SSブログ

シェーンベルクの「私的演奏協会」のブルックナー。 [クラシック百物語]

私的演奏協会

1918年秋にウィーンにおいて、アルノルト・シェーンベルクによって旗揚げされた音楽団体。純粋に同時代の音楽に興味をもつ人々のために、入念なリハーサルのもとに良質な演奏を行うことをうたった。1919年2月から、1921年12月にオーストリア共和国の超インフレのため活動停止を余儀なくされるまでの3年間、117回のコンサートを行い、154作品を上演した。

と、wikiに書いてあるが、
同時代の作曲家の作品だけでなく、
それ以前の作曲家の曲や、
後期ロマン派の大編成の作品を、
ビアノや室内楽編成に編曲して演奏するという、
なかなか意欲的なそれであったといわれている。

そのいくつかを聴いてみたけど、
とにかく編曲が巧妙で原曲の良さをよく引きだしながら、
新鮮な感覚も随所にみせたものになっている。

またなんとなくですが、
どこか「浅草オペラ」を思わせるような、
妙に懐かしい響きも感じさせられるものがあります。

まあ師匠も編曲は上手かったので、
弟子も当然そういう技術には長けていたのだろう。

そんな中でいちばん驚いたのが、
エルヴィン・シュタイン、ハンス・アイスラ、カール・ランクルという、
三人のシェーンベルクの弟子たちが、
各々ひとつないしふたつの楽章を担当した、
ブルックナーの交響曲第7番の室内楽版。


しかも編成が先のマーラーより小さく、
ヴァイオリンが二人以外は、
ヴィオラ、チェロ、コントラバス、
ホルン、クラリネット、ピアノ、ハルモニウムが各一名という、
打楽器がまったくいないという9人編成。

この曲本来の編成が、

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、
ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、
ワグナーチューバ4(テノール2とバス2)、
コントラバス・チューバ、
ティンパニ、シンバル、トライアングル、弦五部。

そして弦も最低でも四十人以上が動員されるという、
とにかく大編成の曲。


こういうこともありかなり心配したけど、
聴いてみるとこれがなかなか素晴らしい。

たしかに迫力とかはないけど、
その美しく詩的で清澄な瑞々しい響きに、
とにかく魅了されてしまった。

しかもそこには、
まぎれもないブルックナーの響きがある。
これには驚いた。

ただ残念なことにこの編曲が1921年に完成されたものの、
演奏される前に「私的演奏会」が活動停止を余儀なくされたため、
公開演奏されることなくお蔵入りしてしまったとか。


1200x630bb.jpg

現在は上記の録音があるので、
もし機会があればぜひ聴いていただきたい内容です。


尚、今年(2018)の秋は、
この「私的演奏会」が開催されてからちょうど100年という、
記念すべき年に当たりますので、
できれば実演で聴いてみたいなあと思っていたらなんと、



バラホフスキーとともに
バイエルン放送交響楽団の名手たちを迎えて
ブルックナー交響曲第7番(室内楽版)
http://www.kioi-hall.or.jp/20181205k1900.html

というコンサートがあるとのこと。

最後はこの嬉しい情報を書いて〆。
nice!(1)  コメント(1) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 1

阿伊沢萬

マーラーもそうですが、このブルックナーには本当に驚きました。できればもっと頻繁に演奏会でかけてほしいです。

tacit_tacet様、nice! ありがとうございます。

by 阿伊沢萬 (2018-06-14 21:55) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント