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YouTubeでみる LIVE UNDER THE SKY [JAZZ]

YouTubeというと
最近ではアニメの違法ダウンロードの温床の巣窟みたなところがあるけど
本来はそういう目的のサイトではない。

記録用のものだったりとか
発表の場みたいなものだったりという
そういうものにも使用されていた場所だった。

というわけで別にYouTubeは
悪の巣窟というわけではない。

そんなYouTubeにじつは
いろいろなジャンルの音楽もUPされている。

中には音源だけで画像はイメージ
もしくはその関係のものというものもあるが
みているとかつてTVで放送されていた
貴重な映像の数々もUPされている。
たしかに現在DVD化し発売されてるものをUPするという
犯罪行為みたいなものもあるけど
中には過去一度TVで放送されたまま
そのままお蔵入りしていたようなものもある。

たしかにこれらも本当は著作権上問題なのかもしれないけれど
ただ永久にどこかの蔵の中にしまわれているくらいだったら!
という気持ちが自分にはある。

もちろんそれがCD化されたりDVD化されたりしたら
それらを即削除するのが礼儀だろうし常識だと思うけど
それまではやはり人類の遺産として
ある程度は公開されていてもいいと思う。
ほんとはいけないのは百も承知だけれど…。

そんな中で自分がかつてTVをみてて腰が抜けるくらい
とにかく圧倒されたライヴ映像がUPされていた。

1991年7月末に読売ランドEASTで行われた
LIVE UNDER THE SKYでのライヴ。

HERBIE HANCOCK (P)
WAYNE SHORTER (SAX)
STANLEY CLARKE (B)
OMAR HAKIM (DS)

というスーパーバンドの演奏による
「Cantaloupe Island」

このグループは来日前にもドイツで演奏していて
そのときのライブが二枚組でブートで出ていたようだが
こちらは一曲とはいえ映像だ。

演奏時間はじつに15分近くかかっているが
とにかく全員がおっそろしく熱い!
いきなりショーターのサックスが吠えまくり
続くハービーのピアノが火を噴くといった感じで
聴いていてもうクチがあんぐり状態だった。

そしてクラークのチョッパー大爆発
ハキムの心臓破りの叩きまくりと
もう全員が炸裂しまくっている。

これ聴けた人はほんと幸せだと正直思った。

自分も当初は
このウエザーリポートみたいなハンコックバンドに
かなり興味津々だったのですが
日程があわず涙をのんだものでした。

ただ自分にとってこれをこうして聴けるのは
ほんとうに嬉しい。

他にもクレンペラーの1970年のベートーヴェンチクルスや
カルロス・クライバーの日本公演のライヴ等
CDもDVD化もされていないものがかなりある。

みているときは楽しいけど
しばらくするとそこになんともいえないものを感じてしまう。
そういう気持ちにならないためにも
やはりこういう貴重なものは
公式にいろいろな形でなんとかしてほしいと思う。

最後に上であげたライヴですが

http://www.youtube.com/watch?v=JixfzsQWZ8c

にUPされてます。

HWSO.jpg


どこでもいいからこういうものはなんとかしてほしい。
他にもこのときの音源や映像があるのなら
ぜひ一緒に発売してほしいところです。

うーん、自己矛盾だ!
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「Lionel Hampton Big Band / Air Mail Special」を聴いて。 [JAZZ]

HAMP.jpg


CD1:
1. Air Mail Special
2. Ain't Misbehavin'
3. Advent,
4. Hamp
5. Hamp/Repirse
6. Midnight Sun
7. Skylark
8. Minor Thesis

CD 2:
1. I Got Rhythm
2. Valve Job
3. When The Saints
4. In The Mood
5. Flyin' Home
6. Stardust Moonglow
7. Hamp's Boogie Woogie

Recorded May 29, 1983 at the Kongresshal Museum, Deutsche Hygiene Museum .Dresden, Germany.

Lionel Hampton(vib,vo,ds)
Barry Reis、Vincent Cutro、Byron Stripling、Johnny Walker(tp, flh)
Charles Stephens、Bob Trowers(tb)、Chris Gulhaghuen(btb)
Tom Chapin(as,fl)、Adam Brenner(as)
Doug Miller(ts,cl)、Jerry Weldon(ts)
Paul Jeffreys(bars,ts)
John Colianni(p)
Bob Bodley(b)
Frank Dunlop(ds)、Sam Turner(perc)


わーい、ハンプトンのライヴ盤だあ-!

