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ちょっとふりかえってみます。その2。 [アニメ(20世紀)]

(1980-1987)

前の項からの続きになりますが、「ヤマト」「ガンダム」のそれぞれのファンの作品愛からくる論争というのは、当時は不毛なものに感じたのですが、今考えるとそれぞれの作品に対する否定的な評価が、じつはそれまで培った日本アニメの特徴とこれからのアニメの方向性を指し示すものを結果的になっていたというのは、なかなか面白いものがありました。要約すると「ヤマト」は古臭い、説教くさい、「ガンダム」はリアルに描こうとして夢が無い、ストーリーが唐突すぎる(ニュータイプの出現等)というものでしたが、でもこれをひっくり返すと、いいにつけ悪いにつけ、特に「ガンダム」のそれってなんか今を先取りしていたような気がして仕方ありません。たしかにエヴァのそれの影響力というのも大きいですが、これも「ガンダム」あればこそという気がします。そんな時代にいたせいでしょうか、当時自分はアニメをよくは見ていましたが、けっこう理屈っぽくアニメをみていたような気がします。そしてこの理屈っぽくみていた時代に合わせたかのように、アニメ雑誌もひとつまたひとつと登場してきます。自分が最初みていたのは「アニメージュ」「OUT」といったところでした。

そしてこの頃アニメに製作、もしくは声優として作品に参加したいという雰囲気がかなりいろいろと伝わってくるようになりました。特に声優は「ヤマト」以降そのブームが盛り上がり、ラジオ番組などにも声優さんが次々と登場していったことで強く感じるようになりました。当時毎日新聞の「くりくり」という別冊誌?はこのブームをうまく掴んでいろいろと特集を組んでおり、けっこうそのイベント等で盛り上がりをみせていましたし、アニメージュ主催のアニメグランプリが日本武道館で開催されていた頃などは、その会場のエネルギーたるや凄まじいものがありました。そしてニッポン放送の「アマチュア声優コンテスト」に大勢の参加があったことなどそのいい例だと思います。

自分はこういうことにけっこうその渦中ってどんなもんなんだろうということに興味を持つことが多く、そのため今考えるとほんとうに迷惑な話ですが、半ば興味本位で、テアトルエコーと日本テレビ音楽院の二つの入試を受けたことがありました。そこで感じたこと、特にテアトルエコーのそれは当時まだ青二塾などの声優養成所がほとんどなかったためか、声優希望の方が多く受験されており、それらの方と話しをしたり雰囲気を感じたことが、今の若い声優さんに肯定的な態度をとりときにはエールを送る姿勢に繋がっているような気がします。ほんと、若いっていいことなんだなあと今でもそれを感じたりするのは、自分のことよりもこのときに感じた受験生の方々のあの活き活きとした姿と目の輝きでした。おそらく今でもこの部分は変わってないんでしょうね。(正直受かったら本気でやってみようとさえこのとき思ったものです、それくらいの情熱をあのときお会いできた方々から感じました。)

その後声優の養成所もでき多くの声優志望者を受け入れる体制が少しずつできていくのですが、これに連動するかのように、「ヤマト」以降のアニメのひとつの流れとなった、主人公複数型アニメが急速に増えていくようになりました。「キャプテン翼」「銀河漂流バイファム」「星闘士星矢」というのがそれでして、これらは特に女性ファンの増大と男性声優の人気というものに拍車をかけていったという気がします。また主人公よりもサブキャラの方が人気が大きくなる作品も多く「アニメ三銃士」や「ゴッドマーズ」などもそのよい例だったような気がします。「ゴッドマーズ」のマーグの死に対してのファンがその葬儀を行ったことなどその際たる例だったと思います。


(1988-1994)

こうしてキャラに対してファンが多様化していったことが、さらに声優の幅広い需要と供給を促していったような気がしますが、これに特大の発破をかけたのが1988年の「鎧伝サムライトルーパー」なのですが、これはちょっと凄まじいものがありました。この頃の自分はアニメとそんなに遠くないところで仕事をしていたので、その状況はとてもよくわかる位置にいました。この昭和最後にあらわれたアニメはほんといろいろな意味で化け物のような作品でした。

この作品。じつは正直最初の人気は芳しくないものがありましたが、本放送をダブり放送したことがニュースで大きく取り上げられ、またその回の話がストーリーを知らなくてもなかなか面白い話だったことから人気が一気に高まりそして火を噴いたのです。

五人の主役の声優さんを呼んだイベントはことごとく大盛況。続編のOVA化。キャラクター個人のアルバム。声優さんのアルバム等、その数は凄まじいものがありました。また声優さんを呼べなくても、OVAの先行上映会をしたら朝から列ができ始め、四百人以上が集まったというイベントもあったといいますし、声優さんの握手会をしたら握手した瞬間に失神してしまったという方がいたこともありました。(因みにこの作品をみて声優さんを志した方も多かったようで、現在活躍されている松来未祐さんもそのおひとりだったとか。もし将来「トルーパー」の新作が作られたらこの人絶対ナスティ柳生役やりたいだろうなあ。)

またこの作品のOVAを軸にソニーがキャプテン翼のOVAやCLAMPの「聖伝」、さらにはTMNとのコラボで話題となった久川綾さん主演の「CAROL」などで、一気にそのジャンルを拡大していったことで、アニメのOVA化やビデオ化がひとつの軌道にのったこともまた大きな事柄でして、これが後にバップの「サイパーフォーミュラ」、東芝の「ライジンオー」でも大きくものを言うことになっていきます。(因みに「トルーパー」はCDがキング、DVDはソニーから発売されていましたが、これは当初キングがトルーパーの人気がたいしたことがないためその映像の版権をソニーに譲ってしまったためこういうことがおきたとか。後でキングがかなりこのことを後悔し、その後いっさいこういうことをしなかったといいます。)

さてアニメの主人公複数型の代表作として「美少女戦士セーラームーン」というものが登場します。ここで今度は女性声優が一気にクローズアップをされていき、次第に男性声優のそれを圧倒しはじめていきます。この流れは現在にも至っていますが、この作品をもう少しコアにしたものがじつは現在のU系深夜アニメでみかけられます。「カオスヘッド」なんかもこのラインの作品だったように感じられます。この「セーラームーン」では登場した五人のキャラを演じた声優さんに人気が集まり、特に久川綾さんの人気はたいへんなものがありました。当時自分はむ偶然久川さんのイベントにかかわったことがありましたが、それはそれはたいへんな盛況でしたし、それより少し前に川崎のチッタで行われたライヴでの熱気はかなりのものがありました。この頃から椎名へきるさんもそうですが、アニメ声優さんのライヴがクローズアップされていったような気がします。たしかにこれ以前にもいろいろとありましたし、小山茉美さんのように小さいところでのライヴや笠原弘子さんのように歌手としてもしっかりとした活動をしていた方もいらっしゃいましたが、個人的には久川さんあたりが現在のようにアニメ声優さんがガンガン、それもライヴハウスあたりでライヴをやるきっかけをつくったという気がします。(因みにこの久川さんのライヴは後にビデオ化されました。これみると今の声優さんとやってることがあんまり変わってないんですよね。)

ところでこの時期に出現していたものにLD(レーザーディスク)がありました。このLDは作品の保存性を強く宣伝したこともあり、保存したいアニメ作品ならテレビやOVAでもLDならOKという流れをつくりあげていきましたが、これにより新旧多くの作品がLD化されていくのですが、このことが無理にOVAをつくらなくてもTV作品をDVD化し、それでセールがよければOVA化するという動きをつくり、OVAが減っていったことはちょっと残念なことではありましたが、それはことの必然というべきなのかもしれません。(ただしOVAが壊滅したというわけではなく、当時のKSSが発売した「ああっ女神さま」はたいへんなセールスを記録しましたし、いわゆるアダルトアニメにもこれらは引き継がれていきました。)

この頃の自分はといいますと、上記した久川さんのイベントもそのひとつですが、諸般の事情でいろいろとアニメに関わることが多くなりました。(以前「マクロス」のイベントで誰を呼ぶかということをあるの方から打診されたとき、ほとんどが飯島真理さんといっていたのに、自分だけ土井美加さんをあげたことがあったのですが、そのときからもう知らず知らずのうちに関わっていたのかもしれません。)ですがいわゆるアニメをその時期よくいろいろと見ていたという次元だっただけに、なかなかその全体像が掴みきれていませんでした。そのため当時これを知るため、国会図書館に行っていろいろとアニメ雑誌の資料をあさったり、当時の新聞などをみたりしていろいろと勉強したりしていました。そのおかげで知らず知らずに経験していたことが、じつはこういうことと繋がっていたのかと、いろいろわかりましたし、声優さん繋がりで作品から作品へとファンが移動していくことや、キャラクターに対しての強い思い入れというのが作品に想像以上のパワーを生むということがわかったのもこの時期でした。けっこう当たり前のことかもしれませんが、自分が実感できたのは意外にも遅くこのトルーパー以降の一連の動きと、この図書館での調査がきっかけだったのです。

そういえばこの時期自分は初めてコミケに行きましだか、当時は晴海→TRC→晴海→千葉幕張→晴海という激動期でもありました。この時期いろいろなサークルさんと知り合うことができました。ご迷惑をおかけしたこともありそれは今でも反省しておりますが、いろいろと勉強もさせていただいたことは今でもたいへんありがたく感謝しております。今はみなさんどうされているのでしょうか。ある意味いちばんいろいろとあった時期でもありました。

というところで今回はここで〆です。次はエヴァからです。
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