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「ゴッホ」と「ムーミン」。二つのアニメ。 [劇場公開アニメ]

最近二つのアニメ作品をみた。

「ゴッホ ~最期の手紙~」
「ムーミン谷とウィンターワンダーランド」

の二つ。

ただアニメといっても「ガルパン」とか「ラブライブ」みたいな、
ああいうふつうのアニメではなく、
共に素材やベースが存在した上に作られた特殊なアニメで、
どちらもとても印象深いものがありました。

まず「ゴッホ」の方。

ゴッホ.jpg
http://www.gogh-movie.jp/
公式サイト
https://www.youtube.com/watch?v=hBIZI42X3eE
日本語予告編

こちらはストーリーとしてはゴッホの死後一年後に、
ある一通の手紙を託された主人公が
ゴッホの死の謎を追う事になるという話。

これはまず俳優が演技したそれにアニメを合成するというもので、
現在進行形の方はカラー、
過去の回想はモノクロというふうに描き分けられ、
合計62450枚の油絵を使用。

しかもカラーの方はすべてゴッホのタッチで描かれ、
それも130点以上のゴッホの絵をベースにして作り出されたというもの。

このため125名のペインティング・アーティストが参加、
しかもゴッホタッチにならせるため一か月以上、
いろいろと指導訓練されたという。

自分はゴッホの絵には詳しくないので、
それがどう利用されたか細かくは分からないけど、

「アルマン・ルーランの肖像」「郵便夫ジョゼフ・ルーラン」「ズアーブ兵」
「アルルのモンマジュール通りの上にかかる鉄道橋」「夜のカフェ」
「タンギー爺さん」「オーヴェルの教会 」「背景に馬車と列車のある風景」
「ピアノを弾くマルグリット・ガシェ」「アドリーヌ・ラヴーの肖像」
「医師ガシェの肖像」「カラスのいる麦畑」「荒れ模様の空の麦畑」
そして「星月夜」等々…

が使用されていたのが後でいろいろと確認できたけど、
アルルやオーヴェル=シュル=オワーズで描かれたものが多く使用されていたらしい。


ただこの作品はそんな「ゴッホの絵が動く」という売りより、
その人間ドラマの方に自分は強く惹きこまれた。

本作ではいちおうの結論みたいなものは、
なんとなくだが出されてはいるが、
それ以外の部分がみていて重くのしかかってきて、
見終わった後ものすごく考えさせられてしまった。

絵にせよ台詞にせよストーリーにせよ、
かなりの縛りがあるにもかかわらず、
歴史的事実をここまで見せくれたこの作品に素直に敬意を表したい。

今回は字幕版でみたけど、
日本語版はどうなのだろう。

この映画は基になった絵のイメージにあった人が、
原則キャスティングされるという徹底ぶりだっただけに、
吹き替えもかなり気になりました。

いつかそちらも見てみたいです。


そしてもうひとつが「ムーミン谷とウィンターワンダーランド」。
ムーミン.jpg
http://www.moominswonderland.jp/
公式サイト

こちらは1978年から、
原作者トーベ・ヤンソンが監修し本人も気に入っていたという、
パペットアニメによる8分程の短編シリーズ全78話のテレビシリーズ。

それを原作にあった三つの作品のストーリーを再構成したものに、
修復再編集したものが今回のこれ。

すでにこの方式で二作品がつくられているが、
ストーリーが今回は上記のように凝らされている。

また声優さんが全部で四人、
しかも主人公のムーミントロールとナレーションは各一名ずつだけど、
残りの全キャラを森川智之、朴璐美のお二人だけで演じるというもの。

感想として、
四十年近く昔の作品にもかかわらず、
画質がいいせいか古臭さは微塵もなく、
音楽も一新させたせいか、
そのあたりからもそういう雰囲気は皆無。


神田沙也加さんのナレーションも
宮沢りえさんのムーミントロールも自然で嫌味がなく、
そして何よりも森川さんと朴さんのそれが、
これまたじつに自然に多くの役を演じられていた。

もちろん朴さん独特の、
ちょっとポルタメントをかけたかのような節回しもときおりきかれ、
ファンにも嬉しいものになっている。

全体的には子供向きに作られているけど、
大人がみても充分鑑賞に堪えられるしっかりした内容になっているし、
とてもクリアな画質なので北欧の澄んだ空気が感じられるような、
そんな詩情感も感じられる瑞々しい感覚に充ちているのも素晴らしい。



というわけで、
このタイプの違う二つの「アニメ」をみてきました。

どちらも近年みたアニメの中でも
とても印象に残る作品でしたが、
残念なのは「ゴッホ」が横浜のよく行く映画館でかかっていないこと。

これを大きな画面でみたらどうなるんだろうということもありますが、
「ガルパン」や他のアニメ作品の上映前の予告編で、
この作品が上映されたらどんな反応がでるのだろうかというのも、
ちょっとみてみたかったです。

横浜のこの映画館では「この世界の片隅に」も上映されなかった。


このあたり一考をもう少し要してほしいところですが、
いろいろと大人の事情もあるのでしょう。

残念です。



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阿伊沢萬

いやあ「ゴッホ」、重いし見応えもありまくりでかなりの作品でした。あまり話題になっていないのが本当に残念です。

soramoyouさま、nice!ありがとうございます。
by 阿伊沢萬 (2017-12-24 19:11) 

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