というくらい自分にとってのライオネル・ハンプトンは
ゴリラにバナナみたいな関係になっている。
なにせ最近「もう一度実演で聴きたい演奏家は誰?」と聞かれたとき
相手はムラヴィンスキーとかチェリビダッケの名前をあげると思っていたようだが
自分は間髪入れず「ライオネル・ハンプトン」と言い切ってしまった。
とにかく自分にとっては神様みたいな人なのだ。

とにかくこの人のやりつくし感というかやりすぎ感は凄まじく
そのサービス精神とみせることに対してのこだわりは強烈で
このためサントリーホールに出入り禁止をくった(らしい)ほどだった。
おそらくこれ程の大物でそんな罰ゲームをくったのはこの人くらいだろう。

日本には1963、67、69、81、82、88、89、91、92年に来日している。
60年代は大型コンボでの来日だったらしいけれど
78年のニューポート音楽祭での
「あの」爆裂コンサートでのビッグバンドが話題になり
(知人は「馬鹿丸出しライヴ」と絶賛していました。)
日本にも81年のオーレックス・ジャズ・フェスティバルと翌年のツアーには
ビッグバンドともに来日している。
メンバーにはMALTAやリッキー・フォードがいたが
81年はピート・カンドリーやチャビー・ジャクソンなどもいる
オールスター・ビッグバンドで来日もしていた。

このドレスデンライブはその一連の日本公演の翌年のもので
上記のメンバーはいなくなったものの
それでも日本ツアーにも登場したメンバーがかなりいる内容となっています。

ですが嬉しいのはなんといっても二枚組で百分以上収録というところ。
1981年も1982年の公演もCD化されてはいますが
ともにLP時代の収録時間ベースのもので一枚ものでしたから
聴いていてちと欲求不満になるところもあっただけに
このまるまるライヴはとても嬉しいものがありました。

そして内容はもう楽しくなければジャズじゃないといいますか
完全なお祭りライヴ大会となっています。
曲目も日本公演のものやその前の70年代のライヴ
さらには88年以降に日本で聴いたものが勢揃いという豪華版。

しかしそれにしても当時のあの東ドイツで
これだけの底抜け爆裂ライヴをやっただけでも凄いが
東ドイツの観客をここまで巻き込んで熱狂させるとは!

当時アメリカを中心とした西側陣営と
ソ連を中心とした東側はソ連のアフガニスタン侵攻から冷却化しており
1980年の西側のモスクワ・オリンピックボイコット
1984年の東側のロサンゼルス・オリンピックボイコットの応酬の最中でした。
そんな時期にハンプトンがその東ドイツの古都ドレスデンで
1930年に開場したドイツ衛生博物館のホールでライヴをやった。
しかもいつものそのまんまのライヴを。

多少拍手や歓声を編集しているところはあるけれど
とにかくとんでもない時期にとんでもないライヴをやったものです。

まあかつて横浜スタジアムを熱狂させた御大だけに
これくらいは当たり前なのかもしれません。

音質はアナログステレオですが
ややエコーが大きいのでバーンと音が塊で飛んで来るような迫力はありませんが
それでもそこそこの音質だとは思います。
まあ1983年の日本でのライヴならもっといい音質だったでしょうが…。

とにかく久しぶりにスッキリとハンプトン御大を満喫できるアルバムでした。
しかしどこの世界にアンコールでジャズ史上最も有名な曲ベスト1&2ともいえる
「When The Saints」と「In The Mood」。
そして自らの代名詞ともいえる「Stardust」。
イリノイ・ジャケーのブローで大ヒットナンバーとなった「Flyin' Home」。
そしてお祭りクロージングの決定版ともいえる「Hamp's Boogie Woogie」。
これをまとめてやってしまうか人がいるかなあ。
当時ハンプトン75歳。まだまだ青年です。
(そういえば80歳のサントリーホールでのライヴは走って舞台に出てきたなあ…)

これ最高!です。
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Buddy Rich and Flip Phillips [JAZZ]

正式には
「バディ・リッチ アンド フリップ・フィリップス」
というタイトルではない。
ただ長いから端折っただけです。
正式なタイトルは

Live From Miami
Buddy Rich Quartet Featuring Flip Phillips

BUDDY.jpg

というもの。
メンバーは

Flip Phillips (ts)
Ronnie Ball (p)
Peter Ind (b)
Buddy Rich (dr)

で曲目と収録日と場所が

1.Lover Come Back To Me (Romberg-Hammerstein)
2.Topsy (Battle-Dorham)
3.Undecided (Shavers)
4.Broadway (Woode-McRae-Bird)
5.Jumpin' At The Woodside (Basie)

