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狂言をみにいく。(2019年4月横浜能楽堂「唐相撲」他) [いろいろ]

このまえひさしぶりに横浜能楽堂に狂言をみにいった。

内容は以下のとおり。

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自分はかつて落語や狂言といったところを、
けっこうよくみにいったけど、
ここ十年ほどはご無沙汰になってしまった。

ただ今回は「唐相撲」がをやると聞いて、
さすがにこれはみのがせないと思った。


「佐渡狐」とか「棒縛」のように、
この演目はそうそうできるものではない。

というのも登場人物が三十人を超えるという大編成。

しかもその人数分の衣装も必要なのだから、
これはなかなか揃うものではない。

このため現在みの出し物をやれるのは、
ごくわずかの所だけで、
今回はそのひとつの大蔵流茂山千五郎家が行った。


この日は満員御礼。
当然お目当てはこの「唐相撲」だけど、
前半の「独り松茸」もじつはこれも楽しみだった。

何しろ最初から最後までたった一人で演じ切るため、
なかなかそうそう出てくる演目でもない。

一人で延々というと、
「木六駄」というものがあるけど、
あれも実際は他に数人共演がいる。

そんな「独り松茸」を今回は茂山あきらさんが演じたけど、
主人公(シテ)の少し粗忽で飄々としたそれを、
じつに絶妙に演じ、そして唄いそして舞った。

特に驚いたのは、
座ったまま唄ったときのその声の通り。

ちゃんと能楽堂内に見事に響き渡っていたのには、
当然かもしれないけどさすがに驚いた。

ところどころアドリブを取り入れ観客を沸かせたけど、
「唐相撲」を目当てにに来ていた人が多かっただけに、
よりこれは新鮮に映ったのでないだろうか。


25分程で前半が終了。

このあと15分間休憩となるが、
五分程前半が早く終わったたため、
五分余計に休憩をとる形をとった。

そして後半の「唐相撲」。


もうただただ圧倒されてしまった。

舞台から橋掛かりにかけて全31人が勢揃い。
他に囃子方と後見をあわせると39人。

一時的に重要文化財の上に四十人近くが乗るというもの。

しかも途中かなりのドタバタがある。

組体操あり、バク転側転あり、
さらに投げられて一回転して舞台から橋掛かりまで飛ぶものあり、
あと二人で輪になってぐるぐる回りながらそのまま幕口から外に消えて行ったり、
もう伝統芸能という範疇を超えた、
狂言の中にコントとサーカスを入れたらこうなりましたというくらいの、
もう大ごった煮大会状態。

正直、伝統芸能というと小さな動きしか想像できない人が多いと思うけど、
ここでは誰がいちばん普段から鍛錬しているかを、
まるで競い合っているかのように、
とにかく動いて動いて動きまくる。

正直これだけどったんばったんやってると、
能楽堂の関係者は舞台がやられるんじゃないかと、
かなりひやひやしたことだろう。

ただこれでも一部NGが出たため、
一部やれないものがあったというのだから、
リミッター外したらどうなっていたことか。

正直本当にあんぐりというかんじだった。

まだそれ以外にも怪しい歌詞だけど、
なんものすごく迫力と思わず聴き入ってしまう見事さを兼ね備えた、
全員による大歌唱や単調だけど全員でやると妙に説得力のある動きなど、
とにかく見所がこれでもかとある。

とにかくクラシック音楽の演奏会でいえば、
「千人の交響曲」や「グレの歌」にあたるのだろうけど、
ほんとうによく舞台から人が飛出さなかったという感じでした。

今回これをやるにあたり、
茂山千五郎家総動員といった感じで、
親子四代、上は七十代半ばの方から、
下は公演数日前に八歳になった方までと、
太平洋戦争中に生まれた方から、
311の後に生まれた方までと、
まるで日本の戦後史がそのままできてしまうほどの、
年齢層の幅広さ。

そういう人達が一堂に会して演じたこの「唐相撲」。
(因みに、前半でていた茂山あきらさんも、後見として舞台に上がられていました)

なんか平成の最後を飾るに相応しい演目で、
これで愉しく令和を迎えられそうに思った公演でした。

終演後はそれまで降っていた雨もほとんど上がり、
観客全員が笑顔で帰路についたこの日の公演。


演者の皆様、ほとんうにありがとうございました。


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阿伊沢萬

これビデオカメラ数台で正面後方付近から撮影していました。

記録用なのか放送用なのかは不明ですが、もし放送されたら絶対録画します。それほどの見物でした。

soramoyouさま、nice! ありがとうございます。
by 阿伊沢萬 (2019-05-01 23:53) 

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