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パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団を聴く。(12/8) [演奏会いろいろ]

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2022年12月8日(木)
東京オペラシティコンサートホール 19:00開演 

曲目:
ハイドン:
交響曲第102番 変ロ長調 Hob.I:102
交響曲第96番 ニ長調Hob.I:96《奇跡》
交響曲第104番 ニ長調 Hob.I:104《ロンドン


今から二十年ほど前、指揮者の飯守さんが「ハイドンをやるとお客が入らないから嫌がられる」と言った事があるけど、この日はティーレマンのブラームスあたりとぶつかったり、「驚がく」や「時計」といった人気作品を外しているにもかかわらず、ホールは意外な程人が入っていた、だいたい八割以上は埋まっていたと思う。

これにはヤルヴィの人気と信頼というのも大きかったかと。

自分はドイツ・カンマーフィルを聴くのは、ハーディングとムローヴァかがベートーヴェンをやった時以来なので21年ぶりにということになる。あの日も確か対抗配置だったけどこの日も同じ。なんかいろいろと懐かしい。

それにしてもこのプログラム。

自分はハイドンの交響曲の中で大好きな曲ベスト5のうち3曲も入っていたから狂喜したものの、「驚がく」「軍隊」「時計」といった人気曲をすべて外したこのプロには招聘した側はさぞ不安になったのではないだろうか。

とにかくなかなかの入りで開演。


この日は前半102と96。
20分の休憩後も後半が104だったのですが、一環していたのは、

フォルムがしっかりしている
オケの発する熱量、とくに管楽器が凄い
その管楽器はソロもアンサンブルも絶妙で、弦との呼吸もピッタリ
全曲を通して颯爽とした運び、それに流動感とリズムのキレが心地よい
新しいスタイルにもかかわらずどこか懐かしい旧いスタイルを想起させることもある

といったところだろうか。

特に音楽の颯爽とした運びはかなり新鮮で、本来アダージョの102の第二楽章も、他の二曲同様、まるでアンダンテのようなスピードで演奏されていた。ただそれでいて無味乾燥になることなく、常に瑞々しさと木管を中心とした洒落たニュアンスが織り込まれているのが素晴らしい。

また102と96のメヌエットのノリのいいリズムが秀逸で、思わず踊りだしたくなるほど聴き手を強く揺さぶってくるものがあった。

あと96のメヌエットでは、トリオにおけるオーボエとフルートの表情付けが絶品で、演奏終了後この二人に対する拍手がとても盛大に起きていました。

そして終楽章のスピード感もまた爽快そのもので、クライバー的ともムラヴィンスキー的ともいえる疾走感が最高。特に96のそれがホール全体を熱気に包みこむような熱演で、こちらもまた盛大な拍手が起きていました。

これに対して104は冒頭からベートーヴェンの出現を予期したかのような凄みのある音楽を、40名程のメンバーとは思えない程の強大な音でそれを見事に表現していました。
(因みにハイドンが104番を完成した年は、ウィーンでベートーヴェンがピアノ協奏曲第2番を初演しウィーンデビューを飾った年でもある)

ハイドンが訪ねたころのロンドンのオケは四十名程の編成だったので、この日のカンマーフィルとほぼ同人数だったとか。また当時のロンドンのオケはとても技術的に優秀かつダイナミックレンジが広く、ハイドンがイギリス訪問時に書いた12曲、通称「ロンドンセット」はそれを活かそうとして、それ以前の曲よりダイナミックな曲が多かったと言われており、この日のヤルヴィが味わいや洒落っ気の中にも、ダイナミックなカッコよさを織り込んでいたのはここの部分を意識していたのかも。特に104番はかなりそれが強く感じられ、終楽章の終盤に向かっての高揚感も抜群でした。

そんな感じで、三曲とも聴きどころ満載かつ、気持ちいいくらい音楽が颯爽と流れていくので、どの曲も聴き終わるのがもったいないくらい終わるのが早く感じられました。

できればまたの機会に、82、86、92、といったロンドンセット以前の名曲も聴いてみたいところです。

モーツァルトの最後の交響曲とベートーヴェンの最初の交響曲の間に位置する、これらのハイドンによる交響曲群。

これを機会に「驚がく」「軍隊」「時計」以外ももっと広く聴かれ演奏してほしいものです。

因みにアンコールは弦楽合奏の曲で、

ハンガリーの作曲家、レオー・ヴェイネル(1885 - 1960)の、

「ディヴェルティメント」第1番作品20 (1934)より 第1楽章

でした。


以上で〆


それにしても繰り返しますが本当にこの日のハイドンのオケの熱量は特筆もの。
おそらくベートーヴェンもさぞや名演になることでしょう。

聴きに行けないのがなんとも残念です。

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