The Dream Bar, Johnina Hotel, Miami beach, Florida.
May 1957

というもの。

バディ・リッチは残念なことに自分は実際に聴くことが出来なかった。
1982年の春に自らのオーケストラとともに来日したようですが
自分がジャズに本格的にのめる直前だったため
この公演を聴くことができませんでした。

その翌年のJATPの公演には日本側から打診されたものの
主宰のノーマン・グランツが首を縦にふらなかったため
来日メンバーに加わりませんでした。

このため自分はついにリッチを聴くことができなかったのですが
その後耳にした多くのJATP等のライヴで
リッチのそのもの凄い推進力と爆発力
そしてグループ全体を強烈にスイングさせるそのドラミングに
さらにその魅力を知るようになったものでしたし、
1987年にその訃報に接した時はさらに痛恨の念をもったものでした。

ですが同じ年の9月。
ウディ・ハーマン・オーケストラとともに来日したことで
フリップ・フィリップスはその実演に接することができました。

フリップスは当時65歳。
すでに頭も白くなっていたのですがとにかく元気そのものでして
一緒にハーマンのオーケストラのゲストで来ていた
コーン、ネスティコ、フローリーよりもかなり元気ではりきっていました。

しかも後半オーケストラをバックにJATPの録音で有名になり
1953年の東京でのJATPでもソロをとったあの名曲
「PERDIDO」を吹いた時は
小走りででてきた後五分近くもソロをとりまくり
その元気さを印象づけたものでした。
(この来日時のライヴもかつてオーレックスのライヴCDででていました。)

そんなリッチとフィリップスが共演し
レニー・トリスターノ派のピアニスト、ロニー・ボールと
彼の一つ年下でそのトリスターノのグループでベースを弾いていた
ピーター・インドがメンバーに加わっているというライヴがこれ。

リッチが病気で倒れる以前の録音ということもあり
とにかく全編リッチの叩きまくり。
というよりリッチが延々とソロをとっているかのような
そんな感じさえするライヴとなっている。

だがフィリップスも負けてはいない。
リッチとはJATPで何度も共演しているため
その技も癖も熟知しているのだろう。
まったく怯むことなく自分のソロをとっている。

50年代のJATPジャムでは一番手にソロをとることが多いフリップス。
スマートで無理のない出だしから
次第に熱を帯び熱くブロウしていくそのソロは、
その後に続くソロに対していい流れをつくることから
一番手になることが多いのだろうが
ここでは最初からアクセルを踏み込んでいる。

最初の「Lover Come Back To Me」は
6分半近い曲なのですが
フリップスはいきなり三分半以上のソロを取りまくるが
他の四曲ではどれも冒頭からそれ以上の約四分半のソロをかならずとっている。
このどれもが快調でクールだけど途中からかなり熱くなっていくのがまたたまらない。

これに対しリッチがあの手この手と次々にドラムをソロにからめてくるは
バンド全体をこれでもかとハードにリードしスイングさせてくるはで
もうたいへんなことになっている。

しかもお互いかなり熱の入ったプレーの連続で
観客も途中からフィリップスのソロの途中で歓声をあげているのが聴こえる。
特に最後の「.Jumpin' At The Woodside」は
フィリップスもリッチまさに白熱的、
だけど決してムキにならず常に愉しくしかも余裕ももちあわせた演奏となっています。

このため煽りを食らった残り二人の影がやや薄くなってしまい
あたかもリッチとフィリップスのデュオのようになってしまっていますが
(特にピアノは録音がオフ気味のためなおさらの感になってしまっています。)
それでも要所要所で存在感のあるプレイを聴かせてくれています。

しかしこれ生でみたら卒倒しちゃうかも。
フィリップスもリッチもどちらも堪能できる
とにかくかなりノリノリのアルバムです。

因みにこのライヴはだいたい五十分位でして
CDの残りには1954にスタジオで録音された
フィリップスとリッチが
オスカー・ピーターソントリオと共演した演奏が収録されています。
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So What (The Sound Of MILES) [JAZZ]

MD6.jpg

「The Sound Of MILES」

Miles Davis(tp)
John Coltrane(ts)
Wyton Kelly(p)
Paul Chambers(b)
Jimmy Cobb(ds)
Gil Evans Orchestra,

