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アート・ペッパー・ファースト・ライブ・イン・ジャパン [JAZZ]

アート・ペッパーが初めて来日したのは1977年の4月。

だけどそれは酷い状況でのものだった。
麻薬常習の過去をもっているものへの入国審査が厳しい日本。
そこへペッパーが入国できるというのはかなり厳しいものが予想された。

このため招聘元はカル・ジェイダーグループのゲストとしてペッパーを招聘したものの、
その入国に半信半疑のためであったのか、
そのポスターにはペッパーの写真どころか名前すらクレジットしていなかった。

その後奇跡的に入国審査にパスしてしまったからさあたいへん。
切符も売れてなかったのでこれ幸いではあったものの、
ポスターに上から書き込んだりする応急処置などしたものの、
ホールは満員にはほどとおい入りで初日を迎えたという。
今みたいにネットがあればこんなことはなかっただろうが…。

さらに悪いことは続く、
メンバーはペッパーの頼んでいた打ち合わせを怠り
しかもリハも10分にもみたない時間しかとれなかったという。

しかもペッパー自身はなぜ日本公演に自分の名前が無いのかという理由を知らず、
日本で自らのレコードがよく売れているという事実も、
リップサービス程度ということにしかとらえていなかった彼には、
絶望的な気持ちで休憩後の舞台に行くような気持ちだっただろう。

そしてそこでペッパーは信じられないほどの大きな拍手と喝采を浴びた。
ペッパーは舞台上で深くおじきをしたまましばらく動かず、
観客席でみていた妻ローリーはこの光景に涙したという。

ペッパーの自伝にはこうある。

「僕の期待は裏切られなかった。日本は僕を裏切らなかった。本当に僕を受け入れられたのだ。やっと報われたのだろうか。そうかもしれない。たとえ何であったにしろ、その瞬間、今までの、過去の苦しみがすべて報われたのだ。生きていてよかった、と僕は思った。」-以上CDのライナーより-

その後ペッパーが翌年から1981年まで毎年来日、
最後の来日は一か月で二十か所も公演をしたという。

これほどファンとミュージシャンが幸福な関係を築いた例はそんなにないだろう。
ファンがミュージシャンを支え
そしてそれにミュージャンが応えたその出発点、
それがこのアルバムだ。

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1.INTRODUCTION
2.CHEROKEE
3.THE SPIRIT IS HERE
4.HERE´S THAT RAINY DAY
5.STRAIGHT LIFE
6.MANTECA
7.MANHA DE CARNAVAL
8.FELICIDADE

 1977年4月5日東京郵便貯金ホールにてライブ録音

 Cal Tjader (vib)
 Art Pepper (as)
 Bob Redfield (g)
 Claire Fischer (p)
 Rob Fischer (b)
 Peter Lynn (ds)
 Poncho Sancez (perc)

ここで収録されたそれはその劇的な初日の模様ではないが、
その五日後により良好な状態で録音されたものということで、
ペッパーはかなり好調だ。

他人のグループでの演奏ということで、
多少勝手は違うかもしれないが、
それでも随所に凄いほどのノリが聴かれる。

一曲目の「CHEROKEE」の終盤
リズムセクションとともに異常にテンションの高い音楽に突入するあたり、
正直聴いていてゾクゾクしてしまうほどだ。

「STRAIGHT LIFE」も同様に素晴らしい。

http://www.youtube.com/watch?v=Fb9Xboq7vIU

ひとつの歴史の一頁として残しておきたいこれは一枚です。
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