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ガメラ対ギャオス(1967) [映画]

自分が怪獣に魅せられたのは、
おそらく1965年の1月初めに放送開始となった
「ウルトラQ」をみたからだろう。


その後雑誌等でみた「ガメラ対バルゴン」が気になり、
親に「ガメラ」をみたいとせがんだところ、
ちょうどその夜に「コジラの逆襲」が放送され、
それを見ることとなった。

これが自分にとって初の怪獣映画だった。


その後劇場では年末に上映された
「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」
を観ることになり、
これが自分が初めて映画館でみた怪獣映画となった。


だけど自分にとってより強烈に印象付けられたのは、
翌年(1967)公開された

「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」

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だった。

その後松竹の「ギララ」や日活の「ガッパ」もみたけど、
個人的にはこのガメラ対ギャオスには遠く及ばなかった。


で、今でもこの映画をみることがあるけど、
なぜ子供の時にみても大人になってからみても、
ほぼ同じくらい面白いかというのが、
最近ようやくわかるようになった。


ようするにこの映画は子供向きにつくられてはいるけど、
子供に媚びすぎていない、
そういうつくりになっているのだ。



この作品以降、
ガメラ・シリーズの主役は子供になってしまうが、
ここでは子供が作品の潤滑油というか、
大人だけだとグダグダになりそうなところを、
子供特有のひらめきで話の流れをつくるということに徹し、
邪魔したり出しゃばったりしてこない。

大人のやることを見事にアシストし、
しかもガメラとも仲良しという設定ではあるけど、
後の作品よりは控えめに描かれている。


また子供に大きくスポットをあてているとはいえ、
他の出演者もかなりいい人が揃っていて、
本郷功次郎さんや北原義郎さんという、
おなじみの方たちだけでなく、
丸井太郎さんと螢雪太郎さんの名コンビ、

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そして名優上田吉二郎さんと、

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じつに存在感のある人たちの出演にも、
この作品は恵まれている。

これが子供を突出させなかった要因にもなっている。


しかも丸井、蛍、上田の三氏の演技は、
子供にも受けるしわかりやすいため、
怪獣が出なくても、
このあたりの人たちがでていると
子供もあきることはない。


ほんとうにスキの無い布陣だ。


もちろんガメラ作品らしく、
ガメラが子供を背中に乗せて飛んだり、

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観覧車で背中を寄せて子供をうまく助けられるようにしたりと、

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子供にも喜ばれるシーンも続出している。


そして何といっても画期的なのは、
この二大怪獣が三度戦っていること。


それまでのガメラやゴジラは、
怪獣同士の闘いは大きく二度(二会)がほとんどで、
このため戦いの比重がかなり大きく感じられる。


またガメラとギャオスはお互い二足歩行をすることはあるものの、
二足歩行でぶつかりあうことはなく、
超音波光線と火焔噴射の応酬や、
飛行によるぶつかりあいや、
噛みついての捕捉などをメインとしているため、
ゴジラのような重さと力勝負ではなく、
速さと攻守の切り替えの素早さでみせているので、
今までの怪獣映画にない面白さがある。


ゴジラには絶対できない、
ガメラの長所を前面に出したことでそうなったんだろうけど、
とにかくこれは大当たりだ。


今みると特撮の技術などは、
やはり時代を感じさせるものがあり、
CGに慣れた今の若い人には、
かなり物足りなく見えるかもしれないけど、
作り方やみせ方のうまさは、
今の作品に決してひけをとっていないと思う。


ただ残念なことに、
このときの最初にみたこのガメラが面白すぎたせいか、
その後の「バイラス」や「ギロン」は、
残酷な描写が増えたようにみえたり、
予算縮小等で作品の多彩さが後退したようにみえ、
正直途中から自分の興味から外れていってしまった。


またギャオスのキャラもなかなかで、
正直顔の愛敬はガメラよりもあったように感じた。

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あれで鳴き声が攻撃的なものでなく、
人を好んで食べるという設定がなかったら、
ガメラより子供に支持されていたかも。


また戦うシーンが夜がほとんどだったことも、
作品に迫力とリアルな感じをもたせていたのもよかった。


音楽も伊福部昭門下の山内正さんのそれがまた秀逸で、
ガメラ・シリーズをこの人で統一してもよかったのにと、
今でもそこの部分が悔やまれます。



とにかく昭和の時代、
ゴジラ・シリーズ以外の怪獣映画で、
数少ないそれらと並ぶ名作となった「ガメラ対ギャオス」。


来年(2017)で公開から50年となります。


もし機会があったらぜひご覧になってください。

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「妖怪百物語」 [映画]

1968年3月に公開された大映の映画。

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監督:安田公義
助監督:太田昭和
脚本:吉田哲郎
撮影:竹村康和
音楽:渡辺宙明
美術:西岡善信、加藤茂
録音:大角正夫
音響効果:倉嶋暢
特撮特技監督:黒田義之

というスタッフメンバーで出演が、

大木安太郎:藤巻潤
おきく:高田美和
太吉:平泉征
お仙:坪内ミキ子
新吉:ルーキー新一
林家正蔵:林家正蔵
但馬屋利右衛門:神田隆
堀田豊前守:五味龍太郎
重助:吉田義夫
藤兵衛:水原浩一
伍平:浜村純
浪人一:伊達三郎
浪人二:山本一郎
老僧:荒木忍
浪人の妻:毛利郁子
語り手:内藤武敏

