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電車の中で聴くクラシック [クラシック百物語]

じつは最近電車の中で聴くのはみんな古い
それこそ半世紀以上前のものが多い。
しかも特にSPからの復刻ものが増えてきた。

メンゲルベルク、ワインガルトナー、シュトラウス、ムック…

とにかくノイズ混じり音源大会である。

これはどういうことかというと
最近の録音はダイナミックレンジが広く
強音にあわせると弱音が聴こえないし
弱音にあわせると強音では耳が痛くなってしまう
それに比べて戦前もののほとんどは
レンジは程よいし、どちらにあわせても問題がない
ということともうひとつ

それは針音等のノイズが
驚くほど外からの音でマスクされてしまうからです。
ですから家で聴いていると
正直自分の許容範囲を超える針音でも
まったく気にならなくなってしまい
演奏そのものをとても満喫できるようになるからです。

しかも音楽そのものはそれほど聴きずらくなってないし
むしろノイズが気にならない分むしろ聴きやすくなっている。
それが電車の中で古い録音を聴く要因となっている。

以前長旅したときは普段あまり聴かない
トスカニーニの1937年のマイスタージンガーをもっていったが
これによって長旅が苦にならなかったし
九州に行ったときなどは
シュナーベルが戦前に録音したベートーヴェンのソナタ全集を持っていって
やはりその演奏を堪能しまくったものでした。

最近じつはほとんどCDを購入していない。
それはこのことに味をしめてからというもの
最近聴いていなかったその手の録音ものを片っ端から聴いているためです。
今は通勤中にシャルクやプフィッツナーの指揮によるものも聴くようになってきました。

それにしてもこれらの演奏は演奏そのものだけでなく
録音からとても温かな感触を強く感じます。
たしかにより鮮明な録音にも自分は強く惹かれるものがありますが
こういう温かみのある音というのも
このギスギスした時代にはとても慰められるものがあります。

昔の聴き手というのは
こういう温かな音に囲まれながら音楽に親しんでいたのかなと思うと
なんとも羨ましいものがありますが
今自分が電車の中で聴くクラシックは
それらを追体験させてもらっている貴重なものという気もします。

しかし死蔵となっていたCDが
自分のところに予想以上あるのに驚きました。
聴く趣向といものが変わっていくため
かつては熱心に集め聴いていたものが
いつのまにかそのまま眠り続けることとなってしまっていたのでしょうが
それにしても多かった。
これからちょっとこれら死蔵CDを少しずつ生き返らせていきたいと思います。

(2006/3/26に他の場所に書いたものの再掲です)


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