三ツ橋敬子指揮東京交響楽団を聴く。(5/5) [演奏会いろいろ]
2023年5月5日(金)
東京国際フォーラム ホールA 15:15開演
曲目:
ベートーヴェン:「騎士バレエ」のための音楽 WoO1
ベートーヴェン:交響曲第6番 へ長調 op.68 「田園」
四年ぶりに再会されたLFJ。
さすがに四年前のようなフルサイズとはいかなかったけど、それでもようやくこの規模で開催された事は素直に喜びたい。
来年にはフルサイズでできる事を期待。
自分が今回聴いたのは三ツ橋敬子さん指揮する東京交響楽団によるベートーヴェン。
滅多に演奏会でかからない曲と、ベートーヴェン全作品中五指に入る大名曲との組み合わせ。
まず最初にベートーヴェンが20~21歳頃に書いた若書きの音楽。「騎士バレエ」のための音楽。
全8曲で演奏時間約十分というが、聴いていてもっと長く聴いていたように感じるほど充実感のある響きがのっけから素晴らしい。
これを聴いていて、ちょっと原田慶太郎さんの音の創りと似たものを感じたけどオケが東響だったということもあったのだろうか。
とにかく透明感とブレンド感が絶妙にミックスされた安定感と見通しの良さが素晴らししく、しかもときおり後のベートーヴェン作品の息吹きのようなものも聴こえてくるかのようで、何故この曲がもっと演奏されないのかと思ったくらい、とにかく聴き応えのある曲に仕上がっていました。
この後オケの人数が増えた後いよいよ「田園」。
(編成は通常の「田園」よりホルンのみ1名増員)
第一楽章はかなり早い。といっても急いでいるというのではなく、音楽の自然な流れを呼び込んだら必然的にこの流れが出来ました的な演奏で、作為も何もないじつにストレートな演奏だった。もっともときおり強めの表情をみせたりするので、ただただ流れに任せたという類の演奏ではなかったです。因みに反復は無し。
第二楽章もまたさらさらと快適にすすむ。ちょっと往年のボールトを思わせるような感じだけど、透明度の高い弦の背後から木管が美しく浮かび上がってくる様はなかなか味わい深く、それが最最後の鳥の囁きを表す木管の表情がより際立って鮮度の高さを感じさせるものに繋がっていました。
続く第三楽章は洗練された感じの演奏だったけど、第四楽章に入るなりティンパニーがかなり激しく硬めに強い打ち込みをみせていた。
それは今までの雰囲気を鮮烈なほど一変させるほどで、まるでこの全曲の頂点がこの楽章にあるかと思われるくらい凄まじいものがありました。
この後最後の楽章はまた最初の二つの楽章の雰囲気に戻りながらもよりさらに輝かしくなり、最後大きく高揚した後は今迄と打って変わり、ゆったりと静かに、それこそミレーの「晩鐘」のような音楽へと流れていくそれは、感動的ともいえるくらい心温まる素晴らしいものでした。
この「田園」。
演奏時間は約40分という時間だけみればかなり早めの演奏だけど、決して急がずよく流れ爽やかによく歌うといった感じで、ひじょうにストレートな「田園」だったと思います。
しかしここまでストレートで、曲の良さや魅力を大袈裟を避けつつ過不足なく描いた「田園」というのもとても久しぶりという気がしました。
三ツ橋さんは今回初めて聴きましたが、まだできればもっと条件の良いホールでじっくり聴きたいと思います。
それにしても返す返す丹沢音楽祭での三ツ橋さんの第九を聴きに行けなかったのが残念。
〆
「三ツ橋敬子さん指揮する」
「原田慶太郎さんの音の創りと」
両者, サンフランシスコ交響楽団に登場してほしい....
by サンフランシスコ人 (2023-05-09 00:51)
佐渡裕.....米国のダラス交響楽団に登場....
http://www.dallassymphony.org/productions/tchaikovsky-pathetique-2023/
November 16 – 19, 2023
YUTAKA SADO conducts
ALESSANDRO TAVERNA piano
YASUSHI AKUTAGAWA Triptyque
BRITTEN Concerto No. 1 for Piano and Orchestra
TCHAIKOVSKY Symphony No. 6, “Pathétique”
by サンフランシスコ人 (2023-06-21 04:33)