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涼宮ハルヒの憂鬱 そのBGM→追補+追加とお詫び [涼宮ハルヒのクラシック]

http://blog.so-net.ne.jp/ORCH/2006-06-12
の続きです。

最終回のマーラーの交響曲第8番。

TTT様が
>この場面で見られた脚本・コンテと音楽とのレベルの高い融合についてはまだ指摘を見かけていません。あまりに自然に、よどみなくまとめられているからでしょうか。
とおっしゃられている件ですが

自分はこの曲大好きなのですが
この長大な展開部にあるこの部分は何をどういっているのか
語学が疎いので正直全然わかりません。
大勢でワーワーガーガーと
かなりテンションの高い
それこそベートーヴェンのミサ・ソレムニスのグロリアやクレドのように
ひたすら大群衆による天への賛歌のようで
いつ聴いても巨大な音壁が幾層にも津波のように押し寄せてくる圧倒感に
なすがままに流されています。

ですので細かい描写でのそれはわかりませんが
自分もこのあたりは少々気になっていましたので
一応気づいた範囲で
拙劣ではありますが自分なりに少し書いてみたいと思います。

まず神人があらわれたときにかかったそれは神々からの聖なる光を請い求める
「Accende lumen sensibus(光もて五感を高め)」
となります。

この部分はこの交響曲前半の第一部において究極的に劇的な音楽の展開をみせる場所で、
ここにきて初めて児童合唱も投入されます。
そしてここでのモティーフ(動機)は第二部冒頭などにも受け継がれていきます。
(自分はこのアニメに第二期があると推測していたのですが、
その理由はじつはこういうところにあるのです)

その後「愛を心に注ぎたまえ」とか「(ただちに平安を与えたまえ」という部分があった後、
キョンの発言に当惑するハルヒと、暴れる神人のカットのところに、
「praevio」という歌詞が各1回かぶってくるシーンがあります。
この「praevio」という意味が将来に対する希望なのか警告なのか、
そのへんがラテン語音痴の自分には真意がわからないので
その意図がいまひとつ読みきれないものの、
とてもこのシーンは印象深いものがあります。
これはこの話しのひとの核となる部分をあらわしいるのかもしれません。

で最後に二人が神人の前で接吻するところで「来たれ、創造主なる聖霊よ」
と高らかに歌われそして「夢?」からさめるシーンへとなります。

音楽が使用されているのはここまでですが
その後じつは「天のよろこびを贈り給え」や
「われらをすべての悪より逃れしめよ」となっていくのですが、
このあたりの歌詞はその後のストーリーと重ねていくと興味深いものがあります。

ただ自分としてはこれらの歌詞と画面のそれよりも
今年がじつはマーラーがこの交響曲第8番の作曲を開始して
ちょうど百年目にあたっていたことと、

戻ってきたキョンが
ハルヒとのドーン!の嫌悪感から「フロイト先生も爆笑だっぜ」といったのが
じつはマーラー自身がこの交響曲第8番を初演する前に
フロイトの治療を受けて精神の不安定から立ち直り
無事その初演の指揮をミュンヘンで執ることができたという
このエピソードからきたということに

畜生そこまで考えてたのかよ!という感じで
かなり脱帽させられたものでした。

ところでこの涼宮さんのアニメ
それ以外にもじつに音楽に凝ってまして
例えばあの文化祭のバンド演奏における
音楽と演奏を極力あわせようとしていたそれには
正直ぶったまげてしまいました。

ふつう音楽の演奏シーンはいつも音と演奏がまったくあってなくて
イライラしてしまうことがあっただけに
これにはかなり驚いてしまったものでした。

しかしまいったアニメですし
この作品の音楽を担当した方はかなりの猛者です。
素直にこの凄さに脱帽したいと思います。
(また他のblogにおきましては
「射手座」で長門が使用していたパソコンの描写の細かさと
その機種についても触れていたものがありました。
この作品、まあ当然といえば当然なのかもしれませんが
細かいというか拘っているものは音楽だけではないようです。)

今後上の件でなにか追加があったらまた書き込みますが
正直ちょっと疲れました。

それにしてももし第二期があるとしたらどんな音楽が使用されますことか
シェークベルクの「ヤコプの梯子」とか
ヤナーチェクの「タラス・ブーリバー」
さらにはヴォーン=ウィリアムスの「天路暦程」
ひょっとして伊福部昭の「釈迦」あたりまでも候補になるかもしれませんし
そもそもクラシックという枠にとらわれない
もっと意外なジャンルの曲が登場するやもしれません。

