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本多知恵子さんの思い出 [声優(ひと)]

本多知恵子さんの思い出とはいっても
個人的に面識もなく接点も無い。
だからこれから書くことはあくまでも私的な思い出ということになります。

ただそれでも書く気持ちになるのに
丸一日以上かかってしまいました。

本多さんは1981年にテアトル・エコー付属養成所に受験しという。
自分が受験した二年後ということで、
ああ、ということは楽譜コピーして歌ったり、聴音やったりとか、
舞台の上でいろいろやったのかななどと思ったりもした。

あの当時のエコーや俳協の養成所というのは
たしか昼間にバイトなどする時間が無く
夜くらいしかそういう時間がとれなかったという記憶がある。

本多さんもおそらくそういうたいへんな時期を経て
そしてチャンスをつかんだのだろう。

自分がそんな本多さんを知ったのはデビュー作ではなく、
「重戦機エルガイム」のファンネリア・アム役だったと思う。
ちょうど自分がアニメにも少し関係する仕事をし始めた頃で、
「エルガイム」のLPも当時その関係でよくみていたものでした。

ですが自分が本多さんの名前をはっきり意識したのは
「機動戦士ガンダムΖΖ」のエルピー・プル&プルツー役。

とにかくその弾けた明るさと
何にも考えていないようなナチュラルな元気さはインパクト大で、
これによってアムが本多さんだったことを思い出したくらいでした。

アムもプルも基本性格も環境も似たところがあり、
それで本多さんが各々の役を演じたのだろう。
だがそれがとにかく当たった。
本多さんのくったくのない元気印爆発のそれと
またその後の悲劇におけるストレートな演技が多くのファンをつくり、
本多さんの名前を全国区に押し上げたものでした。

だがなぜか昭和から平成になると
本多さんの存在が少しおとなしくなってしまう。
ちょうど林原めぐみさんあたりの世代を中心とした
本多さんより下の世代の女性声優さんが出始めた時期だった。

考えてみると本多さんは、
潘恵子さん、小山茉美さん、島津冴子さんの世代の後、
林原めぐみさんや、三石琴乃さん、久川綾さんの世代の前をつなぐ
声優の質的変化がおきはじめるその間にいたかんじとなっている。

このため前者の中で育っていた本多さんにとっては、
この後者の方々を含めた多くの若手の台頭は、
なかなか難しい立ち位置に平成はじめのころはいたのかもしれない。

正直1990年代の初め頃は本多さんの名前を
自分の意識から消えていた時期がある。
だがその力をみせつけた事がこのときあった。
それは「Voice Artist BOX コレクション本多知恵子」、
というボックス形態のビデオが発売されたときのこと。

このとき他に三人の声優さんと一緒に発売されたのですが、
本多さんの名前を一瞬懐かしいと思ってしまったくらいでした。
ですがこのとき本多さんのそれはけっこう売れたといい、
やっぱり本多さんは強いなあと再認識させられたものでした。

この件以来再び自分は本多さんの名前を意識するようになりましたが、
今考えると、当時本多さんは別にアニメに出ていなかったわけでもなく、
ちゃんといくつかの作品でもレギュラーをされていました。
つまりそう思えるくらいプルをやっていたころの本多さんのそれは、
半端ではないくらい強烈な輝きを放っていうことなのです。

その後本多さんはいくつもの作品に出演をし続け
ある人気アニメではメインキャラの母親役をされたりしていましたが、
その明るさというのはやはり本多さんならではのものがありました。

そして昨年「夏目友人帳 肆」の笹後役でもその名前を拝見し、
先週からアニマックスで再放送もはじまったその矢先、
まさかこのタイミングでこのような悲報に接してしまうとは…。

しかも明るく健康的なイメージがあっただけに尚更です。

病名が多発性の癌だったということで、
まだ若かったということで進行も早かったのでしょう。

私事ですが自分は数年前内臓関係の病気からくる激痛のため
癌患者にも使用するかなり強い痛み止めを受けたことがありましたが、
痛みは多少は弱まるものの(なくなるわけではありません)、
物凄い吐き気と強烈なめまいに襲われたことがありました。

それを思うと本多さんもかなり辛い投薬をされていたのではと思うと、
ほんとうに辛いものを感じてしまいます。

自分なんかよりもお若い方だったので、
まだまだやりたいことがたくさんあったと思います。
それを思うと本当に心残りがあったと思います。

会うは別れの始めといいますが、
ここはその別れを悲しむより
本多さんという声優さんと作品を通して出会い、
そして同じ時代を生きたことを喜び感謝すべきなのかもしれません。

本多さん。
これまでの疲れを癒ししゆっくりとお休みください。
いままでほんとうにありがとうございました。

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「この場所に十字架が立っており、少し下に聖墓があった。それから彼は『あの人はその悲しみによって私に安らぎを与え、その死によって私に生命を与え給うた』と言った。」
http://www.youtube.com/watch?v=JGALZp1b8ec
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