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アラン・ブリバエフ指揮東京交響楽団 (6/6) [演奏会いろいろ]

(会場)オペラシティ・コンサートホール
(座席)2階C4列1番
(曲目)
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より、ポロネーズ
チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲(VC/長谷川陽子)
チャイコフスキー:交響曲第5番


初来日時に客演した仙台フィルからたいへんな好評を得たブリバエフは、その後全国各地のオケに客演していましたが、今回ようやく関東地区に初登場とあいなりました。

最初のポロネーズからすでにこの指揮者が、弦に弓をできるだけつけて弾かせることを軸にしていることがみてとれたのですがまだここは試運転程度。

続くロココは長谷川さんが中盤は多少色濃いものがあったものの全体的には清楚で端正な演奏を展開。ブリバエフもそれを邪魔しないうまい背景をつくることに成功していました。まあこの曲はオケがソロを助けたりプッシュしたりするものではない、ある意味無伴奏チェロの曲にオケが添えられたような曲なので、ここはこれでということで。

そして後半の交響曲。ここでブリバエフはその全貌をようやくみせてくれました。

ブリバエフはたっぷりと歌うところは徹底的に腰をわってじっくりと歌い、整然といくところは愚直なほどインテンポで整然とおす。また唐突なリタルダントで意表をつくようなことをしない。またかなりオケ間のピッチに神経を使っている等々、たしかに第一楽章の序奏や第二主題、さらには第二楽章における有名なホルンの主題が、おっそろしいくらい遅めで演奏されるため、そこだけ聴くとそれこそ十九世紀的な指揮者と思われてしまいかねないが、それ以外はかなりストレートで現代的といえる部分が軸となっている。

特に第二楽章冒頭の弦の響きの積み重ねとその動かし方の絶妙さは、まるで墨絵をみているかのような趣さえあるし、終楽章の主部などはかなり指揮者が気合いをいれているものの、指揮者自身は没我になるどころか、むしろ集中しながらも冷静に音楽を進めているようで、それは最後のコーダに至るまで貫かれていました。またひじょうに音楽をよく聴いているという感じがし、自分の出している音楽を多くの指揮者よりもきもち長く聴きそして確認しながら指揮しているような感じが随所にありました。

結果的にはブリバエフは個性的ではあるもののかなり冷静で、ときおり大胆な表情はみせるものの、それによって音楽の流れを不自然にしたり奇をてらったりしないという、そういう指揮者という気がしました。

初来日以前にはセオリー無視の奇人?みたいなことを言われていた節があったものの、今回に関していえばそれは少なくとも無いという気がしました。大胆にして堅実といいましょうか。それが今回のブリバエフの印象でした。ただ木管にときおり面白いバランスを要求しているので、これがチャイコフスキー以外ではどうなるのか、次回の来日ではぜひそのあたりも聴いてみたと思います。1979年生まれということですので、今年ウィーンフィルと初来日するネルソンスよりも一つ年下という、これからの指揮者。ぜひ今後を期待したいと思います。

因みに本日はホルンとトランペットを各1管ずつ増量していました。

さて私事ですが、今年は年明けから断続的に腰と背中に爆弾を抱えたため、なかなか演奏会に行かれません。今日は天候もよく、ようやく行けたものの、調子に乗って初台から新宿まで歩いたら早くもちと違和感が…。というところで、今年はこのような間隔で演奏会に行くことになると思いますのでご了承ください。

以上です。
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