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小泉和裕指揮神奈川フィルハーモニーを聴く。(7/15) [演奏会いろいろ]

加奈フィル.jpg

2023年7月15日(土)
横浜みなとみらいホール 14:00開演 

曲目:
ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調Op.93
ブラームス/交響曲第4番ホ短調Op.98

指揮/小泉和裕


小泉さんを聴くのは今回が初めて。
いつでも聴けると思って油断していたわけではないけどとにかく遅まきながら。

最初のベートーヴェン。

目が覚めるくらい気持ちのいい音が鳴り響く。

その活き活きとした表情と新鮮な響きがホールに力いっぱい綺麗に響き渡ってとにかく素晴らしい。

これにはティンパニーの小林孝彦さんの、跳ね上がるような俊敏なリズム感と、舞台の底から響いてくるような重く大きな音が両立したような音の存在も大きかった。

この後切れ目なく第二楽章。

そしてこの日の白眉だったのがこの第三楽章。

大きな広がりをもった音楽が伸びやかに紡がれていくが、特にトリオに入るとさらに豊かな響きと歌が弦管一体となって奏でられ、日本のオケがついにここまでの演奏をできるようになったのかと感無量になったほど。

最後の第四楽章も頗る素晴らしく、特にその熱量が半端なかったせいか、これほどの演奏なら第七交響曲との組み合わせでも、番号順通り後半にやっても何ら不足無しと思ったほどでした。

神奈川フィルは以前、シュナイトさんとも飯守さんともこの曲で名演を繰り広げていますが、ひょっとしてこの曲とオケそのものの相性がいいのかもしれません。

この跡20分の休憩後後半のブラームス。

冒頭からとにかく音楽が爽やかというくらいに瑞々しく抒情的な雰囲気をもっており、「この曲もペルチャッハで作曲されたのだろうか」と思ってしまうほど、第二交響曲をあたかも聴いているかのような気分になったほどでした。

このとき弦が一時カラヤンがやっていたという弓使いをしていたように見えたのですがどうだったのでしょう。ちょっといまいちハッキリしてないので何ともいえないのですが、弦のこの時の表情もその弓使いに沿った感じだったので、これを表出するためにやっていたのだろうかと、ちょっと気になりました。

全体的には最初に書いたようにとにかく爽やかで瑞々しく、ひじょうに型がしっかりとしていながらも小さくまとまることなく、ここという時にはかなり力強い音が野放図になることなく適格に響いていたという印象で、そのせいかよくこの曲にある「枯れた」とか「枯淡」というイメージがここでは皆無。むしろ人生これからまだまだ壮年期といわんばかりの力強さの方が印象として強く残る演奏でした。

またかなり熱い部分が散見されたものの、狂騒に駆り立ててくるようなことはなく、そういう意味ではひじょうに自制心の強いブラームスという趣も感じられました。

今回が初めての小泉さんでしたが、以上で受けた印章ももちろん強かったのですが、聴いた後に曲の良さをあらためて再認識させられるような指揮という印象を受けました。

そういう意味ではかつて群響に客演していたトゥルノフスキーと似たようなところがありますが、小泉さんの方がもう少しガッチリとまとめてくるように感じられました。

次回小泉さんが神奈川フィルに登場するのは来年初頭のチャイコフスキーの交響曲第1番とのこと。こちらも楽しみです。

あと余談ですが、二か月続けて定期公演のコンマスがどちらもゲストというのはちょっと珍しいような。

因みに今回全身を大きく使ってオケをリードしていたのはセンチュリーのコンマスの松浦奈々さん。そして9月は今春まで東響のコンマスだった水谷晃さんの予定とのこと。

最後に、

この日冒頭先日お亡くなりになられた外山雄三氏を悼み黙祷が捧げられました。
外山氏は神奈川フィルの第二代音楽監督を務められておりました。

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コメント 1

サンフランシスコ人

「小泉さんを聴くのは今回が初めて....」

私は聴いたことがありますよ.....

「ブラームス/交響曲第4番ホ短調Op.98....」

個人的には秋や冬の曲目だと思いますが .....

「二か月続けて定期公演のコンマスがどちらもゲストというのはちょっと珍しいような....」

米国の10大オーケストラでは絶対にないですね....
by サンフランシスコ人 (2023-07-18 02:46) 

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