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「森雪」雑感 [アニメ(20世紀)]

はやいもので「宇宙戦艦ヤマト」がテレビ放映されてから、
来年(2014)でもう四十年が経つ。
巨人の長嶋茂雄が引退した年でもある。

「ヤマト」は本放送当初かなり視聴率に苦しんだというが、
じつは当時自分のまわりの人間はみな「ヤマト」をみていた。
そのため後にこの視聴率云々の話を聞いた時は、
ちょっとその実感がわかなかった。

その後はじまった再放送で「ヤマト」人気に本格的に火がついた。
そしてそれは劇場作品、そして声優ブームにも及んでいった。

そんな「ヤマト」の中で特に目立ったキャラが「森雪」だった。

今の「ヤマト」(「2199」)と違って当時の「ヤマト」の乗組員は、
じつは女性はこの「森雪」しか乗っていなかった。
文字通り「男たちの大和」そのものだったのだ。

紅一点というそれだけでも目立ってたのに、
やってることも幅広く、
艦橋でのレーダー監視から医務室での看護まで、
さらには銃をもって戦闘に参加するなど、
なんでも幅広くしかもそつなく完璧にこなせるという、
ほとんど超人的なまでにひとりでこなす、
しかもその愛らしい外見もひときわ目立つヒロインだった。

そのせいもあってか「森雪」の当時の人気はかなり凄く、
その人気は当時その声を担当していた、
麻上洋子さん(現:一龍斎春水)のそれにも当然影響していった。

けっきょくこのことが麻上さんだけでなく、
声優というものに新しい可能性と方向性を指し示すものとなったのですが、
それもこれも「森雪」というキャラによるところか大きかったといえるだろう。

で、最近TVで「ヤマト2199」をようやくみた。
じつは劇場でもビデオでも自分は「ヤマト」の新作はいっさい見てなかった。

というのもやはり初代「ヤマト」のイメージというものが強く、
なかなか見る気になれなかったというのが本音で、
それだけ当時の「ヤマト」の影響とその呪縛が大きかったというところ。

たださすがにTVでやるとなるとそろそろという気もして、
そしてようやく今回みることとなったのですが…

「なんでこんなに女性の乗組員が多いの?」

がまず最初のそれ、そしてもうひとつが、

「森雪が細胞分裂してしまった!」

というのがそれ。

まあこの四十年間のアニメの変化を如実に感じた瞬間でしたが、
特に「森雪」がけっこう仕事を減らされているのがなんともだった。
もっとも単純に減らされたわけでなく、
戦闘行為に関する仕事の範囲はむしろ増えているので、
以前より生活的な部分がそぎ落とされたような感じになったともいえる。

だけどあのときの何でもこなすスーパーウーマンが
そのときの持ち場を何人にも分け与えてしまった今の姿をみると、

ああ、ふつうのヒロインさんですねえ…。

というふうに感じられてしまったものでした。

もちろんそれも悪くはないかもしれませんし、
あんな蟹工船みたいなことを笑顔やってる姿など、
今の「2199」でやられたら他のキャラも立つ瀬がないし、
それ以上にそういうシステムにしてる艦長等に
「あんたらバカじゃねえのか。」
と文句のひとつもとんできてしまうだろう。
当時の働く日本人の縮図みたいなキャラといってもいいのかもしれません。

だけど…にもかかわらず…
やはりなんか違和感がそこに感じられてしまいますし、
他のキャラと妙に横一列になってしまっているその姿に、
かつての強烈な印象のそれを重ね合わせると、
なんとも一抹の寂しさを感じてしまうものがあります。

アニメがより現実的になったというところでしょうか。

因みに「2199」の「森雪」さんをされている桑島法子さんは、
「ヤマト」本放送当時に生まれた世代の方で、
麻上さんが野上冴子を演じてる頃に、
ミスマル・ユリカを演じて出て来られたということで、
かなりすでに背負ってる時代が違う世代の方ではあるものの、
その今の標準にあわせた「森雪」を好演されている。

ただもし今でも「森雪」が紅一点でガンガン働くスーパーウーマンだったら、
はたして桑島さんはどう「森雪」を演じていたのか、
そのあたりもまたちょっと気になるところ。

ところでこう書いてると「森雪」というのは、
かなり便利屋で都合のいいキャラという印象を受けるかもしれないが、
正直気の強い面ももっているし、
キレるというか天然で暴走するところもある。

このため死にかけたメインキャラもいたほどで、
そういう意味では決して都合のいいキャラというわけでもない。
ひたむきというと聞こえはいいが、無鉄砲にもほどがあるときが些かある。

ただそんなところも含めて当時、とにかく「森雪」は人気があった。

その後メーテルやナウシカ、さらにはセイラさんといった女性キャラの出現で、
「森雪」の名前はかなりその背後に押しやられてしまったものの、
アニメの歴史上、「森雪」はとてつもなく大きな存在であり、
その出現が現在のアニメヒロイン達への道筋をつくったということで、
その声を演じた麻上洋子さん同様、
偉大なひとつのパイオニアだったとも言えるだろう。

そんな働きすぎの「森雪」さんも、
当然ながらヤマト同様来年でデビュー四十周年。

何かお祝い事でも企画されているのでしょうか。

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しかしこうやって見比べると時代を感じます。
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コメント 2

なお

左の、旧作の雪ちゃんのが、断然綺麗で可愛いですね。
柔らかく優しい感じもgood
時代を感じるのは、髪型ですよ。
by なお (2016-04-19 04:51) 

阿伊沢萬

>時代を感じるのは、髪型ですよ

確かにそれはあてりますね。あと強さをいつも懐にしまってるというのも、今ははやりではないのかなあというのも、時代を感じている要因でもあります。いずれにしても不朽のキャラだと思います。

なお様、コメントありがとうございました。
by 阿伊沢萬 (2016-04-20 22:43) 

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