と、あるかどうかもわからない第二期の予測話をしながら
今のところはこれで〆です。

(7/24追加)

上記でふれました本編で使用されています演奏についてここにまとめました。

まずチャイコフスキーにつきましては
ペリー様からいただいたコメントにもありますように

◎ムラヴィンスキー指揮レニングラードフィル

の1960年録音のドイツ・グラモフォン盤にほぼ間違いないようです。
繰り返し使用されている部分から最後までの時間が55秒とぴったりなのが決めてでした。
ただそれにしてもやはり音質がかなり違って聴こえました。
ムラヴィンスキーのこの録音はデッドで古い音質という印象がつよいものの
TVではよりマイルドで聴きやすい音質になっているように感じました。
他の効果音や台詞等がそういう部分を多少包んでしまったからでしょうか?わからないものです。
参考CD、POCG-90514

ついでショスタコーヴィチのレニングラード
これもペリー様のおっしゃるとおりでして

◎ヴァレリー・ゲルギエフ指揮のキーロフ歌劇場&ロッテルダムフィル

だと思われます。
これはもう同じシーンにCDを同時にかぶせるというやり方で確認しました。
参考CD、UCCP-1073

ですが
たった今最悪なことが発覚してしまいました。
なんとほぼ間違いないと言ってしまったマーラーの8番が
バーンスタイン盤ではなかったことが判明してしまいました。
最初のところはぴったりだったのに
(TV版で冒頭付近に聞こえるノイズのタイミングも含めて)
途中から微妙にバーンスタインの方が早くなっていき
最後のリタルダントはこんどはバーンスタインの方が大きいという
なんということだと もう言葉もありません。

間違って購入された方もいただろうし
もう最悪ですし謝罪の言葉もありません。
申し訳ないではすまされませんが
とにかく深くお詫びいたします。

以下に続きます。↓
http://blog.so-net.ne.jp/ORCH/2006-08-07

※お断り

 最近ある方から対訳等のUPは著作権に抵触するのではという、ご心配のメールをいただきました。自分としては卒業論文と同じで、出典元を明記し、金銭がからまなければよいのかな?と思っていましたがどうもそうではないようです。このため、歌詞対訳の部分を大幅に削除いたしました。ちょっと残念ですが、こういう考察を加えるにも今後いろいろと工夫を加えなければいけないという、いい教訓になりました。正直ちょっと残念ではありましたが…。

 以上、ご理解とご了承のほどよろしくお願いいたします。

----------------------------------

※(補説)
この「涼宮ハルヒのクラシック」は全部で5項目からなっています。
読みやすいようにすべて上から順番に並び替えてありますので
このままスクロールしても次の項目に行けますが
http://blog.so-net.ne.jp/ORCH/archive/c5362149
をクリックしていただくと、その五つのみ順番にみることも出来ます。


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コメント 8

ペリー

人に教えて貰ったのですが、
ショスタコーヴィチ7番はゲルギエフ、
チャイコフスキー4番はムラヴィンスキーとのこと、
実際買って聞き比べてみましたがピッタリ同じ、間違いないようです。

で、現在マーラー8番の、同じ演奏のものを探し回ってるんですが(あの大リタルダントが聞きたくて)、こちらで初めて有力な情報が得られ、大感謝です。
さっそく買いたいのですが…「本来は映像に使用するための音源をCDに転化」とは、ユニバーサルクラシックから98年に出てる、8番と10番が2枚組になってるCDの事なんでしょうか。指揮者とオーケストラは一致してるようなんですが、それ以上の情報がわからなくって。ご存じでしたら教えてください。
by ペリー (2006-07-15 03:23) 

阿伊沢萬

ペリー さま

ゲルギエフとムラヴィンスキーでしたか。
貴重な情報ありがとうございます。
特にゲルギエフは新しい録音なので
まさか最近の音源は使用しないだろうとスルーしていましたので
ものすごく意外でした。ほんとうにありがとうございます。

さてお尋ねのマーラーですが
自分が所有しているのはバーンスタインの没後1年時
1991年の10月に発売されたCDで
これは廃盤になったもののその後生誕90年の98年に再発されました。
それが
「ユニバーサルクラシックから98年に出てる、8番と10番が2枚組になってるCD」
のことです。ですがこれまた国内盤は廃盤になっています。
ですが最近この組み合わせに9番をあわせた5枚組の輸入盤が
昨年発売になっています。
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1480014

