SSブログ

妖星ゴラス [映画]

yg.jpg

東宝が1962年の3月に公開した特撮SF映画。

かの名作「世界大戦争」と
「キングコング対ゴジラ」の中間に公開された作品。

ベルリンの壁ができ
キューバを軸にアメリカとソ連が不穏になりはじめ
核実験も行われていた冷戦時代の核への恐怖を
そのまま映画にしたような「世界大戦争」に対し、
そういう世界がすべて一丸となってゴラスの危機に立ち向かうという
ある意味SFというだけでなく
世界がひとつになることをその根底に願いを込めたのが
この「ゴラス」だった。

しかし地球に巨大彗星や惑星等の衝突危機を描いた映画数あれど
地球を動かして衝突から逃れようとするという
そんな発想の映画など自分はこれしか知らない。

突飛というかなんというか
ただとにかくその発想は最高に面白い。

たしかに今見るとちと感覚的に合わないシーンがあったり
ちょっとこのシーンは蛇足かなあ?と思われるところもあったり
それ以上にあんな火の炊き方したら地球が動く前に
地球全体が異常高温に包まれないか?みたいな疑問や
突っ込みどころがなかなか多い作品だけど
みているとそんなことどうでもいいくらいなんかとにかく面白い。

TVの一般家庭普及率が50%近くなっていた時代ではあったけど
まだまだ日本映画が元気だったことを感じさせられる作品だ。

特にゴラスが最接近するシーンの緊張感の盛り上がりは
今見てもかなり見応えのあるシーンとなっている。

それにしても地球の6000倍の質量をもちながら大きさは3/4という設定も面白いが
それ以上に面白かったのが
舞台が1982年だったということ。

「2001年宇宙の旅」もすでに過ぎてしまっているけど
この「ゴラス」はもう舞台設定からすでに30年近くが過ぎようとしている。

未だに37人乗りの秒速11キロの
土星よりも外へ楽々と行ける有人宇宙船などできてはしないが
この映画の当時はあと20年もあれば
そんなロケットができてもおかしくないと
そう誰もが思っていた時代だったのだなあと
なんか不思議というか微笑ましいというか
世界情勢は不穏かつ緊張状態のあった時代だったけど
宇宙に対する夢はとてつもなく大きな時代だったんだなあと
そう感じさせられる作品でもありました。

そういえば翌年からTVで放送された「鉄腕アトム」
そのアトムの誕生日は2003年だとか。
原作開始から約50年後
TV放送開始から40年後が舞台というから
「アトム」も「ゴラス」も
宇宙や科学の未来に対しての夢と希望が詰まりきった
それこそ地球上の犯罪や戦争すべてを根絶できるほどのものを
とにかく人々がこの時代にそれらを強く持っていたことを
色濃く投影した作品だったのかもしれません。

因みに自分がこの映画で特に好きなシーンは
先の地球に最接近するシーンと
土星の輪がゴラスに吸い寄せられるシーンです。

まあ今(2010)から半世紀近く前のSFなので
それらの各シーンも
今からみるとかなり素朴なSF特撮かもしれませんが
自分にとっては先の「ドゴラ」や
一連の初期昭和「ゴジラ」作品群と並んでお気に入りの映画です。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0