんは強いなあと再認識させられたものでした。

この件以来再び自分は本多さんの名前を意識するようになりましたが、
今考えると、当時本多さんは別にアニメに出ていなかったわけでもなく、
ちゃんといくつかの作品でもレギュラーをされていました。
つまりそう思えるくらいプルをやっていたころの本多さんのそれは、
半端ではないくらい強烈な輝きを放っていうことなのです。

その後本多さんはいくつもの作品に出演をし続け
ある人気アニメではメインキャラの母親役をされたりしていましたが、
その明るさというのはやはり本多さんならではのものがありました。

そして昨年「夏目友人帳 肆」の笹後役でもその名前を拝見し、
先週からアニマックスで再放送もはじまったその矢先、
まさかこのタイミングでこのような悲報に接してしまうとは…。

しかも明るく健康的なイメージがあっただけに尚更です。

病名が多発性の癌だったということで、
まだ若かったということで進行も早かったのでしょう。

私事ですが自分は数年前内臓関係の病気からくる激痛のため
癌患者にも使用するかなり強い痛み止めを受けたことがありましたが、
痛みは多少は弱まるものの(なくなるわけではありません)、
物凄い吐き気と強烈なめまいに襲われたことがありました。

それを思うと本多さんもかなり辛い投薬をされていたのではと思うと、
ほんとうに辛いものを感じてしまいます。

自分なんかよりもお若い方だったので、
まだまだやりたいことがたくさんあったと思います。
それを思うと本当に心残りがあったと思います。

会うは別れの始めといいますが、
ここはその別れを悲しむより
本多さんという声優さんと作品を通して出会い、
そして同じ時代を生きたことを喜び感謝すべきなのかもしれません。

本多さん。
これまでの疲れを癒ししゆっくりとお休みください。
いままでほんとうにありがとうございました。

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「この場所に十字架が立っており、少し下に聖墓があった。それから彼は『あの人はその悲しみによって私に安らぎを与え、その死によって私に生命を与え給うた』と言った。」
http://www.youtube.com/watch?v=JGALZp1b8ec

斎藤千和さん(2011改訂) [声優(ひと)]

斎藤千和さんは、
ちょうど自分がアニメから離れていた時期にデビューされていたため
その初期の活動についてはよく知らない。

そのため最初に齋藤さんの名前を意識してみたのは
「ARIA The ANIMATIO」藍華・S・グランチェスタ役だった。
元気で強気でユーモアもある藍華役がとにかくはまっていた。

そしてもうひとつが「LAST EXILE」のラヴィ・ヘッド役。
元気印満点だけど
ちょっと気持ちが時に強く揺れ動くこのキャラを
これまた真正面から取り組んでいた。

la.png

「ああこういう役が得意なのか」と当時思っていたのですが
その後みた「吉永さん家のガーゴイル」での吉永双葉役。
これが強力だった。
この吉永双葉以来、
この人はドロップキックが得意な元気キャラやらせたら世界一!
と自分は思うようになった。

だがいくらアニメが量産されているこのご時世とはいえ
ドロップキックが得意な元気な女性キャラなど
そうそういるわけではない。
キックをかますキャラならけっこういるが
ドロップキックまでくるとそうはいない。
K1のようにパンチやキックを出す女性キャラはたくさんいるが
プロレスのようにチョップやドロップキックまで出すキャラなどいない
ということだ。

もちろん斎藤さんはドロップキック専門ではありません。
その後もいろいろなアニメでご活躍されていますし
出演作も半端ではないのですが
その素直で癖のない声質からか
あとでエンドクレジットをみて気づくということがままありました。
(ファンの方には申し訳ありませんが…)

もちろんそんなときでも後から見返すと
ちゃんと斉藤さんらしい個性もありますので
そのあたりは言うことはないのですが
やはり個人的には双葉級のパワー全開な主役級をそろそろ…
という気持ちが多少ありました。

そんな中2008年に「ケメコデラックス!」がはじまった。
ドロップキックな主役がご本人にまわってきたのだ。
落ち着いたキャラもいいけど
こういう手数が多くてドロップキックの得意な役は
(もちろん毎回ドロップキックを出しているわけではないのだが)
斎藤さんだけでなければはじまらない。

斎藤さんはとにかく
この規格外ともいえるくったくのない弾けた元気よさを、
手数の多さでさらににぎわせるという強みをもっている。
これはこれでじつに得がたい個性なのですが
ただこういう雰囲気だと
本来はもっとお子様向けのアニメや吹き替えに
どんどん出てきてもおかしくないのですが
なぜかあまりそういうところでもみかけないので
ちょっとこのあたりが残念という気がします。

もう少しこのあたりはさらに年数がたってから、
ということなのかもしれませんが
斎藤さんがこういう方面にでてくれば
小さいお子様にさらに元気を与えてくれるのでは?
などと思ったりしています。

