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ボフスラフ・マトウシェク&丹生谷佳惠(12/17) [音楽]

(会場)中川地区センター
(座席)自由席
(曲目)
ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 作品1-14
ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ ト長調 作品100
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 
マスネー:タイスの瞑想曲(アンコール)


プラハ・ゾリステンのメンバーの一員として来日中のチェコの名ヴァイオリニスト、マトウシェクが日本のピアニスト丹生谷さんと共演したミニ・コンサート。

じつはこの中川地区センターは自分の家から歩いて十数分のところにある。そんな近場にまさかあのマトウシェクが来るという情報が来たのは、今から数週間前の回覧板でのお知らせだった。最初はさすがに目を疑ったが、とにかくこれは行くしかない。こんな地元にこれほどの大物が来るなどということはもう無いだろうということででかけることにした。当初は昼の部だけだったのですが、前売りが好評なため急遽夕方の部も追加で行われることになった、自分が行ったののその追加の夜の部。

会場はセンターの中の七十人ほどがはいれる板張りの多目的な部屋で、そこにピアノが正面奥におかれ、音響上の配慮から黒板の上にはスクリーンがおろされているという気のつかいようがあった。因みにこのコンサートは地元のピアニストである丹生谷さんが数年前から地元で行っている企画の一環で、今回で27回目を迎えるというもの。ほんとうに地元を大切にされているということを強く感じたものでした。

最初のヘンデルは二人ともヘンデルのもつ格調の高さと歌謡性を両立させた見事なもの。続くドヴォルザークはマトウシェクの中音から低音にかけての豊かな響きと、アメリカ風ともチェコ風とも感じられる、その味わいがまた格別。とにかく前半のこの二曲だけでも、この日来た人が皆満足させられるだけのものがありました。

この後15分の休憩(なんとお茶のサービスがありました)の後後半のフランク。

この後半がまた素晴らしかった。三十分近いこの大曲をとにかく飽きさせず一気に聴かせただけでなく、この曲がたんなるヴァイオリンソロとピアノの伴奏という曲ではなく、この二人が同格で音楽を紡ぎあうというそれを、今回のこのお二人は見事に表現していたといえると思う。

第一楽章の瞑想的かつ明晰な響き、第二楽章の気迫あふれる演奏、そして終楽章における素晴らしい高揚感と、高揚するにつけ次第に音楽が崇高ともいえるような清澄な響きをともなっていくその様は、終盤聴くものに大きな感銘を与えずにはおかない、たいへん聴き応えのある見事な演奏となりました。

これにはマトウシェクと丹生谷さんの息のあったそれも大きかったと思います。特に丹生谷さんの弱音ペダルを軸とした弱音のコントロールと、曲による背景の描き分けの妙はかなりのものがあり、しかもそれがたんなる「つけ」に終わっていないことも感心してしまいました。

とにかくとても息のあった素晴らしいコンサートでした。コンサート終了後、今回のフランクを含めたこのお二人によるCDを購入。サインをいただいたときマトウシェクさんとちょっと片言のお話をしたのですが、なんとそこで33年前に読売日響でコンサートマスターをやっていたとき、スロヴァークとマルティヌーの交響曲第6番を演奏していたことを記憶していたのにはビックリ。チェリビダッケやメータはともかく、このあたりまでもしっかり記憶していたのには、この人の記憶力の良さに正直驚いてしまいました。

本人はフルオケのコンマスはもう興味がなく、室内合奏でのリーダーに活動の中心を置かれているようなので、もうこの人をオケのコンマスとしてみることはないと思いますが、これからもリーダーやソリストとしてどんどん活躍してほしいと今回のコンサートを聴いてあらためて思った次第です。

尚、ピアノの丹生谷さんの順応性というか引き出しの多彩さにも素晴らしさを強く感じました。
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