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シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団(12/8) [演奏会いろいろ]

(会場)NHKホール
(座席)3階C13列20番
(曲目)
ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
リスト/ピアノ協奏曲 第2番 イ長調 (P/ルイ・ロルティ)
レスピーギ/交響詩「ローマの祭り」「ローマの噴水」「ローマの松」

デュトワを聴くのはじつに久しぶりだ。特にN響となるしほんとうにさらに久しぶりという感じだ。ひょっとすると今世紀初だったかもしれません。

そんな久しぶりのデュトワ&N響ですが、最初のベルリオーズを聴いて、音は柔らかくてかつてのデュトワサウンドではあったのですが、なんか全体的に音がこもり気味。たしかにNHKホールはやや乾いた音質なので、たまにそういう感じがするときもあるけど、こういう響きはあまり聴いたことがない。

どうもおかしいと思ったが、よく考えてみるとこの日のNHKホール、じつは超満員だった。自由席も最後はどこに空きがあるのか、係りの人もすぐにはわからないくらいの混み方だった。おそらく満員のそれと、冬のあの厚着とが重なって、そういうふえに聴こえたのだろう。こんなことなら、もう少し前の座席にするべきだったとちょっと後悔した。

続くリストはロルティのピアノともども派手ではないが、じっくりと練り上げたような演奏に聴こえた。そういえば以前デュトワはフランス国立と来日したとき、リストの1番をコラールと演奏していたが、そのときやはり派手さとは無縁の演奏だった。このあたりはこの人のリストに対する基本線なのだろう。

この後15分休憩でローマ三部作へ。

デュトワはこの三部作をほとんどインターバルを置かず、拍手が終わるとすぐ次へ次へというかんじですすめていた。まさに三部作を意識していたのだろう。

演奏はどの曲も濁りの無い響きと、無理も無駄も無い造形にのっとった、じつに見通しのよく、しかも澄んだ色彩に富んだスケールの大きな演奏だった。特に弦の弱音の響きが美しく、「祭り」の「十月祭」後半のマンドリンがでてくるあたりの弦の響きなどは秀逸なものがありました。

また前半感じられたこもり気味の感覚もこのときはなくなっていた。耳も慣れたのかもしれないが、オケが前半より、より冴えた密度の濃い、しかもよく通る色彩的な響きを出していたからなのかもしれませんし、レスピーギの素晴らしいオーケストレーションをデュトワが最高の形で導きだしたこれは結果なのかもしれません。

とにかくどの曲も強音では広大かつ力強さを持ちながらも無理強いはせず、弱音はときおり透かし彫りのような響きを聴かせるなど、とにかくレスピーギの詩情豊かな美しさが前面に出た素晴らしい演奏でした。

それにしてもデュトワのコントロールはじつにN響の深い部分まで浸透しているようで、ここまでN響からしっかりとした意思と統一感を感じさせられる指揮者が他にいるだろうかというくらい、それは素晴らしいものがありました。このコンビは来年ザルツブルグにいよいよ殴り込みにいくとか。今回のそれを聴いたら、それにとても期待できるものを感じました。

デュトワも今年76歳となりました。今が最高の聴き時かもしれませんが、このコンビ、今は毎年12月しか聴けません。ただ毎年聴けるというそのことだけでも今は良しとすべきことなのかもしれません。尚、来年はそれ以外にもロイヤルフィルとの来日公演もあるようですので、それらもまたファンにとっては楽しみなところでしょう。
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