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聖地巡礼についての雑感。その2 [聖地巡礼(Seichi Junrei)]

最近ある場所である光景出くわした。
具体的には言えないが今回はそれに関係したことを書きたい。

聖地巡礼というと、
アニメファンの多くがその舞台となった場所を探訪する。

というのが外側の現象だ。


で、この外側の現象からもたらされた結果、
特に数字的なもので著しいそれがあらわれ、
それが成果としてニュースとなり発表なりされると、
それに飛びつくものがあるのは昔からのあれなので、
それはそれでしかたがない。


だが正直その現象をはたしてどこまで理解、
そしてその功罪の「罪」の部分まで理解しているのかを、
はたしてそのとびついた人たちは理解しているのかということ。

そこがとても正直心配だ。

例えて言えば
風邪をひいてその結果お腹が不調をきたしているのに、
「たのむから整腸剤をください」
としか言わないで大元の風邪を治そうとしない…、
といっていいのかもしれない。


なんかそんな感じがとても感じられることが最近あった。

じゃあそれに対してどうすればいいのかというと、

「聖地巡礼は町おこしではない」

ということからなかなかいい案はそう簡単にはでてこない。



たしかに飛びつく人は「町おこし」の手段や道具として使用したい。
地方へ行くと、その気持ちは痛いほわかるときがある。


だけどそれに飛びつく方が考えているような、

「アニメの舞台になればいい」

という、そういった簡単な問題ではない。

だいいちそのアニメが極めてマニアックな場合、
果たして地元のその他大勢がどれだけ理解賛同してくれるのか、
さらには本編をみて眉をひそめる人だっているかもしれない。


本放送中に数字として利益がもたらされている場合はまだしも、
それが過ぎ去った場合の祭りの後の寂しさに直面したとき、
結局街のもった風邪は治るどころか、
先に述べたような心的な問題等により深刻化していることだってありうる。

さらにその効き方が優しいか激しいかも未知数なところがある。

優しすぎて全然利益に反映しないものもあれば、
激しくて現地が受け入れ不可能な状況に陥る可能性だってある。

ある意味ひじょうに扱いが素人には難しい。

いや専門家だって読み切れない部分が多々あるといっていいだろう。


理想としては漢方薬的な、
適度な効き目と長続きする効果、
そして何よりも街そのものが持つ生まれつきもった強さと良さの回復にという、
自然治癒による街の復興だろう。

だがアニメそのものはどちらかというとその真逆の要素がある。
特に深夜アニメは短いスパーンで強いインパクトを狙って来るので、
その傾向が強い。

例えばその使用されたOPやEDがどれくらい売れ続けているか、
そのあたりの統計をとれば何となくお分かりになるのではないだろうか。

逆に言えばそのOPやEDが長く売れ続けるようなアニメの聖地は、
やりようによっては「漢方的」な効き目を期待することも可能だろう。

あと最終回の評判や最終回放映後のBDの販売の落ち込み量なども、
これらの目安になるのではないだろうか。

だが放映前のアニメに聖地が投資するということは、
正直先物取引でもかなり危険な部類に属するかもしれない。

特にオリジナル作品はそうだろう。

いくらP.A.WORKS がやろうが茅野愛衣さんが出ようが、
鉄板とはだれも言い切れないものがある。

にもかかわらずそれでも強い効き目の「整腸剤」を要求するような、
そんな人がやはりいることは確かなのだ。


街おこしではない「聖地巡礼」。
劇的かつ短期的な効果を起こしやすい「アニメ」による聖地効果。
少しでも早く効果があらわれることを期待する一部の聖地に関わる人々。

この三すくみの関わり、
何ともアンバランスで怖いものがあるが、
逆に言えばあともうひとつ、
これらを中和して「漢方的」な効き目ももたらしてくれるものが加われば、
多少なりともいい方向へ進むことは確かだ。


だがそれが見えそうでみえないのもまた事実で、
それがみつからない、
またみつかったとしてもそれを一般の人に納得できるよう噛み砕けなければ、
それはそれで単なる無用不要なものと化してしまう。

ほんとうになんとも悩ましい事だと思う。


そのことも含めて多くの研究者の方々が、
「聖地巡礼」のことを研究しているのだろう。


そんな中で最近じつはジブリ系アニメの聖地研究で、
じつにおもしろいものを見かけた。

それはその聖地になっている聖蹟桜ヶ丘で実施した意識調査で、
これはなかなか面白いものがあった。

そしてその結果は深夜アニメのそれとは明らかに違う、
こちらの予想に近いものが数字としてあらわれてきた。

確かにやや定点観測的にすぎる部分や、
ここだけの一本釣りで聖蹟桜ヶ丘に来たのかとか、
どういうアニメが他に好きなのかという部分が若干弱い部分もあるにはあるが、
(もし「プリキュア」が好きな人が多かったら個人的に興味深いものがあるのですが…)
これはこれでじつにおもしろいものがあった。

そしてそこから「アニメ」と「ジブリ」の違いというものが、
じつによく感じられるものがあった。

それはこの発表の後の登壇者と一部の人の質問のやりとり(一悶着?)からも、
逆の意味でよりそれを強く感じさせるものがありました。

人はよくアニメというとジブリも深夜アニメも全部ひとくくりにしてしまうような、
そんな傾向があるようだけど、
例えばオペラでモーツァルトの「フィガロの結婚」を観に来た人に、
リヒャルト・シュトラウスの「ナクソクス島のアリアドネ」や
ベルクの「ルル」のことを同じオペラだからといっていきなり質問するのとこれは同じで、
どうせ聞くならビゼーの「カルメン」やヴェルディの「椿姫」、
さらにはロッシーニの「セヴィリヤの理髪師」というところの方が筋というものだろう。

…といってはたしてクラシックが好きではない人に、
今の上にあげた文が果たして理解できる人がどれくらいいるだろう。

つまりジブリと今様の特にTVの深夜アニメというのは、
それらを詳し知れば知るほどその違いが明確になるわけで、
同じアニメだからといってその性質はかなり違う、
同じ球技だからといってサッカーとアイスホッケーが違うように。

でもだからといってそこの部分ばかりをクローズアップしてしまうと、
正直この貴重な研究成果が無にされかねない。

むしろジブリと今様のアニメの違いをここの部分から読み取り、
それを聖地の研究にうまく昇華するのがこれまた筋というものだろう。

それをジブリとアニメは違うといって最初から色眼鏡をかけてみてしまっては、
いくつかの可能性を最初から放棄してしまうことにもりかねない。

だからこそこの研究はとても貴重だと思うし、
正直とても興味深くうつってみえた。

しかもこれを突き詰め応用すれば、
なぜジブリアニメから声優が消えたかとか、
声優と聖地の「鎹」以外の共通項などもみえてくるのでは?
というものもなんとなくだが感じられた。

これは個人的にこの手の研究で最も興味深いもののひとつでした。


最後に。

自分は大洗に行くとき水戸から大洗まで水浜線の廃線沿いを歩くことにしている。

ここで面白いのは、大洗におけるアニメのそれはコンテンツツーリズム。
水戸から大洗における廃線のそれはエコツーリズムになってしまうらしいということ。

ただそうなると鷲宮一帯を「らきすた」がらみで歩くことはコンテンツツーリズム。
ただし鷲宮神社をそういうこと抜きで参拝することはエコツーリズム。

となってしまうのではないかと思われてしかたがない。

正直どうでもいいことなかもしれないが、
なんかコンテンツツーリズムとエコツーリズムって区別する必要あるのかなあ?と、
ちと考えるようになってしまった。

そりゃ各々の学界の人はいろいろと言い分があるだろうけど、
なんかコンテンツツーリズムを紐解くためには、
まずエコツーリズム対象地の定義が、
コンテンツーリズムの対象地の定義とどれだけ重なり、
どれだけ重なってないかと言う事が大事。

たけど本当にその違いがどこまであれなのかということが、
ひょっとするとどちらの人たちも明確に定義できてないのでは?
という気もじつはしている。

たしかにこれは明確にコンテンツツーリズム、
こちらはエコツーリズムと言い切れるものはあるだろうけど、
それが明確に言い切れないものもあるだろうし、
またその二つが密接にからみあってるものもあるだろう。

そういう場合はいったいどう横で連絡をとり研究してるんだろうと、
とにかくこのことがとても気になってしかたがなかった。

ひょっとするとこのあたりはもう当事者同士で、
いろいろと話し合いがもたれてるのかもしれないが、
何か新しい要素と分野を開拓するはずが、
じつは袋小路に入りそうな危険性に直面しているような、
なんかそんな感じもしたものでした。

それだけに先の「耳をすませば」のような、
ジブリとそれ以外のアニメというものに既存の価値観を持ち込み、
最初から分けていろいろと凝らすということをせず、
この二つをあえて向い合せたそれに自分はとても新鮮なものと、
その向こうにある大きな可能性のようなものに強く惹かれるものがありました。


まあとにかくこのジャンルはかなりその中身だけでなく、
それを取り囲むものもなかなか複雑なものがあるようです。

以上で〆。
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