1 So What
2 The Duke
3 Blues For Pablo
4 New Rhumba

収録:1959年4月2日

マイルス・デイビスが
そのクインテットを率いて
ギル・エバンスとそのオーケストラと共演した
スタジオでのTV収録もの。

それにしてもこの時期に
マイルスのクインテットの映像が残っていたことが素晴らしい。
しかもコルトレーン在籍時の終わりというのも
この映像の見所といえるでしょう。

しかしこの映像、とにかくカッコイイ。
特に一曲目。「So What」

じつはこのときのメンバーから
コルトレーンがモブレーに変わったそれが
そのまま二年後にカーネギーホールに集結したそれがあの
「Miles Davis At Carnegie Hall」
なのですがこのときの一曲目も「So What」。

ところでこの映像
マイルスのアップも見応えがあるが
コルトレーンの豪快な吹奏ぶりも圧巻。

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ケリーの軽やかだけどブルージーなソロもまたたまらないものがあるが

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ベースのチェンバースの淡々とした弾き姿もなんともいえないものがある。

MD5.jpg

コブのリムショットもあいかわらず心地よい。

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だがそれ以上に面白いのは各人のプレイしていない時の表情。
特にコルトレーンがソロをとってる時のマイルスの表情。
タバコをふかしながら
「ああ、かったりーな」といわんばかりのその表情。
ふつうなら失礼千万なあれかもしれないが
マイルスのそれはなんか妙にこれはこれで絵になる。

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だがそのマイルスもコルトレーンのソロが佳境に入ると
そのソロをみる目つきが俄然変わってくるし
しかも体でリズムもとりはじめだす。
(ただしソロの終わり付近ではマイルスはあさっての方をみている。
 ほんとうにたまらないオヤジだ。)

このあたりがひとつの大きな見物という気がしますが
もちろん上記したようにソロひとつひとつもじつに聴き応えがある。

あと表情云々と書いていますが
ここでのカメラワークがとにかくおっそろしくカッコイイ。

MD9.jpg

マイルスがソロを取り終わり続いてソロを取るコルトレーンと
軽く交差する場面。
マイルスが二度目のソロをとるとき
そのバックからあらわれるエバンスオケの面々等々。

とにかくあけだしたらキリがない。
これをみてマイルスやコルトレーンに痺れない人がいるわけがない。
といいたいくらい全編見所聴き所満載の映像。

現在は1967年のかの黄金のクインテット
Wayne Shorter(ts), Herbie Hancock(p), Ron Carter(b), Tony Williams(ds)
とのライヴとのカップリングで
この時の映像がDVD化されている

そしてそのタイトルが

「So What」
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キース・ジャレット「ソング・ブック ライヴ・アット・サントリー・ホール'87」雑感 [JAZZ]

1987年4月14日、東京のサントリー・ホール。
キース・ジャレットがソロコンサートを行った。

KJ2.jpg

ケルンコンサートでジャズのソロピアノコンサートを
世界中に認知させ高く評価させたキースは
その後ソロ活動をやめトリオに専念したりと
いろいろとその活動がとりざたされたが
この1987年の春
キースはソロコンサートを行った。

場所は前年秋に開館したばかりのコンサート専門のホール。
特にその豊かな残響時間が話題となり
自分が前年10月に行ったドイツのオケの演奏会では
その開演前のホールで手を叩いて
ホールの残響を確かめていた聴衆が何人もいたものだった。

そのホールでキースは日本において記念すべき100回目のコンサートを
このサントリー・ホールで開いた。

ただしこのソロは今までのキースと違い
長大なそれこそ一曲何十分もするようなものではなく
短くしかもスタンダードナンバーを演奏するというものだった。

この日演奏されたものは以下の通り。

1 The Night We Called It A Day
2 I Love You
3 Thing Ain't What They Used To Be
4 Sound
5 I Love You Porgy
6 There Is No Greater Love
7 Round About Midnight
8 Solar
9 Then I'll Be Tired Of You
10 Sweet And Lovely
11 The Wind
12 Do Nothing Till You Hear From Me
13 I Got It Bad And That Ain't Good
14 Summertime


そしてこれは映像と音が収録され、現在もDVDが発売されている。
収録時間は約100分。

自分はこのコンサートを主催の鯉沼さんからのDMで知り
すぐに予約に走ったものだった。

そして当日自分はPブロックという舞台裏の席を購入した。
このため当時の自分の姿も極めて不鮮明ながら今回この映像で確認できた。

キースのそれはじつに印象深いものがあった。
まるで一度自分の中をからっぽにしたかのようにして
その後上から降りてくるのか
それとも中から沸き上がってくるのか
とにかく音楽が自然に
じつに純粋に紡ぎ出されるようにして流れはじめる。
といった具合だった。