このCD化は当初まったくありませんでした。
1990年バーンスタインが死の直前に来日したとき
バーンスタインにる交響曲第8番の録音が予告されていました。
オーケストラはアムステルダムのコンセルトヘボウです。
ですがこれはこの年秋の指揮者の急逝により
実現することができませんでした。

そこで翌年の没後1周年の時
映像用に8番のセッションが組まれた前月の8月に
ザルツブルク音楽祭で収録された
同曲の録音を使用したというふうに自分は聞いています。
ですがこの情報は1991年頃に聞いたものなので
ひょっとしたら違っているかもしれません。
ですが手元にあるCDにはたしかに
1975年8月ORFによる同年ザルツブルク音楽祭の記録
となっていますので、間違いないと思います。

こんなところでよろしいでしょうか。
ちょっと雑なコメントで申し訳ありません。
by 阿伊沢萬 (2006-07-15 10:54) 

あいざーまん

すみません。
国内盤でてました。
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=434643
申し訳ありません。
by あいざーまん (2006-07-15 20:08) 

ペリー

あいざーまんさん、ご返答ありがとうございます。
そんな経緯でCD化されたんですね。90年の録音が果たされずに終わってしまったのは残念極まりない、悲しい事ですが、それが元で予定外の音源が復活し、後年こうしてまた注目を浴びているというのには、なにやら因縁めいたものを感じてしまいます。
さっそく買うことにします、情報ありがとうございました。

本作の音楽の使われ方は本当に凝っていますね。11話と14話のクラシック曲とのシンクロは、歌詞の意味まではわかりませんでしたが、曲調が変わるタイミングに合わせて話の流れが変わっていきますし、EDダンスや12話バンドシーンのアニメーションとのマッチングなど言うに及ばず。4話や8話では、タッチや名探偵コナンなどに似せたパロディ劇伴なんか作ってますし(笑)。

第二期でのクラシック楽曲ですけど、どうなりますかね。今期最終話の事件をピークに、世界と自分自身についての認識を改め成長したハルヒは、どんどん普通の高校生ライフを満喫するようになってます(後日談が8話分もありますし、おわかりでしょうが)。第二期があるならばベースになると予想される原作が「涼宮ハルヒの消失」なんですが、マーラー8番の如く壮麗な曲が合いそうな派手なシーンは無さそうな…。もっとも、「憂鬱」だって、原作読んでても、マーラーが合うとは想像だにしなかったんですから、わかりませんけどねー。
by ペリー (2006-07-15 23:04) 

阿伊沢萬

>さっそく買うことにします、情報ありがとうございました。

「国内盤が廃盤になっている」と最初とんでもない発言をして
ほんとうにお恥ずかしいかぎりです。
ところでもしバーンスタインのこの「千人」がお気に入りになられましたら
この二年前にロンドン交響楽団とCBSに録音した

同じマーラーの交響曲第2番「復活」

こちらも感情大爆発の壮絶な演奏となってまして
特に終楽章の最後の大合唱では
ここまでやってしまうのかというくらいの
空前の歌い上げを展開しています。
も機会がありましたらこちらもお聴きになってみてください。
by 阿伊沢萬 (2006-07-15 23:54) 

梶田秀司

あいざーまん様、
>ムラヴィンスキー指揮レニングラードフィル
>の1960年録音のドイツ・グラモフォン盤でした。
>繰り返し使用されている部分から最後までの時間が55秒とぴったりなのが決めてでした。

すみません教えて下さい。
このムラヴィンスキー版の演奏ではコーダを繰り返しているのでしょうか?「射手座の日」以来、普通のチャイコフスキー4番が何か物足りないもので(^^;)
by 梶田秀司 (2006-08-09 01:21) 

阿伊沢萬

梶田さま

オリジナルはやはり繰り返していません。
TVの画面との関係で途中再度つないで繰り返して使用している
と言った方がよかったかもかもしれません。
あそこをTVのように繰り返して演奏したものというのは
自分が知る限り聴いたことはありません。

たしかに面白いつなぎでした。
もしここを同じように繰り返しをしている演奏を聴くことがありましたら
このblogに書かせていただきます。
by 阿伊沢萬 (2006-08-09 01:41) 

梶田秀司

あいざーまん様、
早速のご回答ありがとうございました!繰り返しはともかく、ムラヴィンスキー/レニングラードフィルの演奏は良さそうなので僕もCDを買おうと思います。
by 梶田秀司 (2006-08-09 02:10) 

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