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ペーター・シュナイダー指揮東京フィルハーモニー(1/25) [演奏会いろいろ]

(会場)オーチャードホール
(座席)1階36列1番
(曲目
モーツァルト:交響曲第41番
Rシュトラウス:「ばらの騎士」組曲
Rシュトラウス:楽劇「サロメ」より「七つのヴェールの踊り」


オペラを中心に活動を行っているペーター・シュナイダーの指揮。

まず前半のモーツァルト。インテンポで演奏されたこのモーツァルトは、手堅く低音がよく響くという特長を持ちながら、ひじょうにウィーン風ともいえる優雅なニュアンスと、柔軟な音質が兼ね備わったもので、最初こそちょっと抑制が強すぎるかと思われたものの、第一楽章の繰り返し以降、急速にスケールの大きさが音楽に伝わりはじめ、優雅で堂々としたモーツァルトへと変容していきました。

もっともシュナイダーの素晴らしさはやはり劇場音楽によくあらわれるようで、後半のシュトラウスはまさに絶品でした。

後半最初の「ばらの騎士」。もう冒頭からじつに活き活きとした響きが颯爽とあらわれ、しかもオケの輝かしい響きも手伝って、理想的ともいえるシュトラウスが鳴り響きました。

第二幕のオックス男爵のワルツの絶妙な強弱緩急のニュアンス、終幕三重唱と二重唱の爛熟的ともいえる官能的な響き、そして最後のワルツの壮麗かつ巨大な質感を伴った圧倒的な響きなど、もうこれしかないというくらい素晴らしい演奏となりました。シュナイダーは以前東京フィルと新国立で「ばらの騎士」全曲を指揮、かなりの絶賛を受けたようですが、今回のこの再演?はそれを頷かせ、聴きにいけなかったことへの残念感がさらにつのらせるほどの名演でした。

かつてのクライバーが天性のそれを如実にみせた演奏だったのに対し、シュナイダーのそれは見事に計算されそして職人的ともいえる巧さでそれを彩った演奏だったように感じました。またシュナイダーは決して音量で押さず、オケを常に余裕をもって豊かに響かせることを第一とさせているため、とにかく音楽が決して一面的にならす、じつにいろいろな面が多様に響くという面をもっているようです。ですが音楽の向かう方向性というもののポイントを絞り込んでいるため、決してとっちらかたり。八方美人的になったりしないのが素晴らしく、エネルギーをしっかりと客席に伝える術をもっているため、その説得力は無類のものがありました。

最後の「七つの踊り」も同様の演奏で、これまた見事な演奏でした。

シュナイダーはとにかく音楽の表情と歌心が豊かで、それを職人的な巧さでみごとにまとめ、スケールの大きな音楽を形成していくというタイプの指揮者ですが、かつての劇場叩き上げ指揮者のような経歴が示すように、とにかくいろいろと引き出しの多い指揮者という気がします。

たしかにかなり以前からその素晴らしさをいろいろな方から聞いていましたが、まさかこれほどの実力者だったとは。

これからもより多く来日し、その引き出しの中味をいろいろとみてみたい指揮者です。
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