キースはあるときはまるで祈り
あるときは呻き

KJ3.jpg

そしてあるときは立ち上がり舞台を踏みならし
ときにはピアノの下にもぐりこまんとするかのような
ほとんど没我の状態でピアノを弾きまくりつづけた。

KJ5.jpg

正直その姿を初めて生でみた自分は呆気にとられたし
隣の方などは思わずクスクスと笑っていたりしていた。

またキースはこのDVDをみていただければおわかりと思われるが
ピアノの鍵盤からほとんど指をはなそうとしない。
それはまるでピアノと一体化しているかのようで
あたかもピアノの方がキースを使って
その音楽を紡ぎ出しているかのような感さえあるものだった。

そしてその演奏。
それらはどれもキースの胸一杯ともいえる
音楽に対する強い愛情と深い畏敬の念を感じさせる
極めて心揺さぶられるものとなった。

あるものはまるでオールドスタイルのようであり
あるものは混沌とした少し以前の現代音楽のようであり
あるものはこの日演奏された「Solar」のように
聴くものすべてを圧倒しつくすような激しい音の洪水であり
そしてあるものはこの世にこれ以上ないというくらい
清澄を極めそして優しさと祈りを極めたような
それこそ乾ききった心の中に
爽やかな風と清らかな水が流れ込んできたかのような
そんな感じの音楽を紡ぎ出していった。

デューク・エリントンの曲が何曲か聴かれたが
特にアンコールで弾かれた
「I Got It Bad And That Ain't Good」

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このひたすら昇華されていくような清澄な音楽。
この素晴らしさを何に例えればいいのだろう。
ほんとうに心から祈りたくなるような
じつに涙なくしては聴けないような音楽だ。

それにしてもキースのこういうソロを聴くと
いつも自分の偏屈な心の中が
すこし広く、そして少し人に優しくなれるような
そんな気持ちにさせられてしまう。
ほんとうに一生の宝にしていたいくらいだ。

ところでこのDVDではわからないが
じつはこのアンコール時
多くの観客が通路の後ろで立ったまま聴いていた。

それはこのDVDではうまく編集されているが
アンコールを弾くまでけっこう時間があったのだ。
キースは何度か舞台を行き来したが
アンコールを弾く気配というのがじつはあまり感じられなかった。

だかその時は突然来た。
そしてあの「I Got It Bad And That Ain't Good」が紡がれた。
演奏終了後水をうったように静まりかえる全聴衆。

その中には帰り支度に身を包み
まさにホールを後にしようとしていたまさにそのとき
アンコールがはじまりそのまま立って聴いていることになった人達が
かなりいたのだった。

それらすべての
そしてあのホールにいた誰もがあの瞬間時が止まったように感じたに違いない。

その後流れるように
一転して動的な律動感にみちた「Summertime」がはじまった。

DVDでは演奏終了と同時にすべて終了となっているが
実際はその後嵐のような歓声と喝采そしてスタンディングオベーションと相成った。

このライヴは自分にとって現在まで唯一無二のキースのライヴとなっている。
その後この公演が素晴らしすぎて
ちょっと次行くことに躊躇してしまったことと
なかなか予定があわずに年月が経ちまくってしまっためなのですが
今年の秋に三年ぶりにトリオで来日するということなので
予定があいチケットがまだあったらぜひ行きたいところです。
(しかしキースも年とったなあ…)

それにしてもこのライヴはほんとうにいい。
特に「I Got It Bad」は何度も何度も繰り返し今でも聴いている。

ほんとうにこれは素晴らしいコンサートの記録であります。
(ビデオアーツより発売)


余談

激しい「Solar」の後
キースはハンカチを使って笑いをさそうような仕草をみせ
会場をホッと一息つかせた後
「Then I'll Be Tired Of You」の心安まる演奏へと
流れるようにすべり込んでいった。
この当たりのキースの配慮がまたなんとなく嬉しい。

以上です。
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「アート・ブレイキー1961」DVD [JAZZ]

ART BLAKEY,S JAZZ MESSENGERS
Tokyo 1961 + London 1965
Label: Impro-Jazz
Cat No: DVDIJ519

Lee Morgan (tp)
Wayne Shorter (ts)
BobbyTimmons (p)
Jymie Merritt (b)
Art Blakey (d).
Nobuo Hara Sharps and Flats big band added ontracks 5 & 6
TBS-TV Studios, Tokyo, Japan,
January 11, 1961.

