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『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』を見て [劇場公開アニメ]

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http://www.violet-evergarden.jp/sidestory/

正直に言うとこの作品、
もっと落ち着いた状況でじっくり見たかったけど、
残念ながらそれは7月のあの日に微塵に砕かれてしまった。


そのためこの作品と対峙したとき、
はたして自分はこの作品に冷静に向き合えるのかと、
正直自分自身に対してとても危惧していた。

もしこの作品が「墓標」のようにかんじたらどうしようと、
そんなことばかり考えていた。

だがそれは始まってしばらくするといつのまにか霧消していた。

そしてあっという間の90分。

さすがに公開されたばかりなのでネタバレはできないけど、
ここには人の命云々といった、
TV版の10話11話のようなああいう感じの話はない。

確かに思わず涙腺が緩みそうなシーンもあったけど、
運命とは決して変えることのできないものなのか、
人にとって希望や生きる糧とは何なのか、
幸せとはいったいどういうものなのかという、
そういうものがテーマになっていて、
見終わった後不思議なほど気持ちがすっきりと、
それこそ目の前のものが活き活きと晴朗感に満ちたものにみえてくるような、

「今生きるすべての人たちへの思いの丈が詰まった手紙」

もしくは

「これからを生きる人たちへの希望を託した手紙」

というものに感じられた。


「墓標」ではなく「手紙」。


おそらくその思いの丈はこれから多くの人に受け継がれ、
また大きな花を咲かせてくれることだろう。

特にラストではどこまでもその声が届くかのように感じられたこともあり、
この作品は終わりではなく希望のはじまりなのだと、
そんな風に語りかけてくるようにさえ最後は感じられた。

本当に胸いっぱいになる作品でした。


あとこれもとても感心したのですが、
音楽がとても絵にマッチしていたこと。

薄っぺらい音ではなく、
中低音が質量とも豊かに響くアコースティックなそれは、
ある意味洋画感覚ともいえるもので、
それが作品により奥行きと幅の広さ、
そして風の吹き渡る感覚や空の高さをより実感させる、
そんな印象を強く残すものでした。

これはとても秀逸で気に入りました。

また声優さんもみなさん好演で、
安心して作品に没入することができました。


ただいくつかのシーンでちょっと心の変化や機微が、
些か唐突に感じられたシーンが散見したことや、
ある音の使い方がとても気になった部分があり、
そこだけがちょっと引っ掛かりました。

ただ外伝ということもあるので、
次の劇場版へのいろいろとしたものが含まれているかもしれないので、
それを見るともうちょっと違ったものがじつはあるのかもしませんし、
音に関してはスクリーンによっては聴こえ方が違うのかも。

因みにその劇場版は「鋭意制作中」とのことですので、
こちらもじっくりと待ちたいと思います。


三週間だけの公開というのがかなりもったいない作品ですが、
限られた期間という制約はあるものの、
機会のある方は劇場での鑑賞をお勧めします。


まだ公開中なので以上で〆。


※追加

最初の頃、
冷たくて無機的にみえたヴァイオレットの義手が、
じつにやさしく血が通ったような、
とても温かさを感じさせるシーンが強く印象に残った。

あとヴァイオレットがけっこう男前だったことと、
彼女のまわりがみなそこそこ背が高かったことに今更気づいた。


ひとつネタバレ。

ヴァイオレットがエレベーターを「新しい兵器」というシーン、
そしてガス灯が電気灯に変わったというシーンがあるけど、
ヴァイオレットのあの高性能の義手を思うと、
ちょっと世間の文明のそれと噛み合わない気がするが、
第一次大戦時に戦車が登場して戦っていた時期にも、
録音はまだアコースティックの時代が長々と続いていた事を思うと、
そんなに矛盾した事柄ではないのかなという気がした。

ものごとが全て横並びには文明は進化しないんだなと、
ちょっとそんなこともこのとき感じられました。
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