というこれまた豪華版。


これは結果的に京都大映が、
「大魔神」に続く特撮ものとしてつくった三部作の最初のもの。

二作目の「妖怪大戦争」が、
西洋の凶悪妖怪に日本の善良な妖怪が挑むという、
子供にも楽しめる対決もの、
三作目の「東海道お化け道中」が、
オーソドックスな時代劇を前面に出し、
妖怪を控えめにしたものに対し、
この一作目はまさに怪談そのものといったもので、
他の三作同様勧善懲悪がベースとなっている。


自分はこの第一作が、
一般にはいちばん人気のある「妖怪大戦争」より好きで、
けっこう昔からよく見返している。


確かにストーリーもなかなかだけど、
出演者がいい。

特に悪徳奉行を演じている、
五味龍太郎さんは最高で
ラストの妖怪相手の大立ち回りは、
このひとじゃなければできないというくらい、
かなりものすごいことになっている。

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※ここではその照明が素晴らしい。

ときおり、
まわりの妖怪がタジタジしているくらい、
その狂気にみちた振り回しは素晴らしく、
憔悴した表情とあいまって、
このひとじゃなければ成り立たないというくらい、
最高の演技をみせてくれている。

さすが大映を代表する役者さんのひとりです。

他にも、神田隆さんや伊達三郎さん、
吉田義夫さんに水原浩一さん、
浜村純さんに山本一郎さんと、
脇にもおなじみの顔がズラリと揃っていて、
これもまたなかなか壮観。


因みに「お化け道中」では、
上記した五味、伊達、山本の三氏に、
戸浦六宏さんと上野山功一さんが揃うという、
ファンにはたまらないことになっています。



また当時8代目林家正蔵を名乗っていた、
林家彦六師匠の話芸も一部みられる。

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そして当時お笑いで人気のあった、
ルーキー新一さんがいい味をみせてくれている。

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さらには「シン・ゴジラ」で
里見内閣総理大臣臨時代理を演じられていた平泉成さん。

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その平泉さんが平泉征名義で出演されている。

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若き日の平泉さん。当時23才。

とにかくいろいろと見どころ満点で、
ぜひ機会があったらみていただきたい作品です。

特にラストの百鬼夜行。

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これは次作「妖怪大戦争」でさらに昇華されたものとなっていく。


そしてなんといっても特技監督の黒田さんの感覚がとても素晴らしく、
特に照明を活かし江戸時代の怪談風味満点のそれは、
とても半世紀近く前のものとは思えないくらいです。

特撮の監督というと、
円谷英二さんや有川貞昌さん、
湯浅憲明さんや中野昭慶さん、
川北紘一さんや樋口真嗣さんとなるけど、
黒田義之さんもその中に入る名監督だと思います。


尚、この作品では上記したようにルーキー新一さんが出ているが、
「妖怪大戦争」では若井はんじ・けんじ、
「お化け道中」では島田洋介・今喜多代、が、
それぞれ短いながらも出演し、その持ち味をだしている。

これもまた各作品の見どころのひとつとなっています。
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立川の極上爆音上映に行く。 [映画]

立川 シネマシティ/CINEMA TWOの、
「ガルパン」や「マッドマックス」で有名になった、

「極上爆音上映」

に初めて行く。
https://cinemacity.co.jp/

みたのは「シン・ゴジラ」。


本当は「聖地」といわれる「ガルパン」TV版をみたかったけど、
二度抽選に外れその後まったくとれる気配がないので断念、
今回の「ゴジラ」鑑賞とあいなりました。

みたのはa studioの字幕付き。

劇場公式サイトには、

「ベテラン音響家による綿密な調整を施して今作にふさわしく大音量で上映します。
 ただヴォリュームを上げるだけでなく、それでいてやかましくない、クリアな台詞と音楽を両立させるのが「極上爆音上映」。
 ゴジラを目の前にしたときの体感。音のリアリティに引き込まれる没入感。
 シネマシティは【極爆】によって「震・ゴジラ」を目指します。」
https://res.cinemacity.co.jp/TicketReserver/studio/movie/710

じつは聞き取りづらい台詞とかあったので、
字幕版は正直願ったりかなったりだった。


まず映画館の印象。

立川北から歩いて数分のところ。

落ち着いた、
ちょっと懐かしい雰囲気がある映画館。

チケット販売はエスカレーターで上がり二階で。

予約分は左側の券売機で、
当日券は正面窓口というシステムらしい。

窓口か横浜より多いのでこれはうれしい。

ただ席が自分の目で選べない、
係りの人とのやりとりで決めなければいけないのが、
ちょっと面倒。

このあたりはパネルでみれる横浜の方が便利。

中へ入ると、思ったほど大きくは感じない。
スクリーンもふつうに大きいという感じ。

開演前会場内であげたてのポテトを販売していた。250円。

けっこうおいしかったけど、
そんなに数は潤沢にはないようなので、
ご希望の方はお早めに。

座席は普通。

さすがに横浜のようにそれを売りにしてはいないので、
二時間近くになるとちょっとお尻に来るものがあり、
席も前とそんなに広くは開いてないし、
全体の座席ごとの段差による角度も意外に浅く、
前の人の頭が気になることも場所によってはあるようなので、
古いタイプの劇場としては上クラスだけど、
最新のものと比べるとちょっとこのあたり、
気になる人もいらっしゃるかも。