01. THE SUMMIT  6:16 (Wayne Shorter)
02. DAT DERE  8:15 (Bobby Timmons)
03. A NIGHT IN TUNISIA  8:19 (Dizzy Gillespie)
04. YAMA  7:33 (Lee Morgan)
05. MOANIN’  9:58 (Bobby Timmons)
06. BLUES MARCH  6:59 (Benny Golson)


アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ初来日時に
TBSで行われた放送用セッションのDVD化。
この公演、初日が1月2日だったので
かれこれ十日ほど経ってのこれは
メンバーもかなりリラックスしての演奏となっていた。

特に後半二曲は原信夫とシャープス・アンド・フラッツとの共演という
なかなか珍しいものとなっている。

それにしてもこのときのメンバーは凄い。
モーガン&ショーターというフロント。
そしてティモンズ、メリット、ブレイキーというリズムセクションは圧巻だ。

画質も音質もいまいちなのが残念だが
それでもその各々のプレイは強烈だ。

モーガンのそれはペットが裂けてしまうのではないかというくらい
火の出るようなものになっている。
ずいぶん前にモーガンの実演を聴いた人に話を聞いたが
「もうさあ、ションベンスタイルでバリバリ吹いて最高だったよ」
と言われたのをこれをみて思い出した。

lm1.jpg

これに対してショーターも燃えていた。
「DAT DERE」でのそのプレイは
完全にライブモードになっている。

ws.jpg

ティモンズもまた熱いソロを聴かせているが
自作「モーニン」を演奏しているときに
バックの原さんをみている後ろ姿が印象的。

bt.jpg

またベースのメリットも黒いソロを聴かせているが
そのソロをとっている時
ショーターらしき指が後ろの原さんに指示を伝え
それに原さんが頷いていたシーンも印象的。

jm.jpg

そして御大ブレイキーはあいかわらず
口半開きで強烈なドラムを披露している。

ab1.jpg

いろいろとお約束のナンバーが多く
当時の日本向けという気がしないでもないですが
全員の熱いプレイがとにかく素晴らしいですし
最後のシャープスとの二曲が
シャープスの迫力ある演奏もあって
ジャズフェス的な華やかな雰囲気になっていたりと、
とにかくこれはこれでかなり見応えのある映像だし
聴き応えのある演奏だ。

因みにこの初来日時の初日の公演はCDにもなっていますし、
この初来日公演のことが大島 幹雄さんの
『虚業成れり―「呼び屋」神彰の生涯:』 にも
かなりいろいろと書かれておりますので
これと併せてみるとなかなか面白いものがあると思います。

当時とにかくこの公演は話題になりましたし
熱い話題を提供したものでした。

またプレイキー自身もこのとき親日家となり
その後何度となく来日してくれました。
そのブレイキーも今年(2010)で没後20年。早いものです。

因みにこのDVDには1965年のロンドンでのスタジオライヴも収録されています。

abjm.jpg
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カウント・ベイシー75 [JAZZ]

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Count Basie (piano)
Roy Eldridge (trumpet)
Johnny Griffin (tenor saxophone)
Milt Jackson (vibraphone)
Niels-Henning Orsted Pedersen (bass)
Louis Bellson (drums)

1. Billie's Bounce
2. Montreux Blues Ⅰ
3. Lester Leaps In
4. Montreux Blues Ⅱ

July 19, 1975.

(DVD番号 / VABG-1138)


1975年夏のモントルージャズフェスティバルでのライヴ。
これと同内容のCDが出ていたけど
このDVDはそれより音質は落ちるけど一曲多いのが嬉しい。

画質は1975年にしてはいまいちかもしれないけど
とにかく内容がいい!

メンバーがまずちょっと面白い。
スイングからハードバップまでの
各戦場で勇名を馳せた巨人たちが一同に会している。

ふつうだとちょっとバラバラになりかねないところだけれど
それら巨人たちの中央にいるベイシーが
各巨人たちをしっかり自分のもつ巨大なフィールドの中で、
じつに自由かつ熱く演奏させている。
そしてその手綱さばきというか阿吽のピアノがとにかく素晴らしい。
全員がもう安心して全力で楽しんでいるのがじつによくわかる。

一曲目のソロ一番手のロイがいきなり火の噴くようなプレイを聴かせる。
すでに枯れきった音ではあるけど、
そのあふれんばかりの熱い気持ちが炸裂するそのソロがもうたまらない。
これが他のメンバーにも火をつけた。

続くグリフィンが負けじと吼えるは唸るはのぶっといソロで続く。
そしてミルトも音板を叩き割らんかというくらいの叩きっぷりで
ソロが終わったの後の表情などは
音楽を出し切ったという心地よさを全身であらわしていた。

とにかく一曲目から全員がもうノリノリ状態の
やる気全開状態となってしまったのだから
その後の演奏も悪かろうはずがない。
もうジャムセッションの愉しさ満点となっている。

