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交響組曲「キャプテン・ハーロック」 [アニメ(20世紀)]

※2010年4月4日に書き込んだものです。多少加筆改訂しました。

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キャプテン・ハーロックというキャラクターは
おそらくあまりにも有名なキャラクターであり
それは松本零士作品だけにとどまらず
日本のアニメにおいても
ルパンと並んで屈指の名キャラクターだと自分は思っている。

だけどそのハーロックが初めてTVにあらわれた
1978-1979に放送された
「宇宙海賊キャプテン・ハーロック」を
実際どれくらいの方がみたか
もしくは今の新しいファンがみているかと思うと
それは「ヤマト」や「999」に比べて
かなり少ないのではないかと思う。

でも個人的には当時これをリアルタイムでみていた自分にとっては
たしかに多少説明がほしかった部分もあるけど
そんなことどうでもいいくらい
このアニメは強く心に残った作品となった。

どっちが善だとか悪だとかという
そう単純な図式が成り立たない構図が次第に明らかになり
それでも自分が守るべきものに対し
一途にその信念を貫くハーロックに
自分はひじょうに強く惹かれたものでした。

この姿勢、じつは「カリオストロの城」のルパンと
ひじょうによく似たものがあるように感じており
この「ハーロック」終了後の10ヶ月後に「カリオストロ」が公開されていることを思うと
宮崎さんも隠れハーロックファンだったのかな?と
ちと思ってしまったものでした。

ただ悲しいかなこの二人の一途なキャラを描いたアニメが
それぞれ興行成績や視聴率でかなり伸び悩んだのには
当時はこういうタイプのキャラが受けなかったのだろうかと、
ちょっと今でも?なものを感じています。

さてこの作品がらみで当時あるLPが発売されている。
それは主題歌等によって構成されたアルバムとは違ったもの、
「交響組曲キャプテン・ハーロック」だ。

このアルバムについては以下のサイトにその詳細がある。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~maja/index.htm

このサイトはたいへんハーロックを強く敬愛しているサイトで
上記のアルバムについても詳細に語られている。

特に現在発売されているCDには
当時のLPのような詳細な解説等が無いため
余計これはありがたい。
たいへん素晴らしいサイトなので
ぜひ一度お立ち寄りください。

ところでこのアルバム、
まず驚くのがその参加メンバーが凄いことだ。

まずピアノの羽田健太郎さん。
数年前に亡くなられたあの羽田さんだ。
当時はポピュラーとクラシックの両方を演奏されていたようで
自分はこの録音の数年前に
N響とガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」を演奏していたのを
今でもはっきり記憶している。
それはなかなかストレートでしかもちょっと粋な演奏だった。

それからマリンバの安部圭子さん。
押しも押されもせぬ当時最高のマリンバ奏者だ。
現代音楽のマリンバとなるとかならずといっていいほど
安部さんがそこにいたものだった。

そしてコンサートマスターでソロもとられている小林武史さん。
かつて東響や読響のコンサートマスターを歴任された方で
60年代はN響の海野さんと並ぶ日本人の名コンマスのひとりだった。

さらにはやはりN響の首席だった
霧生吉秀さんや菅沼準ニさんの名前もある。
常光誠治さんは大阪フィルの首席だった方。

またドラムスの石川晶さんの名前もあるし
後に演歌のそれでさらに有名になった木村好夫さんもいる。

ホーンはクラシックとジャズのプレイヤーが混在しているようですが
とにかく他にもいろいろなところで名前をお見かけした方が多い。

ある意味ドリームオーケストラみたいな感じだったわけです。

そのオーケストラが熊谷弘さんの指揮で演奏しているわけですから
悪かろうわけがない。

たしかに多少今聴くと
ちと時代を感じる部分もあるように聴こえるかもしれませんし、
音質も今のそれ、
例えば「涼宮ハルヒの弦奏」あたりとはかなり違う。
聴きようによっては拡がりはあるけど薄い音に細工された音質と
そう感じられるかもしれませんが
それでもなかなか聴き応えのあるサウンドとなっています。

特に冒頭のあの「果てしなき宇宙の海」は
数あるアニメのBGMの中でも最高のもののひとつだろう。

あれを聴いただけでもう気持ちは宇宙という大海に乗り出したような
そんな素晴らしいこれはサウンドだ。
こういう音楽はクラシックでもヴォーン=ウィリアムスの大曲、
「海の交響曲」の冒頭くらいだろうか。

そして終曲の「歓びの賛歌」。
羽田さんのピアノが大きくフューチャーされているこの曲で
このアルバムは終わるのだけど。
聴き終わると、何か今から幕が上がりドラマがはじまるといった、
それこそ
「これって50分近い八部構成の壮大な序曲だったのかな?」
と思われるような出来となっている。

自分はTVをみてこのLPを買ったのですが
ひょっとするとこれを聴いてから
この作品をみた方もいらっしゃるかもしれません。

現在このアルバムはCD化されていますが、
限定ということですのでお買い逃しないように。

因みにこれは自分が初めて購入したアニメのLPです。
(「999」の劇場版サントラとほぼ同時に購入したので、正直言うとどちらが先かはちょっと曖昧です)

指揮
熊谷弘

演奏
コロムビア・シンフォニック・オーケストラ

(メンバー)

ヴァイオリン
小林武史、堀江悟、黒柳方晶、大沢浄、大松八啓、公門俊之、中瀬裕道、田淵章、角田智寿子、石岡則子、金田幸男、板橋健、田中栄一、藤米田健生。古田中達男、川畠正雄、多田義徳、古谷方一

ヴィオラ
菅沼準二、平井光、伊藤正、久里登、林勝彦、小橋行雄

チェロ
矢島富雄、藤沢敏樹、茂木新緑、館野英司、藤本英雄、矢島三雄

コントラバス
田中雅彦、瀬戸川道男、新納益夫、建部欣司

フルート
衛藤幸雄、旭孝、相馬充

クラリネット
宮島基栄、奏中司郎

ファゴット
霧生吉秀、大畠條亮

オーボエ
常光誠治、山本洋一

トランペット
羽鳥幸次、村田文治、野村毅

トロンボーン
新井英治、平内保夫、岡田澄雄

ホルン
山口弘治、下館広起、塚田彬、笠原長久

チューバ
久保修平

ピアノ
羽田健太郎

ギター
木村好夫

ベース
寺川正興

ドラムス
石川晶

ラテンパーカッション
瀬上養之助

パーカッション
安倍圭子、山本直喜、瀬戸川正

ハープ
木村マリ


※2023年2月21日追加。

2月10日に松本零士さんがお亡くなりになられました。

ここに謹んで哀悼の意を表します。

今迄本当にありがとうございました。深謝です。
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