壁はコンクリート製なので、
かなり強い音がくるのかなあという、
そんな気がした。


で、本編がはじまった。

最初に二点だけ不満なところ。


ひとつは低音過多というかボリュームがありすぎ。

もちろんゴジラの足音や、
砲弾の破裂音などはいいのですが、
BGMの一部低音がそれと同じくらいせり出してきて、
効果音がそれに消されてしまっている。

これではせっかくの効果音の効果が半減。

しかも歪んだ音なので、
なんかちょっとただうるさいだけに聴こえてしまった。

また人の台詞でも低音が出すぎたり。
今度はそのせいなのか、
台詞によっては、
ホワイトノイズ?のようなものが一瞬聞こえ、

「えっ何で?」

となってしまった。

音質を売りにしてるのなら
これだったら横浜の方がいいなあと、
ちょっとこのときはガッカリしてしまった。

これは座った席の場所によるものもあるのかも。


だけどそれ以外はかなりのものだった。

音の迫力もIMAXとはちょっと違った良さがあるし、
伊福部さんのオリジナルの音も、
多くのところでIMAXよりははるかにに自然だった。

ただそれ以上に驚いたのは、
台詞が明瞭に聞こえること。

あれだけデカイ音が鳴ってるのに、
台詞が埋没しないし、
しかもかなりハッキリ聞き取れる。

横浜では団子のようになって、
何言ってるからわからなかった台詞が、
字幕付きということもあったのかもしれないけど。
今まで不明もしくは意識してなかった台詞が、
すべて聞き取り理解することができた。

これは素晴らしいとしかいいようがない。

あと字幕付きも最初は煩わしかったけどすぐになれたし、

矢口が泉に

「君のキャラには助けられた」

という台詞が字幕で出たとき、今まで、

「君のキャリアには助けられた」

と聞こえていたので、
こういうところの思い違いが是正されたのは助かった。


とにかく、なかなかのこれは体験でした。

音はただデカいというより、
音そのものの「音圧」に重点を置いた感覚が強く、
これがIMAXとのような鋭角的な響きとは違う、
強く硬質でエッジのハッキリした音というより、
芯の太い量感のある大きな音という、
そういう感じがとにかくしました。

なので自衛隊の攻撃音も、
横浜のそれとは雰囲気が違い、
この音なら「ガルパン」の評判がいいのが、
なんとなく分かる気がしたものでした。

IMAXと違い特別料金でもないので、
そういう意味ではとても良心的な料金設定。

ちょっとした不満はあったけど、
話題になるだけの映画館ということはよくわかりました。


ただ、横浜の西にいるものとしては、
そんなに交通の便がよくないのが残念。

近ければまた行きたいところなのですが…。


「ガルパン」TV版ここでみたいなあ。



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「ビハインド・ザ・コーヴ〜捕鯨問題の謎に迫る〜」を観て [映画]

今年(2016)初めに公開されていたが見逃してしまったものの、
横浜で上映されていたので急遽観に行く。

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http://behindthecove.com/
(公式サイト)


この映画は一般に言われているような
「ザ・コーヴ」へのアンサームービーではない。

なぜ日本がこのようなことをされているかという、
根深い部分への言及がメインとなっている。

実際監督の話によるとこの映画の製作動機は、
2014年の国際司法裁判所における、
日本の捕鯨に関する判決が発端というもので、
シーシェパードや「ザ・コーヴ」とのかかわりは、
太地町でのシーシェパードの非常識な撮影のため、
監督がカチンときたことによるものだという。

このためシーシェパードに対しては、
その実態をそのまま描くことに終始している趣が強く、
ことさら非道に描こうとか、
観ている方にカタルシスを与えるような、
そういうあざとい演出はされていない。


ただそれがために、
そういうことをしなくてもこれだけ酷いのかということが伝わるため、
シーシェパードの狡猾さ痣とさというものが、
ひじょうに分かり易く表現されることに結果なっている。


あとシーシェパードは、
ひじょうに見せ方というか演出が巧妙で、
嘘や目くらましも平気で使うという姿勢がここでも描かれている。

もともと嘘も百回つけば本当になるみたいな集団なのだろう。


人の金で好きなことやって温泉入って飯食って、
それで記念撮影やって、
あることない事垂れ流していくのだから、
こんなお気楽ではた迷惑な集団はそんなに無いだろう。


そんなこともこの映画では描かれている。


ただこの映画。

「ザ・コーヴ」のようにあざとい演出をしてない分、
見やすさとかいうものはあまりない。

http://orch.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06
※(「ザ・コーヴ」」の感想。)

いくつもの事実や発言が素材のままならんでいる所が多く、
些か噛み砕きにくい感触があるのも確かだが、
その分ドキュメンタリー的な要素と雰囲気はこちらの方が強い。


もっともそれは日本人側からみてのそれであって、
この映画は日本というより、
日本以外の国に対して発信することを目的としているため、
他の国ではこういう方が見易く、
理解もとっかかりもしやすいのかもしれません。


映画そのものは途中からシーシェパード云々ではなく、
この映画をつくる動機となった海外への言及、
そして根本的な疑問へと話は続いていく。

ただこのあたり、
些か話が大きくなりすぎたため、
やや散漫になった印象がある。

もっとも「ザ・コーヴ」などは、
この作品などよりはるかに後半散漫なので、
言いたいことを多少粗くともとにかくガンガン提示し、
いきつくとこまでいってしまおうというやり方の方が、
日本以外では説得力があるのかも。


ところでこの映画の終盤のテーマのひとつに、

「よい生き物」「よくない生き物」を決めるものは?

