SSブログ

『マンガ・アニメで人気の「聖地」をめぐる神社巡礼』を読んで。 [聖地巡礼(Seichi Junrei)]

神社.jpg
「マンガ・アニメで人気の「聖地」をめぐる神社巡礼」
出版社: エクスナレッジ
監修:岡本健


2014年春に出版された書籍だけど、
自分がこの本の存在を知って購入したのはそのほぼ一年後。

で、最近ある事があって再び読み直したこともあり、
今回ちょっとその感想を書いてみたいと思います。


まず読んですぐに感じた事は、
「神社」における基本的なお話と、
アニメ聖地等して関わっている神社に対し、
ある意味「観光者」目線として書かれているということ。

このためこれを読んで興味を持った方には、
観光ガイドとしてもある程度機能するつくりとなっている。

またこれを読む以前は興味のなかった作品の神社に対しても、
なんとなく興味を喚起させるような、
なかなか良心的なうまいつくりとなっているし、
マニアにとって蘊蓄をある程度貯めることができる、
そういう話も随所に記されている。


じつは神社というのはお寺と違い、
比較的敷居が低くもうけられている所が多い。

そのため神社はお寺よりこの手の作品の取材がしやすく、
また許可がおりやすいという部分がある。

またwikiによると、

「animation(アニメーション)は、ラテン語で霊魂を意味するanima(アニマ)に由来しており、生命のない動かないものに命を与えて動かすことを意味する。」

ということで、
神社はまったくアニメと縁が無いというわけではないようです。

まあそれ以外にもアニメによく登場する、
「異世界」「超能力」
といった現実離れした部分が、
神社という現世と来世が繋がっているかのように思われる、
そういうイメージと繋がっているのかもしれません。

またお寺の場合は、
神社よりも宗教が細かくいろいろと明示されているため、
そういう部分を描くうえにおいてあまり持ち込みたくないという、
そんなものもあるかもしれませんし、
開祖云々という現存した人物も関わってくる可能性もあるため、
神社のようにそのあたりが比較的大らかで、
開祖云々も「神話」にまで起源がいってしまうケースが多いそちらに、
ある意味表現上の都合の良さがあるのかも。

「ラブライブ」での「神田明神」はもちろんですが、
「サンシャイン」での「上土朝日稲荷神社」や、
津島善子の名前の由来になったと噂されている「津島神社」も、
そういう部分があったからかもしれません。

もちろんすべてにあてはまるわけではありませんが…。


ただこの本が出てすでに四年経っているため、
しかたないことですし宿命的なものもありますが、
リアルではすでに観光ガイドとして過去のもの、
つまり現実では役にたたなくなっている部分もあり、
そのあたりは観光として使用する場合注意が必要かと。


そういう意味では年月が経つにつれ、
貴重な過去の記録というものに、
徐々にその価値が推移していくことにはなると思います。

そのときはこの本をみながら、
時代がその後どう変わっていったのかを、
知ることのできるひとつの手かがりのような存在になっていくことでしょう。


それにしてもあらためてこの本を読んでいると、
神社に「森」と「高台」というものが縁が深いと痛感。

そこには「深さ」と「高さ」というものが関係しているのだろうけど、
そのおかけで強い風雨からも守られ、
そして津波や洪水からも逃れられてきたのだろう。

実際311の時、
多くの神社が津波の浸水域の外にあったため、
かなりのそれが無傷で助かっていたという。

また沼津の三の浦の地図と津波浸水域の予想を重ねると、
かなり多くの神社が浸水域の外側にあることが多い。

これは大洗でも感じられた。

そういえば神棚も高い所にあるし、
初期出雲大社も高い場所に鎮座していらっしゃった。

(この初期出雲大社は「刀使ノ巫女」にもそれと酷似したものがでてきたけど、この作品に限らずけっこう他の作品でも、初期出雲大社をかたどったような神殿をみた記憶があります。)
※Googleに掲載されている初期出雲大社(←ここの太字をクリック)

そんこともいろいろと再認識させられた。


とにかくこれはなかなかなユニークな一冊です。


あとこれは余談ですが、
この本の最初の方で神社におけるお参りについて、

「ニ拝二拍手一拝」

の事がふれられているのですがそこでは、

「二回拍手をしたあと、しっかり手を合わせて祈る」

とあるけど以前これをやったら、

「正式にはそれはダメ。手を合わせて祈るというのは仏教の作法だから。それに神社は御願いするところではなく、感謝の気持ちを伝えるところなので、そのあたりもしっかり意識するように。」

と注意されたことがあった。


ただそのことを別の神社の関係の人に聞いたら、

「たしかにそうだけど、ただそこのところは大目にみていいんじゃないのかなあ。」

と言って笑っていた。


神社はそういう意味でも大らかなんだなあと、
そのときあらためて強く感じさせられたものでした。

ただそれ以来、自分は神社での心構えは多少変わりました。

もし素っ気ないくらい淡々と「ニ拝二拍手一拝」をしている、
そんな年配の観光客を大洗や沼津の神社でみかけたら、
それはひょっとすると私かもしれません。


以上です。
nice!(1)  コメント(1) 
共通テーマ:アニメ

nice! 1

コメント 1

阿伊沢萬

けっこう読みやすい本ですので、もし機会がありましたらということで。

soramoyouさま、いつもnice! ありがとうございます。
by 阿伊沢萬 (2018-06-05 16:21) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント