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ハンス=マルティン・シュナイト(2007年記) [クラシック百物語]

●2018年6月5日追補
ハンス=マルティン・シュナイト氏がお亡くなりになられました・
自分にとって大きな音楽上の恩人を失った気分です。
今回以前書きましたそれをそのままこちらに上げ、
心より哀悼の意を表させていただきます。
本当に素晴らしい音楽の数々を与えていただきありがとうございました。

※以下2007年に記述しました本文が続きます。

ハンス=マルティン・シュナイトという指揮者がいる。
1930年生まれというから今年77歳。喜寿ということになる。

よく外国の指揮者が日本に住む、もしくは長期断続的に滞在し
演奏活動を続けるという例は
戦前の日本音楽史の創成期からままあったことで
そんなに珍しいことではない。

だがこのシュナイトの場合はちょっと違う。

シュナイトはミュンヘン・バッハ管弦楽団を15年以上率い
またそれ以外にも各国のオーケストラやオペラハウス
さらにはユース・オーケストラの指揮も行うなど
ドイツではまだ現役バリバリの指揮者だったし
その評価もかなりのものがあった。

それが東京藝大の教授に就任しただけでなく
自らの名前を冠して創設された合唱団の指揮を引き受け
ついには今年から神奈川フィルの音楽監督に就任した。
しかも今までその活躍の場でもあった地元ヨーロッパ、
そのヨーロッパにおける演奏活動をすべて引退しての日本での活動である。

こういうことはあまり例がない。
何度かの客演後三顧の礼 をつくされた後にトップについたものの
それでも地元の活動を引き続き続ける
もしくはそちらのでの活動を主にして日本でのそれを片手間にするという
そういうことがほとんどだったのだが
シュナイトは完全に日本でその音楽人生の総決算を締めくくる覚悟で
日本でのすべての仕事を受けている。

またそれらの仕事も自分のために創られた合唱団
東京からみれば地方の一プロオケである神奈川フィル
そして藝大での教鞭というぐあいに
いわゆるメジャーオケのトップに赴任して自分の音楽を披露するというのでなく
自分の音楽を伝えるために教えるという
ようするに「伝道」に近い精神でそれぞれの仕事に当たっているのだ。

ありがたいことにこの「伝道」の記録は
創設十年を超えたシュナイト合唱団の公演や
一昨年あたりからはじまった神奈川フィルとの公演などが
それぞれライブ録音として刻まれている。

このある意味極めて異例ともいえるシュナイトの演奏活動。
それは上記ニ団体の演奏に近年はっきりと成果としてあらわれており、
そのひとつひとつが聴き逃せないほどの素晴らしいものとなっている。

特に神奈川フィルとは練習も公開しており、
この稀有な関係がどのような過程を経て創造されていくのかを
自分の耳で聴き確かめるという貴重な機会をもつこともできる。

シュナイトについての感想は
http://www003.upp.so-net.ne.jp/orch/page236.html
に、まとめてあります。

とにかくシュナイトの音楽そのものを「伝える」という行為が
どのようなものでじっさいあるのか。
南関東(特に横浜)での演奏会が主ですが
聴く機会をもたれましたらぜひその点と、演奏するすべての方々の動き
そしてそれらに耳を傾ける聴衆の雰囲気にもぜひ注目していただきたい。


※↑2005年に録音された神奈川フィルとの「ブラームス/交響曲第1番」のライブ盤。
現在は入手が難しいかもしれません。


※↑2005年に録音されたシュナイト合唱団との「バッハ/ヨハネ受難曲、他」のライブ盤。
[LIVE NOTES WWCC-7540]
http://www.nami-records.co.jp/archive/20061124.html
(↑上記CDを発売しているNami Records社のサイト)

※(当項目は2007年1月書き込み、後に一部改正をしたものです。)


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