というものがある。


この「生き物」を「宗教」に変えれば、
その問題の難しさと、
第三者が自分の立場だけで軽々しく立ち入れるものではないことは、
じつに明白といえるだろう。

食文化の歴史というのはけっこう難しい。

しかも同じ国でも地域により差がでてくるので、
ひじょうにデリケートなものがある。


この映画の終盤は、
この部分にも焦点をあてているが、
如何せん他国の日本に対するこの問題の根底にあるものが、
あまりにも大きなものとしてこの映画のもうひとつの軸にあるため、
ちょっとこちらの部分の印象が弱くなってる気がしないでもないけど、
シンプルな疑問としてこれを提示したことは素晴らしいと思った。


映画としては決してみやすいものではないし、
観てる人を楽しませてくれるものでもない。


また正直言うと、
たしかにいろいろと提示することはいいことだけど、
やはりちょっと最後他国の日本バッシング云々という部分、
やや強引で資料の薄さみたいものを感じてしまい、
むしろもうひとつの「よい」と「よくない」に、
もう少しこだわってもよかったような気がした。


監督としては踏み込んだ内容にしたかったのだろうけど、
あえて踏み込まず、
「提示」という形でとどめておくことによって、
観ている人に印象として残すという手もあった気がするけど、
このあたりはもうその人その人の考え方の範疇だろう。


さてここからは映画ではなくちょっと私感を。


◎私感その一

自分はこの太地町のことでケネディ駐日大使が、
日本に対して否定的な発言をしたとき、
以下のようなことを書いている。
http://orch.blog.so-net.ne.jp/2014-01-22

この時感じたことと同じことを、
八木監督も感じていたようだ。

あたりまえなんだけど、
こういうときの沈黙は金でも美徳でもなんでもない。

被疑者の黙秘と同じような印象をもたれると思っていいと思う。

だが今回の映画を観ていると、
それができないような重い存在というものも感じられたし、
シーシェパードの姑息で狡猾なやり方を経験すると、
それもまたやりにくいというのはとても理解できる。


このためちょっと考えてしまったけど、
それでもやはり沈黙はよくないというのが自分の結論。


荒っぽいことをしろとは言わないけど、
他国に対してもっと積極的にうってでないというのはやはりダメ。

話の分かりそうな人に直接手紙やメールをうってもいいし、
著名な外国人に打診したっていいだろう。


太地の人たちの辛抱強さに胡坐かいたりつけこんでいる人が、
けっこうこの映画に描かれているだけに、
余計そう思われてしかたなかった。


◎私感その二

イルカやクジラが可哀想だから太地が悪い。
そんな意見もあるという。

だがもしこのイルカがあんこうだったとしよう。

そうなるとシーシェパードが大洗まで来て、
「あんこうの吊るし切り」を残酷だからやめろとか、
「あんこう鍋」を即刻やめろとか、
そういってくるのだろうか。

ケネディ大使があんこうが可哀想だからと意見するのだろうか。


もし今そんなことを言いだしたら、
大洗だけでなく茨城県はもちろん、
万単位のガルパンファンを巻き込んでの大騒動になるだろう。


そう考えるとこの捕鯨問題、
いろんな意味でほんと酷いというか無責任な話ですよ。


しかしなんであんな映画がアカデミー賞とっちゃうかなあ…。


それとシーシェパードって自分達が徳川綱吉にでもなったつもりなんでしょうか。

傲慢ですよ、まったく。


あと反捕鯨って「かわいそう」なのか「絶滅回避」なのか、
ちょっとそのあたりの姿勢がブレてるようにみえるというか、
自分の都合のいい方の理由に、
そのときそのときで行ったり来たりしてるといいますか…、

まあいろんな団体があるようので、
中には真面目にこういうことを考えている所もあるかもしれません。


◎私感その三

じつは自分は鯨の竜田揚げを給食で食した世代なのですが、
正直あんまりおいしくいただいた記憶が無い。

というか鯨は硬いという印象があって、
正直食用としてはぜんぜん好みでもなんでもない。

だからそういう立場からいうと、
本来自分みたいな人間は、
むしろシーシェパードに立ち位置が近いはずなのですが、
あの「ザ・コーヴ」の酷い内容をみて、

「ちょっとこれは駄目だろう」

と思った次第。


それとちょっと念押ししたいけど、

「くじら」「海豚」は可哀想だから食べるのをやめて!

という気持ちはじつは分からないでもない。

自分などは魚の生け作りは慣れとして大丈夫だけど、
さすがに犬の生け作りは生理的に無理。


それと同じことと言われれば、
それはそれで気持ちとしてはじつに受け入れやすいものがある。


だけど、
じゃあそれをそこに住んでいない自分たちが、
それに対してどうこう強制的にやろうとするのは、
やはりそれはちょっと違うだろうし傲慢という感じがする。


しかもそのために手段を択ばないとなると、
それはもうさすがに違うだろうという気がしてしまう。

やはりそこにいる人たちの歴史と文化を尊重してからでないと、
自分達の意見を言うべきではないのではないかという気がする。

そうでないとその瞬間に、
それらすべての環境保護団体は、
現地の人たちを上から目線で指図することを目的とした傲慢な人たちというふうに、
現地からも、
またその現地のある国の多数からもみられてしかたないと思う。

さらにそこに作り事や嘘がちりばめられたら、
信頼も対話も当然成立するはずがない。


そのことからぶっちゃけていうと、
こういう状況が続くことを目的としている、
こういうゴタゴタが延々と続くことが、
シーシェパードや他の環境保護団体の一部の、
じつは最大の目的なんじゃなかろうかと、
自分なんかは疑念を抱いているのです。


