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「宮沢賢治の聴いたクラシック」の発売 [宮澤賢治のクラシック]

「宮沢賢治の聴いたクラシック」という書籍がCD付きで発売になった。
30006.jpg
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094801866

小学館が先月発売したもので、
賢治没後80周年にちなんでの発売とのこと。

じつはこの本については事前にまったく何も情報もなく、
また発売されてからもそれについて何も知らなかった。

理由はこういうCDを聞きたいということで、
十年以上も前から、
いろいろとレコード会社の知り合いや評論家の方、
さらには古いレコードに詳しい人たちとかつていろいろとこの件で話し合ったものの、
けっきょくどこも乗り気ではなく、
そうこうしているうちに生誕百年や百十年、
没後七十年といったものも過ぎ去ってしまい、
もうこういうことは企画されないだろうと思いこんでしまったことだった。

このためもうほとんど諦めきっていた状態だったし、
収集や調査もほとんど無期休止状態となっていたことも災いした。

そんなときいきなり書籍関係からこのCDが発売されたと聞いたとき、
かなり驚いたしレコード業界の情けなさもちょっと感じてしまったものだったが、
とにかくこれはほんとうにありがたいお報せでした。
http://orch.blog.so-net.ne.jp/2007-10-05

上記リンク先でのそれでこのときやっと知った次第です。
我ながら情けなさ大爆発ですね…。


今回のこのCD…というよりCD付き書籍ですが、
専門的なことより、むしろ初心者にもわかってもらおうというもので、
内容はとても読みやすく、書き方もとても整理されたものになっている。
このあたりは著者の萩谷由喜子さんや、
宮沢賢治の音楽の権威でもある佐藤泰平さんの力が大きいといえるだろう。

だが特にありがたいのは、
その存在を知ってはいたがCD化されていないものの多くが今回復刻されていることで、
それらを耳にできたことは本当に素晴しいことだった。

これにはクリストファ・N・野澤氏の力が大きかったようですが、
残念ながらこ本が出版される前月にお亡くなりになられたとのこと。
逆にいえばギリギリのタイミングだったということで、
ひょっとしたら賢治が力を貸してくれたのではないかと、
そんな気さえしたものでした。

個人的にはもちろんこれは素晴しい企画ではあるものの、
今度はレコード会社側からのアプローチもぜひしてほしいところ。

五枚組三千円くらいのオムニバスで、
三枚は賢治の聴いていた曲を最新の演奏で、
残り二枚は賢治の聴いていたオリジナルの演奏でという、
そんな具合にです。

とにかく秋の夜長に、
賢治の作品を読みながら賢治の聴いた音楽を耳にするという、
とても素晴らしいことが出来るようになったこのCD付き書籍。

音質は古く、
決して今の耳からすれば聴きやすいものではないかもしれませんが、
大正から昭和の初めにかけての日本のレコード史初期を彩るった演奏の数々。

ほんとうに素晴らしい企画の実現です。

興味のある方はこの機会にぜひどうぞ。



ところでこうして整然とまとめられた賢治の聴いた音楽のそれをみると、
自分がいままで不思議に思っていた謎のいくつかが晴れたものの、
依然として…
というよりむしろ整然としたことにより、より謎にみちた部分というか、
賢治のもつ音楽的嗜好の一端がうっすらとみえてきた気もした。

なぜモーツァルトやブラームスが少ないのか、
国内盤流通後ベルリン系のオケのコレクションが目立つのは何故か、
ベートーヴェンをこよなく愛したのに、
ワインガルトナーやカペーSQが全く無いのは何故か、
ブルックナーやマーラーにはまったく食指が動かなかったのか等々。

このあたりはまた何か思うところがあったら、
いつかまた書いてみたいと思います。


最後にこの書籍の出版をご連絡いただいた横山様に、
深く御礼申しあげます。
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