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ヨッフムのヨハネ受難曲 [クラシック百銘盤]

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オイゲン・ヨッフムは今でこそブルックナー指揮者として有名だが、
日本によく来日していた時期にはモーツァルト、
そしてバッハの指揮者としても名声があった。

そしてモダン系のフルオーケストラを主に指揮していた指揮者としては珍しく、
バッハの四大宗教音楽のすべてを録音した指揮者でもありました。

そんなヨッフムが関係の深かったコンセルトヘボウと1967年に録音したもの。

それがバッハの「ヨハネ受難曲」。

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ヨッフムはこの録音の前年にベルリン・ドイツオペラ、
そして録音の翌年にはコンセルトヘボウとそれぞれ来日しており、
当時日本では来日頻度の高い上位の指揮者だった。

また録音もDGとのブルックナーの交響曲全集が終了。
宗教音楽集の録音を開始した頃という、
なかなか活発な演奏活動を続けていた時期でもある。

メンバーは

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
オランダ放送合唱団
アグネス・ギーベル(S)
マルガ・ヘフゲン(A)
エルンスト・ヘフリガー,アレクサンダー・ヤング(T)
ワルター・ベリー,フランツ・クラス(Bs)

また通奏低音に当時コンセルトヘボウの首席だった、
若き日のアンナ・ビルスマも参加している。

というもので、
この二年前にヨッフムが同じくコンセルトヘボウと録音した「マタイ受難曲」と、
かなりメンバーが重複している。

それにしてもモダン系のフルオケを普段指揮している指揮者で、
ヨハネ受難曲とはとても珍しい。

マタイとロ短調を録音しているカラヤンも録音は無い。
フルトヴェングラーやショルティもマタイはあるがヨハネは無い。
クレンペラーは録音の予定はあったがそれを果たすことなく引退した。

またコンセルトヘボウも「マタイ」はあのメンゲルベルク、
他にもヨッフム、ベイヌム、I.フィッシャーはあるものの、
「ヨハネ」はこのヨッフム以外ちょっと見当たらない。


ということでそういう意味でもなかなか貴重なものとなっている。


で肝心の演奏ですが、非常に合唱もオケも練れている。
バランスもよく音も美しい。

厚化粧も施されておらず、
モダン系のバッハとしてはじつに清澄で、
しかも劇的迫力もともなったひじょうに聴き応えのあるものとなっています。


自分は今主流のピリオド系の中小規模のものではなく、
こういうタイプの演奏に聴き慣れ親しんだせいか、
聴いていてこの演奏にとても安心感を強く感じます。

ひじょうに曇りの無い晴朗かつ劇的な響きを内包しているだけでなく、
コンセルトヘボウのもつ流動感のある音質も手伝ってか、
ちょっとヘンデル的な雰囲気も感じてしまいますが、
ダラダラとしたところは皆無で、
合唱の小気味よい歯切れの良さもなかなか心地よいものがあります。


ただ悲しいかな今はこういうスタイルのバッハは評価が低く、
現在(2014)ほとんど中古以外は入手困難になっているようです。

個人的にはリヒターやシュナイト等と並ぶ同曲のマイベストなだけに、
またいつの日かぜひ復刻されることを望みたいものです。
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