まあもうそう思わせちゃったらほんとは最後なんですけどね。


それにしても日本は食事をするとき「いただきます」という。
キリスト教徒などは食事するとき神様にお祈りを捧げるという。

どちらも大切な命をいただくことによって生かしてもらっているという、
深い感謝の念がそこにはある。


このように洋の東西を問わず、
じつは命をいただくということに関しては、
同じ価値観をもっているはずの両者が、
なぜここのところではいがみあわねばならないのか。


今度はこのあたりのことを軸とした、
そんな映画も自分はみてみたいと思った次第です。


ただしこれは「全否定」か「全肯定」かということに発展する可能性もあり、
それが行き過ぎると、
相手を論破した瞬間に自分自身の存在が全否定されるという、
そういう危険性もはらんでいる可能性がある。

そのあたりをはたしてどう描くのか。

自分が生きている間にみることは無理かもしれませんが…。


〆です。
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高倉健と中尾彰の金田一耕助。 [映画]

横溝正史の作品に登場する名探偵金田一耕助。

そういうとかなりの人が
石坂浩二さんや古谷一行さんのそれを思い浮かべる人が多いと思うが、
渥美清さんや西田敏行さんを思い出す人はそんなに多くないと思う。

そしてそれ以上に思い出されないのではないかという人に、
高倉健さんと中尾彰さんがいる。

ともに劇場版一作のみですが、
高倉さんが「悪魔の手毬唄」(1961/ニュー東映)。当時30歳。
中尾さんが「本陣殺人事件」(1975/ATG)。当時33歳。


そしてこの二作品がけっこう捨てがたい魅力がある。
今回はそれらの簡単な紹介。


まず高倉さんの「悪魔の手毬唄」。

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モノクロの作品で90分を切る長さの作品。

これがじつはかなりの曲者。

ネットによると何と脚本家が原作を読まず、
たんなる聞きづてだけでそれを起こしたというのだから、
当時よく原作者がこれをOKしたものだと正直仰天。
(因みにこの作品の原作は「宝石」という雑誌に連載され公開二年前に終了している。)

そのため登場人物もストーリー展開も、
はなはだしく他のこの作品の映像作品と様相が違うし、
かなり大事な部分や要素もバッサリ切り捨てられて、
ほとんど別作品というくらいに改変されている。

はっきりいって、
ローランド・エメリッヒ版「ゴジラ」の金田一版だ。


だがこれを金田一耕助とか横溝作品とかを度外視してみると、
けっこうおもしろい作品にしあがっている。

まず高倉さんの金田一がとてつもなくカッコいい。
しかも歯切れがよく素晴らしくキレがいい。
もう健さん探偵全開という感じだ。
背広にサングラスにスポーツカーも全然嫌味じゃない。

しかも現地でいきなり学生を助手にしたりと、
おそろしく積極的なところもイイ。

また磯川警部役の名優神田隆さんもこれまた、
懐が深くしかもなかなか頼りがいのある人物になっている。

悪役じゃない神田さんというのもなんか新鮮。

そしてヒロインには当時まだ高校在学中だった太地喜和子さんが、
志村妙子名義で出演している。
これがまた高校生とは思えないくらい達者な演技をしている。
太地さんって凄い人だったんだとあらためて痛感。

他にも美空ひばりさんの実弟、小野透さん。
ベテランの花沢徳衛さん。

また悪役として後に名が知られる山本麟一さんも、
清潔ながら早くも悪役名優としての存在感をみせている。

また「和製キングコング」というコメディに主演した、
山口勇さんが冒頭倒れた巨木を力技で動かすシーンに出ている。


そんな人たちがかなり改変された内容のこの作品で、
じつに適材適所でいい役を演じている。

ただとにもかくにも高倉さんの存在感が凄い。

しかもとにかくかなりハマッてる。
佐々木小次郎よりこちらの方が全然いい。

もしこれがシリーズ化されていたら、
案外高倉さんの当たり役になっていたかもしれない。
それくらいの良さなのだ。

警察の嘱託というのもいい設定で、
いろいろと面白いところもあるのになあという感じです。


なぜかDVD化されていないのが残念。
ぜひDVD化してほしいものです。

因みに途中風呂場のシーンで、

「ときにあなた刑事さんですか」
「いやあ僕は違いますよ」

と金田一が話しかけられるシーンがあるが、
これがなんとなく

「ときにあなた健さんですか」
「いやあ僕は違いますよ。

と、健さんの笑顔もあってか、
そう聞こえてしまうのがなんか笑えます。



続いて中尾彰さんの「本陣殺人事件」。

51j26mhzGCL.jpg

こちらはカラーで110分というもの。

さっきの作品に比べるとはるかに原作に沿ったつくりだが、
製作費の関係で時代を1970年代にしたため、
中尾版金田一はジーンズを着こなした、
なんかいかにもATGっぽい雰囲気になっている。


だが中尾さんの金田一は、
服装を除けばかなり原作に雰囲気が近いのかもしれない。

高倉さんのようなスピード感は無いけど、
また声がじつに低くよく通る声のせいか、
台詞にかなりの説得力がある。

これもまたなかなかの金田一さんだ。


またこの作品では一柳賢蔵役の田村高廣さんの存在が大きい。

この冷徹で完全主義者でブライドの塊のような賢蔵を、
じつにしっかりと、
またその病的ともいえる側面までも見事に演じている。

このため中尾さんの金田一と両極でこの話をしっかりと支え、
結果この作品をじつに見応えのある作品にしている。

そして磯川警部役の東野孝彦さんも、
神田さんとは違ってこれまたいい雰囲気の、
友好的かつ庶民的な磯川警部を演じているし、
常田富士男さんが重要な役で出演しているのも見ものです。

