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「巨匠の時代は終わった」という酷い発言の話。 [クラシック百物語]

かつて朝比奈やヴァントが相次いで逝去された時、

「巨匠の時代は終わった」

と大声で叫んだ一部評論家の為、
そういう酷い空気ができた時代があった。

当時存命していた指揮者陣が、
稀に見る超豪華版だったにもかかわらずです。

しかもそれに一部雑誌も追従した為余計それに拍車がかかり、
昔はよかったみたいな懐古趣味ばかりが先に立ち、
今の指揮者に対して真摯に向き合おうとする、
そういう姿勢が著しく欠如してもOKみたいな、
とにかく今を生きる演奏家を侮辱し愚弄した、
そういう発言が大手を振っていた時代があった。

最初にことわっておくけど、
巨匠というのは何も年をとらなければなれないわけでなく、
若くても並みはずれた素晴らしい演奏をしていれば、
それを巨匠とよんでも何ら問題はない。

前述の最初のそれは、
そこの部分も無視した、
単なる老人指揮者礼賛至上主義に立脚しての発言であり、
じつは巨匠云々とは全然別次元の事を、
巧妙にすり替えイメージとして刷り込ませるという、
たいへん狡猾な発言だったのだ。

ひょっとすると単純に思い違いだったのかもしれないけど、
どちらにしても質が悪い発言と断言して問題ない。

21世紀に入り、
とくにここ数年かなり世代交代が進んでるいるが、
それでも全世代に渡って、

「巨匠」

とよばれていい指揮者が群雄割拠している。

こんな時代は自分もあまり経験が無い。


おそらく今後は今のこの恵まれた時代によって、
こういう馬鹿発言は淘汰され、
忘却の彼方に消えていくだろうけど、
二度とこういう無責任な、
ある意味言ったもの勝ちのような発言は控えてほしい。

(これが売名目的だったら絶体許せない。)


聴き手にとってこれは百害あって一利なしなのだ。

またこれに流されるように同調した、
一部音楽雑誌も今後はこういう発言に同調しないでほしい。

確かに毒のある発言は人を惹きつける力が強く、
雑誌としても美味しいネタかもしれないけど、
そういう目先の事ばかり追い続けていると、
そのうちそういう雑誌は飽きられ淘汰されていくだろう。


少子高齢化が進む昨今、
雑誌は年々どんどん厳しくなっていくだろうけど、
聴くパイをネガティブな発言により狭くする愚行を避け、
より広く聴き手に可能性を提示し、
パイを広げていくことこそこれからの雑誌の命題だと自分は確信している。

真面目な書き手と真面目な読者は、
想像以上にまだまだたくさん存在しているのですから。


繰り返しますが「評論家」という肩書をもった人が、
今の演奏家を愚弄し侮辱するような発言は、
今後絶対慎んでほしい。

いや、慎めよ!


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コメント 2

へなそうる

昔、招き猫でご活躍されていたあいざーまんさんでしょうか。
歳をとったら「巨匠」枠に放り込んで一丁上がり、みたいな扱いはもう止めましょう、という趣旨の記事なら良かったのかもしれませんね。
by へなそうる (2018-03-18 09:03) 

阿伊沢萬

といいますか、あまりにも今の演奏者に対するリスペクト感が皆無な事に怒るというより悲しいものがあります。しかもこれに同調したらじぶんたちの首を絞めるような事なのに、それに安直にのった雑誌の姿勢も酷い物でした。

自分は昔からこの記事も含めて、当人にむしろ読んでほしいという意味で書いてますが、この記事もおそらく本人には届かないでしょう。残念です。

へなそうる様、コメントありがとうございました。
by 阿伊沢萬 (2018-03-19 19:46) 

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