ところで斎藤さんの役をいろいとみていると、
たしかに元気印満点や
それとは一味違う大人っぽいキャラをやったりしてはいいるものの、
その共通点として強気のキャラであること、
そしてその反面脆い面ももっているというところがあります。

それは例えば同じ元気印や大人っぽいキャラをされている
沢城みゆきさんとかなり違うといえるでしょう。

沢城さんは強気な役の場合、脆さをもっていようがいまいが、
それ相応に演じてしまうのですが、
それは声質が内剛外柔型といいますか、
その声の中心にかなりの意志の強さを感じさせるのに対し、
斎藤さんはかなり直線的で勢いのある声ではあるものの、
その強さを勢いで支えている分がかなり大きいためか、
その勢いが欠けると急に強さが希薄になるように感じられる部分があり、
それが脆さを表出するのに大きな武器となっているようです。

ですから強気キャラでも沢城さんの方が演じられる幅はあるものの、
そのはまったときの斎藤さんが凄いほどのの強さをみせるのは、
そういうところに要素があるのかもしれません。

そういう意味では昭和の将棋でいえば
沢城さんが大山名人、斎藤さんが升田名人といったところかな。

この方もこれからのアニメ声優界に無くてはならない
得がたいスペシャリストという気がします。
物まねは下手だけど、ひたぎさんをして「優秀な声優さん」ですので、
ぜひこれからも末永く活躍してほしいお一人です。

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平野綾さんの音楽活動休止宣言雑感 [声優(ひと)]

すでにもう一ヶ月位前の話題ですが、
ちょっとこの話について感じたことを書き込みます。

平野さんのここ最近の活動は
声優業からの撤退、そして音楽活動とTV等への出演に
自らの活動の拠点を動かすことが主だった。

その両輪のうちのひとつが止まってしまった。
ただでさえTVでの立ち位置が未だ不安定なのに、
なぜ今ここで?と正直驚きを強く感じてしまったものでした。

まあここを本人が読んでることは100%ありえないので、
かなりいろいろ書いても本人は傷つかないと思うので書きますが、
正直平野さんは「ハルヒ」の実態がわかっていなかったと思う。

たしかに「ハルヒ」の話題性と瞬間最大風速は凄まじいものがあった。
だが自分はかつてもここに書いたけど
「この作品(ハルヒ)がEVA同様あと十年後また復活するかというと
自分はいささか首をかしげてしまう。」
と書いた。

これはハルヒが徹底的にこだわりとマニア向けの作品であり、
ハルヒそのものか壮大な閉鎖空間アニメだったことがそう思わせた要因だった。

そんな作品によって平野さんは一躍話題の人になった。
だけどそれはアニメやハルヒの領域での話しであって、
EVAやガンダムのようにその枠を超えてきたわけではない。

和田アキ子さんが平野さんやハルヒを知らないといったのも
当然といえば当然なのだ。
ハルヒはEVAでもガンダムでもないし
サザエさんでもなければドラえもんでもないのだ。

そこのところを平野さんは頭ではわかっていたかもしれないけれど
それが想像以上のものだったことを今は痛感していることだろう。

だが話はここで終わればまだよかったかもしれないが、
平野さんはそのことによって自分を見失いつつある、
不味い状況になりつつあるようだ。

平野さんは正直に言わせてもらえば
見てくれとは正反対のたいへん打たれ弱い、
ある意味神経質で、人の言葉をたいへん気にするタイプで、
そのことに深入りしてまわりが見えなくなるタイプの人だと思う。

それはある意味何事も一生懸命という裏返しであり、
その勢いがあり何も雑念が入りこむ余地が無い状況ならいいのですが、
一度何かでつまずくように感じたとき、
それが何であるかを気にしてしまい、
そこから前へ進むペースが次第に鈍化していき、
しかも迷い込んだら後戻りをすればいいものを、
いろいろな人の意見を聞きすぎてしまい、
さらに深い迷いの森に進んでいってしまうという、
そういう方のように感じられてしかたがない。

それが顕著にあらわれていたのが
「涼宮ハルヒの弦奏」
での本番のときの歌い方。
最初出てきたときのその表情、
声はでているが目がやや泳いでいて、
何かあったら一発で非常事態になりそうな表情だった。

これに気づいたのかオーケストラのコンマスの方が
身体でリズムをとってサポートするような仕草をみせていた。
このせいか平野さんは次第に落ち着きはじめ、
二曲目以降はようやく落ち着いたかんじになったが、
一発勝負だった茅原さんのその態度や表情と比べると、
あきらかに大きな差を感じてしまったものでした。

平野さんはそういう意味で何かにあわせて微調整をするとか、
そういう要領のよさや器用な面があまり感じられない。
もっと言わせてもらえば表裏がなさすぎて、
逆にこちらがとまどってしまうようなところがある。

友人が訪ねてきたときに、応接間だけではなく、
整理整頓ができていない居間まで見せてしまい、
訪問者を困惑されるようなそんな人なのだ。
隠しごとなしで自分のすべてを見てもらおうという気持ちなのかもしれないが、
そのタイミングや状況の見方が不器用なのだ。

今回の平野さんのそれは、
まさにそれが極まってしまったための停止宣言と感じられてしかたがない。
問題発言もいろいろとあるけど、
その多くは以上のことを踏まえてみると、
了承はできないけど納得はできる部分が多々あると思う。

ファンに対しての発言もいろいろとあるけど、
あれも一度整理して再度話してもらえれば、
自分はなんとか納まるような気がする。

現在平野さんは音楽を止め声優の活動を大幅に削減し、
TVでの活動を細々と続けるという状況になっている。
本人はひょっとすると
「ハルヒってなんだったんだろう」と
そう考え悩んでいるかもしれない。

ただ間違っても「ハルヒ」なんかなければよかった。
という考えだけはされない方がいいと思う。
宝くじに当ったことは悪いことではない、
悪いとしたらそれで自身を掌握できなくなった、
自分そのものだということを自覚するべきだと思う。

これからをどうするかは平野さん次第だろうけど、
この人、ひょっとすると自分の魅力というものまでわからなくなり、
何をどうすればいいのか思考停止寸前になっているのかもしれません。

そういうときは自分の趣味や得意分野を根をつめてやってみるとか、
またはなんで自分は声優になろうとしたのかという
自分の原点を再発見する旅に出るのもひとつの手かもしれません。

ただひとつ言いたいのは
声優をしたくてもできなくなってしまった川上さんのことを思えば
平野さんの悩みはかなり贅沢なものだということ。

それに平野さんのような悩みは何も平野さんだけでなく、
麻上洋子さんや久川綾さんのようなベテランもかつては経験していること。
歴史は繰り返し、主題と変奏が繰り返され、
それが今回自分のところにきただけのことだということだ。

正直平野さんのここ数年が正念場かもしれない。
だけど時間にまだ余裕のある正念場だ。
この時間をどう活かしどう先に繋げていくか。

若手がどんどん伸びていく今の声優界にどう対峙していくのか。
これで終わる人ではないことだけは確かなので
ぜひこれからのお手並みを拝見したいところです。

それが声優なのかそれ以外なのか関係なしでです。

Aチャンネルと寿美菜子さん [声優(ひと)]

最近やっている「Aチャンネル」。
http://www.a-ch.jp/
(公式サイト)

「けいおん」同様四コマ漫画からのアニメ化だ。

人数も4人、しかも女子高生。
かなり「けいおん」とダブるものがある。

特にうちキャラクター二人はちょっと「けいおん」キャラとダブる。

しかもそのうちの一人の声優さんは「けいおん」からの横滑りだ。

だがそのひとりがここで化けてしまった。
ちょっと珍しいケースかもしれない。
それが寿美菜子さん。

寿さんは「けいおん」のとき琴吹紬役をやっていた。

この作品はもちろん大ヒットしたし
メンバーの五人も人気が高まった。

しかし正直にいうと琴吹紬(以下敬称略)はちょっとその中では
正直弱めのキャラクターだった。
たしかに田井中律(以下敬称略)もそうだったかもしれないけれど、
声優の佐藤さんはかなりこの役のポイントはしっかり握っていた。

だけど寿さんの紬役は何かそれがうまくいっていないというか、
他の4人に比べるとちょっとつかみきってないような感じがした。
だいたいのところはかたまっていたことは確かなのだけど、
どこにポイントがあるのかやや漠然としていたきらいがある。

だけど今回のユー子役はちょっと違っていた。
たしかに同じロングということで
「けいおん」の日笠さんを意識したところが最初あったが、
数を重ねるうちに寿さんがこの役をかなり早い段階で
しっかり自分のものにしていたことが感じられた。

そのせいかユー子がじつにいい感じになっているし、
おとなしいキャラというところは紬と少しかぶるが、
あきらかにキャラの感覚がこちらに鮮明に感じられる。

「けいおん」の時の寿さんとは明らかに違っている。
というより、かなり自信がみなぎっているように感じられたし、
この役は自分のために用意されたようなものというくらいの、
それくらいの確信にみちた雰囲気がある。

「寿さん化けたかな」とこのとき感じたものでした。

ただそれ以上に年末の「けいおん」時の
寿さんの演じる紬が感覚的にどうなっているのか、
これもまた興味津々です。

作品が声優を化けさせたものは今までもありましたが、
今回のようにある程度人気も知名度もある方が
このタイミングで化けるというケースはちょっと珍しい気がします。

これから寿さんがどうなるかはまだ若い方なので未知数ですが、
ちょっとこれからやる役がいろいろと楽しみになりました。

A3.jpg
右端が寿さん演じるユー子。
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