また作品の全体が、
後の角川よりも閉鎖的かつ陰惨な雰囲気がするのも、
ある意味では横溝作品にふさわしいかも。

じつはこの「本陣殺人事件」、
この中尾金田一以降映画化されていない。

TVでは制作放送されているが、
角川をはじめ劇場用作品としては、
すでに40年以上映画化されていない。
(公開は1975年9月なので2015年で公開40年。)

そのためこの作品は、
唯一のカラーによる劇場用
「本陣殺人事件」となっている。

翌年から角川がシリーズ化することになる、
石坂浩二と市川昆監督による金田一シリーズとはまた違う、
大作ではない金田一作品ということで、
こちらも未見の方には見ることをお勧めしたい。

もちろん大作ではないが、
安っぽさや手抜き的な雰囲気はいっさいないので、
そのへんは安心できます。

こちらはありがたいことにDVD化されています。

監督は高林陽一さん。そして音楽はあの大林宣彦さん。


しかし中尾さんの金田一。


けっこう抑えた演技をしてるんだけど、
あの目つきと低音で言われるとなんか説得力あるなあ…。

犯人はたまらんだろうけど。


〆。


あと余談ですが、
高倉さんの「悪魔の手毬唄」に出演している、
亀の湯の女中さんをやっている方。

とてもちゃきちゃきしていい感じの演技をされていた。
誰なのだろう。
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ガメラ生誕50年は何かあるんだろうか。 [映画]

今日はガメラシリーズ第一作、

「大怪獣ガメラ」が公開された日にあたります。
今年(2014)で49周年。

つまり来年は50周年となります。

以前角川が来年50周年ということで、
プロジェクトを企画しているという話がありましたが、
その後はどうなんでしょう。

個人的に昭和の四大「G」のひとつということで、
(残りは「ゴジラ」「ジャイアンツ」「ガンダム」。馬場さんは…)
じつはちょっと気になってます。

さすがに「ガメラ対ゴジラ」とか「ガメラ対ガンダム」とかはないだろうけど、
幻の「ガメラ対双頭怪獣W」をつくるとか
何かちょっと一味違う新作が公開されることを期待したい。

いっそガメラが完全に悪役となって暴れまわるというのも面白いかも。


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ロビン・ウイリアムズの「ポパイ」 [映画]

ロビン・ウイリアムズが亡くなった。

最近はいろいろなことがあったが、
その訃報にはやはり寂しいものがある。

自分にとってロビン・ウイリアムズというと、
その最初の主演作となった「ポパイ」が印象に残っている。

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正直ややつくりにいろいろと苦労したらしく、
かなりオーソドックスな雰囲気のつくりで、
正直手堅すぎという印象もあったし、
ミュージカル仕立てにしようとしたところがやや裏目に出たという、
そういう辛辣な意見もあった。


ただ個人的には確かにそうなのかもしれないけれど、
これほど役に適材適所の人材が配置されたコミックの実写ものというのも珍しく、
それだけでも自分はこの作品、
じつはとても気に入っている。

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なんかみてるだけで楽しそうでしょ。

特にオリープ役のシェリー・デュヴァルは、
子供の時その容姿から「オリーブ」という仇名をつけられていたとか。

ブルート役のポール・スミスはもうまんまだし、

日本のアニメの実写版もここまで徹底的に一度はやってみたらと、
これをみたら誰もが言いたくなるほどの配役だ。

まだまだロビン・ウイリアムズは後のような個性全開とはいかないけれど、
そのインパクトはなかなかのものがある。

なぜか日本ではDVD化されていないのがほんとうに残念。

大傑作というわけではないし、
途中ストーリーがややダレるように感じられるところもあるけれど、
それでもぜひまた見てみたい作品のひとつです。

日本版DVDはもうでないのかなあ…。
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「終戦のエンペラー」を観て [映画]

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(公式サイトへは上の画像をクリックされると行けます)

「終戦のエンペラー」を観てきました。

かなり史実に基づいた話ということでいきなりネタバレ展開でいきます。

まずこの映画の主人公はマッカーサーではない。
彼の腹心ともいえるフェラーズ准将が主人公といえる。

彼は日本でマッカーサーから、
十日間以内に天皇を裁判にかけないようにするための資料作成を命じられる。

以降彼の苦悩と若き日の日本女性とのロマンスをからめて、
日本人と天皇との関係に直面していくその姿を
昭和天皇とマッカーサーの会見までを、
フェラーズ付きの通訳タカハシを含めて描いていく。

流れとしてはザックリこんな感じです。
このフェラーズ准将は実在の人物ですが、
ヒロインのアヤとのロマンスは
それに該当するような事実はあるものの、
その身内を含めて多くはフィクションで描かれています。
このため河合道などはこの作品には登場しません。

ただこのロマンスが少々量的に過剰な気がしないでもなく、
このあたりは七十年近く前の日本での出来事を他国で映画として公開するとき、
やはりこういう部分の食いつきが無いと興行的に無理なんだろうなあと、
ちょっといろいろと考えてしまいました。

このため「にほんいちばん長い日」みたいな映画を想像すると、
かなり肩すかしをくってしまうかもしれませんが、
終戦直後のことを扱った映画としては、
多少唐突で情緒に流されたような部分が少なからずあるものの、
かなりの部分じっくりと描きこまれており、
特にそれらは歴史上の人物に対する描き方にあらわれているせいか、
そこそこの説得力を観る側に与えているところも多々あります。


たしかに東条役の火野さんは台詞もなくワンシーンの登場でしたし、
近衛公の中村さんはいささか若い気がしないではないものの、
伊武さんの木戸幸一はその苦悩がよく表出されていましたし、
5月に亡くなられた夏八木さんの関屋次官も、
これまた宮内次官としての重さを感じさせる、
たいへん見応えのある役となっていました。

そしてマッカーサーのトミー・リー・ジョーンズ。
すっかりここ数年テレビで有名になってしまったが、
似てる似てないというより、
とにかく雰囲気というものが妙にあっていたように感じられた。
マッカーサーは士官学校で歴史に残る秀才だったが、
ジョーンズのそれはそういう部分よりも、
「強さ」を前面に出した支配者としてのそれを強く感じさせられるものだった。
そしてちょっと粗野に感じられたのは、
ある意味日本が当時米軍全体に感じていたイメージからきてるのかもしれない。

ところでこの映画は歴史をよく知っているというより、
よく知らない人にとにかく知ってもらおうというつくりのため、
かなり娯楽性の強い演出も見受けられはするものの、
戦後日本の姿というものを、
ある意味感情や感覚に流されない、
かなりさめたというか突き放したようなところもあり、
これが作品に独特の平衡感のようなものを与えていたようにも感じられました。

自分としてはこのあたりにじつはこの映画にとても惹かれるものがありました。

ですがそういう自分にも、
最後昭和天皇とマッカーサーが会見するそのシーンは
正直やはり心中穏やかにみていられるものではなかった。
なんというのだろう、
ちょっと不思議なほどの緊張感となんともいえない感覚に、
強く心を動かされるものがあった。

それはそのときの館内の雰囲気が、
かつて劇場で感じたことのない独特の雰囲気に支配されていたことからも、
それが自分だけの感覚ではない、
ある意味日本人の特に年配の人に多く感じられる共通した思いが、
もちろんそれに対して感動なのか嫌悪なのかは各人分かれるものの、
そこに存在していることが強く感じとられるものがありました。

ただひとつ、
西田敏行さん演ずる鹿島大将。
いくら架空の人物とはいえ、
大将でサイパンと沖縄の両方にいたという設定はどうなのだろう。
海軍ならありえないでもないが、
ちょっとしたことなのですがこのあたりがなんともでした。

とにかく多少甘さは残りますし、
もう少し厳しく現実をつめて緊張感をより増したものにしてほしかったという、
そういう気持ちもあるにはありますが、
そこそこ見応えのある作品ではありました。

あと敗戦後の日本の様子等を描いた映像はじつにしぜんに描かれていて、
このあたりはなかなかよくできていたと思います。

こんなところです。
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映画『相棒SERIES X DAY』を観て来ました。 [映画]

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「相棒」劇場版第四弾。

内容は
2012年3月に終了したSeason 10と
2012年10月にはじまったSeason 11の間の話。

特命係のいないいつものメンバーによる
金融崩壊へのカウントダウンをめぐる捜査。
これが全体のストーリー。

この後はネタバレ込みとなりますので要注意。

今回伊丹さんは三浦&芹沢御両人と別チームになることが増え、
これがサイバーの岩月さんとのコンビの布石となります。

ただとにかく伊丹さんと岩月さんはあわないあわない。
ちょっと「ダイハード3」のマクレーンとゼウスのコンビを思い出してしまった。
しかも伊丹さんはいつものペースを崩さない。

慇懃無礼とナチュラルなおかしさで押し切るいつものパターン。
こうしてみると伊丹さん単独だと亀山さん以上の暴走がちょいちょい顔を出す。
三浦&芹沢御両名と特命係が
結果的に伊丹さんのよきストッパーだったことがここで明確に。

そして次第にその伊丹イズムに岩月さんも染まっていく…。
そんな展開になっていきます。

他のメンバーあいかわらず、
中園参事官の珍しい取調べや
内村刑事部長のやはり珍しい懇願姿とそれをみて狼狽する伊丹さんと、
このあたりなかなか新鮮なシーンが目白押し。

因みに杉下さんはロンドンで休暇中
神戸さんは警察庁長官官房付になっているので
登場シーンは各々短く、しかも伊丹さんとは直接関わっていません。
神戸さんは片山雛子総理補佐官との絡みがあるくらいですが、
ともに重要な役割を今回も担っています。

角田課長はその一癖も二癖もある捜査の仕方やちょっとしたアクションがあり、
これまたちよっと新鮮。

上映時間105分もけっこうあっというまに過ぎてしまいました。

ただ監督が狙っていたというラスト付近の札束乱舞シーン。
それそのものは狙ってるというのならあまり深くは言いませんが、
むしろそこに至るバイクの登場と激突があまりにも唐突で、
このバイクの男が現金ケースを狙ったのか
それともただの事故なのかちょっと中途半端で判然としません。

このあたりの入り方が曖昧だったので、
余計札束のシーンの説得力が薄れたという気が自分はしました。
あれではやはり狂気よりも不自然さと過剰表現の方を強く感じてしまいます。

