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ショルティのヘンゼルとグレーテル [クラシック百銘盤]

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フンパーディンク:歌劇『ヘンゼルとグレーテル』全曲
 
ブリギッテ・ファスベンダー(Ms:ヘンゼル)
ルチア・ポップ(S:グレーテル)
ヴァルター・ベリー(Br:ペーター)
ユリア・ハマリ(Ms:ゲルトルート)
アニー・シュレム(Ms:魔女)
ノーマ・バロウズ(S:眠りの精)
エディタ・グルベローヴァ(S:暁の精)
 
ウィーン少年合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サー・ゲオルク・ショルティ

録音:1978年2月~9月、ウィーン・ゾフィエンザール


という録音がある。
もちろんデッカのもの。


豪華メンバーを集めてウィーンで録音されたこれは、
録音当初はそこそこ話題にはなったものの、
ショルティの指揮が詩的ではないとか、
主役二人が子供らしさに欠けると言われたりとか、
それほど手放して賞賛された盤ではなかった。

おそらくそれには同じ絵ウィーンのフィルハーモニーと録音した、
クリュイタンス盤の影響もあったのだろう。


ただ個人的はこのショルティのもの。

とてもお気に入りの録音となっている。

音質もクリュイタンスより十年以上後の、
アナログ録音最盛期に収録されたということもあり、
とても聴きやすいしオケの音も美しく録音されている。

余談だけどこのショルティの録音時の間に、
カラヤンがデッカとウィーンフィルを指揮して同じ会場で、
モーツァルトの「フィガロの結婚」を録音しているので、
興味のある方は聴き比べてみるのも面白いかも。


とこでここでのショルティの指揮はじつに小気味いい、
それはいつものことなのだけど、
サクサクテキパキと音楽が流れていくものの、
オケがシカゴではなくウィーンフィルのためか、
音のさらさらと流れていくそれがじつに気持ちいい。


クリュイタンスのように余情や風情がたっぷり感じられるものとは違うけど、
これはこれで音が退く瑞々しさが十二分に感じられるものとなっている。

そして何よりも場違いなくらいダイナミックなのがいい。

魔女の踊りや大詰めの合唱の盛り上げ方など、
まるてワーグナーの楽劇を聴きやすくしたかのような演奏で、
ワーグナー指揮し屋ショルティの面目躍如という感すらある。

ただもちろん歌うところは、
しっかりウィーンフィルの特質を活かしてやっているので、
無味乾燥になることはない。


そして歌手。

この録音期にはクライバーの指揮で、
オクタヴィアンとゾフィーを演じていた二人が、
ここではヘンゼルとグレーテルを演じている。

そしてその両親の役には、
ワルター・ベリーとユリア・ハマリ。

カール・リヒターの「マタイ受難曲」の映像版でも共演していたお二人。

魔女に名歌手アニー・シュレム。眠りの精にノーマ・バロウズ。

そして朝の精では、
当時まだ31歳とはいえすでにかなり名の通った存在だった、
エディタ・グルベローヴァが登場している。

かなり贅沢な布陣だけど、
この面子からみてもう子供向きというよりは、
大人が聴いても充分楽しめる、
むしろ今の時代にはこういう演奏の方がいいのでは?
という感じすらするほど、
かなり強いタッチの歌で彩られている。

とはいっても聴いていて、
ブリュンヒルデとヴォータンが、
お菓子の家の前で魔女と格闘しているような、
そんな可笑しな歌い方はさすがにしていない。


なので場違いなヘンゼルとグレーテルというより、
こういうやり方でも楽しむことができる演奏という、
そんな出来といっていいだろう。

とにかく子供向きのオペラとしてだけでなく、
この曲を他の一般オペラ的な聴き方をしてみたいという人にも、
これは最適といっていい演奏だと思います。

演奏時間は全体で約108分。


ただ最後に魔女を押し込めた釜戸が爆発する音が、

「どんな釜戸なんだよ」

というくらいの音がしていて、
カルショーの「指環」のパロディかなと思ったくらい。
このあたりはご愛敬か。


尚ショルティはこの三年後に映像収録のためこの曲を再録音しています。

メンバーは

ブリギッテ・ファスベンダー(Ms:ヘンゼル)
エディタ・グルベローヴァ (S:グレーテル)
ヘルマン・プライ(Br:ペーター)
ヘルガ・デルネシュ(Ms:ゲルトルート)
セーナ・ユリナッチ(Ms:魔女)
ノーマ・バロウズ(S:眠りの精)
エルフリーデ・ヘーバルト(S:暁の精)
 
ウィーン少年合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サー・ゲオルク・ショルティ

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