またソロをとっていないときの
ホーンの二人とミルトの表情や仕草がとにかくリラックスしまくりで
これもまたこのDVDをみる愉しみとなっている。

あと三曲目のベルソンのツーバスを駆使したドラムソロも
この人にしてはコンパクトに締まったものとなっているが
観客を熱狂させるには充分なほど盛り上がったものとなっている。

だが極め付きはなんといってもベイシーの表情。
常に笑顔を絶やさないその表情がとにかくいい。
正直この演奏がここまでの出来となった最大の要因は
このベイシーの笑顔ではないかとさえ思えるほど
その表情はもう最高だ。

とにかくやってる方も聴いてる方も
音楽をとことこん愉しみまくったライヴDVD。

お気に入りの一枚であります。
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V.S.O.P.ザ・クインテット / ファイヴ・スターズ [JAZZ]

VSOP.jpg

1. Skagly (Freddie Hubbard) 10.15
2. Finger Painting (Herbie Hancock) 6.44
3. Mutants On The Beach (Tony Williams) 11.06
4. Circe (Wayne Shorter) 4.31

Herbie Hancock (p)
Wayne Shorter (ss,ts)
Freddie Hubbard (tp, flghn)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)


1979年7月26日。
今でも伝説とされるVSOPザ・クインテットによる
雨の田コロとよばれるライヴがあった。

今回のこれはザ・クインテットが
その三日後に東京のスタジオで録音した
唯一のスタジオ録音であり、
同グループ最後の録音となったもの。

全体で約32分ということで
多少割高感がないではないものの
演奏も録音もすこぶるいい。

特にその中でも
最初の「スケイグリー」のかっこよさは
かなり秀逸なものがある。

中でもリズムセクションが素晴らしく
特にハービーのピアノがメチャクチャかっこいい!
曲はフレディ・ハバートのものだけど
ハービーのピアノが入ると
まるでハービーの曲みたいに聴こえるほどだ。

もちろんホーンの二人も好調で
お互いの味をしっかりだしている。

他の三曲ももちろんいいけれど
この一曲目が特大にかっこよすぎて
個人的にはもうこれにつきてしまうくらいだ。

他のVSOPのアルバムがあまりにも有名すぎて
いささか可愛そうなところがあるけど、
このアルバムもかなりのものだ。
しつこいけど特に一曲目。

それにしてもあの
雨の田園コロシアムから今年(2009)でもう三十年。
メンバーもすでに二人鬼籍に入ってしまわれている。

ほんとうに早いなあ…と、ためいきひとつです。
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マイルス・イン・トーキョー [JAZZ]

マイルス.jpg

1 If I Were a Bell
2 My Funny Valentine
3 So What
4 Walkin'
5 All of You
6 GO-GO

Miles Davis(tp)
Sam Rivers(ts)
Herbie Hancock(p)
Ron Carter(b)
Tony Williams(ds)


マイルスのアルバムを聴き始めたころ
ある方にマイルスの強烈なライヴを聴きたいと言ったところ
「イン・ベルリン」と「カールギーホール」を勧められた。
で、そのとき「イン・トーキョー」は?とついでに聞いたところ、
「うーん…」と言って口を濁された記憶があった。

そのためこの1964年のマイルス初来日ライヴである
「イン・トーキョー」は長いこと避けてしまったアルバムとなった。

で、ようやく最近これを聴いたのですが
これがいろんな意味で凄かった。

とにかく全員のテンションが高い。
マイルスのペットも冴えてるし
リズムセクションの三人もかなり熱いものがある。

だけど一番凄かったというか異彩を放っていたのが
サックスのサム・リバース。
当時マイルス以上に時代の先を走っていたというこのプレーヤーが
ここでひとりマイルスのサウンドとは違う世界といいますか、
己の世界一直線のようなソロを展開しまくっている。
それこそマイルスコンボにゲストで招かれたプレーヤーが
好き放題の言いたい放題かましまくっているといった
そんなソロを展開していく。

どうしてこんなソロになったのかはわからないのですが、
ライナーを読むとリバースは最初から二ヶ月程のピンチヒッターという契約で
このマイルスコンボに参加したということ。
ですからリバースもマイルスも
ある程度は何やっても許せるし許されるという環境での
これは組み合わせだったようです。

ただこのリバースの異色とも異種格闘技ともいえるソロが
他のメンバーに火をつけたようで、
マイルスのソロもバリバリだけどリズムセクション、
特にリバースと同郷でマイルスにリバースを推薦したウィリアムス、
このトニー・ウィリアムスのソロがおそろしくノリがいい。

このためいつもならもっとビシッと決まったマイルスコンボのサウンドが
まるでジャムセッションのような雰囲気で迫ってくる。
(トニーはひょっとしてこうなることを目論んでいたのだろうか?)

これをライナーの小川さんはグループのサウンドを「崩した」と
表現されていたようですが、
それもまた言えてるといった
とにかく自由奔放と無秩序の境界線を
危険なところで行ったり来たりしているといった、
とにかくそういうスリリングなこれはサウンドとなっています。

決して完成度の高いアルバムではないかもしれませんし、
かつては「うーん…」と言われたアルバムですし、
ライナーにはリバースがマイルスのグループに溶け込めず
苦闘している音が聴けると書かれておりますが、
けっこうこれはこれで自分のお気に入りとなっています。

因みにこれは7/14の厚生年金会館でのライヴですが、
(最近「涼宮ハルヒの弦奏」が行われたあのホール)
このときの日比谷や京都丸山音楽堂でのライヴもCD化されており、
ここでのリバースはより調子がよかったとのこと。
これもぜひ聴いてみたいところです。

余談ですが自分がサム・リバースを初めて生で聴いたのは
1987年に斑尾に登場したディジー・ガレスピー・ビックバンドとともに
そのメンバーとして来日したときのこと。
そのときはジョン・ファディスにふざけてちよっかい出して
ガレスピーに怒られ?おどけていました。

時が経つのは早いものです。
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スタン・ゲッツ~カル・ジェイダー・セクステット [JAZZ]

Stan Getz With Cal Tjader
(これがオリジナルタイトル)

SG.jpg

Stan Getz (tenor saxophone)
Cal Tjader (vibraphone)
Vince Guaraldi (piano)
Eddie Duran (guitar)
Scott LaFaro (bass)
Billy Higgins (drums).

1. Ginza Samba
2. I've Grown Accustomed to Her Face
3. For All We Know
4. Crow's Nest
5. Liz-Anne
6. Big Bear
7. My Buddy

UCCO-9757(ステレオ)

梅雨時ということだからではないけれど
さっぱりしたジャズにどうしても手がのびる。
で、今回はスタン・ゲッツが1958年に
ヴァイブのカル・ジェイダート共演したアルバム。

ゲッツの爽やかでちょっとハスキーなテナーと
ジェイダーの珠を転がすようなヴァイブの絡みがじつに心地よい。

だけどそれ以上に最高なのがここでのリズムセクション。
今考えると夢のような顔合わせだ。

ドラムはビリー・ヒギンズ。
オーネット・コールマンをはじめとする
多くのジャズジャイアンツと共演した名ドラマー。
正直いろいろ話すのは野暮というものだろう。

ギターのエディ・デュランは自分はよくは知らないけど
1980年の第一回オーレックスジャズフェスティバルで
ベニー・グッドマンバンドのリズムセクションの一人として来日していたので
ご存知の方も多いと思われる。
このときはなかなか味のある演奏をしていたという印象があります。

そしてベースがあのスコット・ラファロ。
このセッションの翌年からかのビル・エヴァンストリオの一員となり、
この三年後にヴィレッジヴァンガードで奇跡を録音することになる。
因みにその数日後にあったラファロ最後のステージでの共演者が
このアルバムのリーダー、ゲッツであるというのも何か因縁めいたものがある。

で、ビアノがなんとヴィンス・ガラルディ。
ウディ・ハーマンやカル・ジェイダーのグループで演奏していたピアニストですが、
なんといってもかのスヌーピーやチャーリー・ブラウンでおなじみの、
"ピーナッツ"の音楽を担当し数々の名曲を作曲したことで有名なあのガラルディだ。

また各人有名になる前の時期の演奏ですが
四人が四人ともじつに快適かつ聴かせる演奏をしてくれています。

まあそれにしても聴き所がたくさんのアルバム。

いろいろあげていくとたのしみが無くなってしまうのですが
あえてひとつあげるとすると
一曲目の「Ginza Samba」

ガラルディの曲ということですが
これがガラルディが日本での印象云々なのかどうかはわかりません。
ちょっとスヌーピーっぽい雰囲気があるようにも感じられる曲ですが
これがもう最高に快適快調!
十分強のジャムセッション風の曲で、
全員が一丸となって軽快にスイングするそれはもう絶品の一語。

とにかくなかなか楽しいジャズアルバムです。
ゲッツもジェイダーもじつにリラックス。
ガラルディやデュランもお洒落でスマート。
そしてラファロのベースがあまりにも心地よい。

ほんといいアルバムです。
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