あそこがしっかりと整頓されていればよりいい作品になったと思われただけに、
そのへんがちょっと残念でした。

それにしても自分もそうですがけっこう笑えるシーンが多く、
会場の中でもけっこう随所で笑いがおきていました。
このあたりの雰囲気、特に伊丹ワールドのおもしろさは映画でも健在です。

相棒、特に伊丹さんファンにはこたえられない映画でした。

しかしそれにしても6月の梅雨時にあんなに走らせるとは。
伊丹さん役の川原和久さんいわく

「30年オファーが遅いんだよ!」

とのこと。コメントまで、まんま伊丹さんでした。
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「ジャックと天空の巨人」を観ました。 [映画]

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http://wwws.warnerbros.co.jp/jackthegiantslayer/
(公式サイト)

以前にも少し触れた「ジャックと天空の巨人」を観ました。
3Dや吹き替えではなく通常の字幕版で鑑賞。

いきなりネタバレ込みで書きます。

とにかく面白い!

内容としては「ジャックと豆の木(つた)」と「巨人殺しのジャック」、
この二作品がベースとしてつくられたという。

舞台は「ジャックと豆の木」が創られたという十二世紀頃のイギリス。
最初は地上でジャックの生活と話のイントロ、
姫との出会いと豆を手に入れたジャック。

姫が夜、城を出たものの大雨にあい、
偶然みつけたジャックの家に雨宿りにくる。

ジャックと談笑中、
昼床下に落ちた豆が雨にぬれたことで発芽。
一気に成長し姫とジャックの家が空高く運ばれる。

その後王様の部下が少数精鋭で木に登り姫の救出へ。
その中には姫の婚約者でじつは野望を秘めた高官やジャックもいた。

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※予告編より

そして天高く伸びる木に登りついたところに天上の大陸のようなものをみつける。

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※予告編より

…といったかんじでこのあと巨人たちとの遭遇となる。

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※予告編より

この巨人がとにかく人喰い巨人で、
人間は豚や山羊とおなじ食材としかみていないという、
顔はともかく性格はとにかく残忍凶暴な集団で、
追放された地上へ再び戻ることを虎視眈々と狙っている。

と、こんなかんじでストーリーが進んでいく。

全体に無駄がなく、しかも映像が凄い。
ふつうならだれてしまいかねない前半も上手くさばき、
中盤からはもうほとんどノンストップ状態だ。

特に豆の木が切り倒されて
地上に降ってくるあたりからの加速感が素晴らしい。
木がはるか遠くの城にまで倒れてくる下のシーンの迫力はなかなかです。

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※予告編より

ジャックの家をもちあげた最初の木は切り倒されたものの、
巨人たちの所に残されていた豆を使いいよいよ地上へ、
この地上におりてくるシーンも異様な迫力があります。

103.png
※予告編より

そして話を進めながらいろいろと伏線を回収してていき、
最後にジャックが前半で話した台詞が立場を逆転して語られるというのも、
これまたじつに粋なつくりとなっている。

正直笑えるシーンとかはそんなになく、
(それだけに吹替えにお笑い芸人さんが多数参加されてるのが?)
それでいてファミリーでみても充分楽しめるという、
全年齢層向きの作品にしあがっている。

もし不満があるとしたら、
王冠をジャックが以前にどこで見たかを、
よりはっきりとしてほしかったところと、
主人公が夢見がちという設定なのに、あまりそういうかんじがせず、
どことなく影がうすかった感じがしたところでしょうか。

ただとにかくそんなことどうでもいいくらい、
この映画じつに見せ場が多いつくりになっていて、
特に馬で逃げるジャックや軍隊と、それを追う巨人たちとのチェイスシーンは、
けっこうなスピード感あふれるものとなっています。

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※予告編より

巨人の大群と城の軍隊との城の堀を挟んでの橋をめぐる攻防戦は、
やってることがシンプルでオーソドックスなだけに、
けっこう手に汗握るものがります。
人間にはほとんど勝ち目が無いような戦いなのですが…。

また気になっている方もいると思いますが、
この人食い巨人たちが人を食べるシーンがあるかどうかということですが、
食べるシーンは何回かでてきます。

ただ食べようとした瞬間カメラが向きを変えたり
シーンが変わったりということをして直接的描写を避けているため、
食べているモロなシーンは皆無です。
このへんは低年齢層にも気を配っているのでしょう。

上映時間は114分。
前半こそ「ジャックと豆の木」なのですが
後半は巨人というより巨大な人型肉食エイリアンの大群との総力戦という、
童話と怪獣映画を足したようなつくりとなっている本作品。

愉しくそして後味もなかなかいい痛快な出来となっています。
巨人たちの暴れっぷりや豆の木の伸びていくシーンなど、
このあたりは映画館でみることをぜひおススメします。

いまいち話題になってないようですが、
けっこう自分は満足した作品でした。

「Jack the Giant Slayer」 予告編
http://www.youtube.com/watch?v=iDhcbCVpUHs
http://www.youtube.com/watch?v=6bR7ZrIwiug
※日本とアメリカの予告編の雰囲気がずいぶん違うのが面白いです。

[Jack the Giant Slayer ] サントラ
「Jack and Isabelle (Theme from Jack the Giant Slayer)」
http://www.youtube.com/watch?v=PI2YMn42Jmk
「Chase to Cloister 」※巨人が軍隊を追いかけるシーンのBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=2wSIGcD1IRY


TVでこのまえ観たけど、やっぱり迫力はかなりおちるなあ。
特に音楽の印象が映画とぜんぜん違ってまったく稀薄だった。

原因はわからないけどこれは残念。
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