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ノットの「浄められた夜」と「春の祭典」に行く。(7/22) [演奏会いろいろ]

フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2017
東京交響楽団オープニングコンサート

7月22日(土曜日) 15:00 開演
ミューザ川崎シンフォニーホール

ジョナサン・ノット 指揮

(曲目)
シェーンベルク:浄められた夜
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」


ジョナサン・ノットは正直以前何かで聴いた時、
あまり強い印象がなかった。

というかあまりおもろしくなかった。

なのでその後日本で好評を得、
東響と長期にわたり関係を築くというニュースを聞いた時、
あまりピンとこなかった。

なのでそういうこともあり今回聴きに行った。


最初のシェーンベルク

ヴァイオリン→12
ヴィオラ→8
チェロ→6
コントラバス→4

これを紙を二つ折にすると、、
左右対称に展開したような形となる配置での演奏となった。

つまりコントラバスを正面奥に一列に並ばせ、
その手前にチェロを四人がまず一列
残り二人が各々左右両端の奏者後方に第二列的な部分に位置し
ヴァイオリンとヴィオラが各々左右6、4ずつ、
指揮台を挟んで左右対称に配置されるというもの。


じつはこの曲を聴くのは40年ぶりで、
そのときはズビン・メータ指揮読売日響で聴いたが、
それはまるでRシュトラウスのような爛熟した、
濃厚ではあるが適度に洗練されたじつにドラマティックな演奏で、
ひじょうに心うたれる演奏だった。

ただ今回のそれはそのときのものとは正反対というかんじで、
辛口で厳しく
ドラマティックというより絵画的という感じの演奏で、
さらに言わせてもらえれば、
まるでブラームスの室内楽を聴いているかのような、
そういう格調の高さと透徹し結晶化したような響きが、
緊張感のある音楽を奏でていた。

これを聴いた時、
シェーンベルクがブラームスが好きだったこと、
そしてかつて聴いたムラヴィンスキーの「トリスタンとイゾルデ」が、
こういう方向性の音楽であったことを想起させられた。

終演後しばらく拍手が起きなかったのは、
その音楽の緊張感と響きの美しさを、
聴き手がしばらく味わいたかった証ではなかったか。

できれはレコーディングしてほしいところですが。
※後にありがたいことにCD化されました。


20分の休憩後「春の祭典」。


こちらもまた正攻法の演奏で、
やるべきところをキチンと決めれば、
説得力のある音楽がそこから生まれるという、
じつに基本的な事がそこでは行われていた。

そういう意味では、
かつてのコリン・デービスとコンセルトヘボウの同曲の録音と、
どこか基本的に相通じるものがあるけど、
第一部はともかく、
第二部になると「ノットのオーケストラ」の演奏ということもあり、
客演だったデービスより二歩も三歩も踏み込んだ、
なかなか強力な演奏が展開されていった。

とにかく骨太でスケールの大きなストラヴィンスキーでした。


また東響が大善戦。

かつての東響と違い、
音が大きくなっても濁りや歪もあまりなく、
曲全体のもつ大きなエネルギーを、
かなりのところまで描き出していて、
そんな東響の好調ぶりがじつに強く感じられた。


そういえばかつてスダーンの時代、
あるパートの採用試験が公募で行われた時、
東響の関係者の方が、

「細かい結果はいえないけど数年前なら全員合格していた」

と言われたほど、
東響のレベルが急速にあがっている事が、
すでにこのときおきていた。

それがおそらく現在まで続いているのだろう。


あと聴衆が東響とノットに対し、
全幅の信頼をおいていることが、
この日の演奏会からも強く感じられた。

2004年7月に開館。

その後311の影響で二年程閉館していたので、
今年で実働11年。

かつてミューザが開館したとき、
国際的ホールという知名度だけでなく、
時間はかかるがとにかく地元に根付く事が目的という、
そういう話を開館して一年程の時、
当時の支配人の方が話されていた事を思い出した。

ようやくその頃からの努力が花開き、
こういう形でも
実を結ぼうとしている。


東響はミューザを本拠にしてから、
本当に大きく変貌と進化を遂げたオーケストラ。

そしてそこにはノットやスダーンだけでなく、
上記した通り地元との深い絆も大きく力を貸している。

これからのノットと東響にさらに期待です。



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コメント 2

サンフランシスコ人

2016年にジョナサン・ノットはシカゴ交響楽団を振った...

http://chicagoclassicalreview.com/2016/01/nott-moser-strike-sparks-to-open-csos-new-year/
by サンフランシスコ人 (2017-07-23 03:53) 

阿伊沢萬

ノットとシカゴは相性が良さそうですが、アメリカとはなんとなく縁が浅いのかと思ってました。
by 阿伊沢萬 (2017-07-23 21:30) 

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