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ブランフォード・マルサリスの「Random Abstract」 [JAZZ]

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①Yes and No (Wayne Shorter)
②Crescent City (Branford Marsalis)
③Broadway Fools (Branford Marsalis)
④LonJellis"(Kenny Kirkland)
⑤I Thought About You (Johnny Mercer, Jimmy Van Heusen)
⑥Lonely Woman"(Ornette Coleman)
⑦Steep's Theme"(Branford Marsalis)
⑧Yesterdays (Jerome Kern, Otto Harbach)
⑨Crepuscule with Nellie"(Thelonious Monk)

Branford Marsalis - saxophones
Kenny Kirkland - piano
Lewis Nash - drums
Delbert Felix - bass

August 12–13, 1987


ブランフォード・マルサリスとはとにかく相性が悪い。

1985年の斑尾で聴いたセクステット。
1986年のライブ・アンダー・ザ・スカイで聴いたハービーのトリオとの共演

どちらも正直何が何やらという感じでポカーンと聴いてたという印象しかない。

なので1987年の斑尾にあらわれたこのカルテットも期待薄だった。


この年の斑尾の目玉は70歳を迎えたディジー・ガレスピーのビッグバンド。

当然これを目当てに来た人も多かったが好事魔多し。

初日最初こそ好調な滑り出しをみせたものの、途中から遠くの山から霧がすべるように近づいてきて会場全体を霧が包み込み、芝生に座っている自分の足しかみえないくらいに視界がおちた。

音は聴こえるが姿も何も見えないという、野外で大音量でCDを聴いてるような、極めて異常な状況になった。そのうち小雨が降りだしそのおかげで霧が晴れたが、今度はその雨が大豪雨に発展。

ついには舞台の天井がクラッシュし、中央の全体の1/3しか舞台が使えないという非常事態。

このためメインのガレスピーバンドは、中央の1/3にリズムセクションが固まり、その前にガレスピーが仁王立ちになってペットを吹き、他の奏者はソロを取る時のみバックステージからあらわれ、そして次の人とバトンタッチして引っ込むという、たいへんな状況になってしまった。

ガレスピーは演奏中に「雨よやめ!」と叫びながらソロを取るし、単独ゲストでこのフェスにやってきてたラリー・コリエルが飛び入りで熱いソロを取ったりと、観客もこれに皆ずぶ濡れになりながら熱狂的な反応をしたりと、とにかくかなり破天荒なステージとなった。

横では必死に天井がこれ以上崩壊しないよう補強したり、舞台上を必死に拭いているスタッフが懸命に頑張っている姿も印象に残った。


翌二日。


この日も途中濃霧に襲われたものの前日のような豪雨にはならなかった。

このフェスは連日ガレスピーバンドが昼のこのメインステージでトリをつとめたが、二日目のこの日だけはブラフォードのグループがメインだった。

じつは前日もそんなにブランフォードは印象が残っていないが、このトリをつとめた二日目のブランフォードは圧巻だった。

情けない事に何を演奏したかは覚えていないけど、演奏を始める前に霧の影響かどこかうす暗くしかもうすら寒い雰囲気だったのをみてか

「これからみんなをホットにしてやるぜ」

みたいな事を言って始めた演奏がとにかく凄かった。

他のメンバー、特にカークランドのピアノも強烈だったけど、とにかくブランフォードのソロが圧倒的で、これでもかと本当にこちらがホットになる熱いソロを吹きまくった。

聴いていて「ブランフォードってこんなに凄かったっけ」と本当に今迄自分は何聴いてたんだろうというくらいの、とにかく圧倒されるステージがこのとき展開された。

翌三日目もブランフォードは絶好調で、こちらも聴いてて凄く気持ちよかったけど、この日は途中でカンカン照りになって、暑くてボーっとしてしまったのがさらに情けなかった。


この斑尾の後。ブランフォードグループのメンバーは東京のスタジオで二日間にわたりレコーディングしたというのを、じつは自分は知らなかった。

なので翌年このアルバムが発売されたのも知らず、このアルバムの存在を知ったのは、なんと令和に入ってから。

全体で73分収録というこのアルバムだけど、フェードアウトする演奏がひとつもないせいか、ちょっとしたスタジオライブ的な雰囲気すら感じられ、そのためかあの斑尾での感覚が蘇ってくるような気がしたものでした。

特に一曲目のそれは斑尾での演奏を思い出すほど熱い演奏で、「ひょっとするとこの曲もあの時演奏していたのかも」と、ふと思ったりしました。

海外ではブランフォードのアルバムのなかで「幅広いレパートリーを披露した録音であり、最も興味深い(そしてやや変わった)録音のひとつ」と評価されているようですが、自分にとっては前述したように、斑尾で熱く圧倒的に吹きまくったブランフォードを思い起こさせてくれるアルバムとなっています。

因みにこの録音の半月後にあったニューポートのフェスでの同じメンバーによるライブがUPされています。
https://www.youtube.com/watch?v=zw_yQ3V5gEU

これもあの斑尾のそれを彷彿とさせる演奏です。

尚、このアルバムのプロデューサーとして、デルフィーヨ・マルサリスガクレジットされていますが、先の斑尾にもトロンボーン奏者として登場、日本デビューをこのとき飾っています。
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