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ムラヴィンスキー来日(1975) [ムラヴィンスキー]

em75.jpg

この公演。

前回とは違い前年には早くも発表され、
比較的余裕をもって進められているかのように、
当初そうみえていたのですが、
なんと今度は一部公演日でなかなか曲目が決まらない。
(上記の△印の公演)

主催者の新芸術家協会に聞いても

「先方から何の連絡も来ない」

とお手上げ状態のようでした。

その後やっと曲目が決まり無事発売されたかと思うと、
今度はベートーヴェンの交響曲第5番等が演奏される日のうちの3公演が曲目変更。
(上記※印)

後半がすべて今回の公演に入っていなかった、
チャイコフスキーの交響曲第5番にすべて変更された。

このため当時の「音楽の友」のチケット売買掲示板には、
かなりこの該当日のチケット売りますというそれが、
かなり大量にでまわっていました。


これがなぜこんなに曲目決定の遅れや変更が、
この公演でこうもあったのかということを、
後にムラヴィンスキーが来日歓迎のレセプションで、
その理由の一端を語ってくれました。

これは当時の毎日新聞に写真入りで紹介された記事にその事が書かれていますが、
それによると

「来日前に体調を崩してしまい、ショスタコーヴィチの交響曲第8番を仕上げることが出来ずもってくることができなかった。」

という発言。

おそらくこのため手慣れたチャイコフスキーの5番を公演に入れ、
ショスタコーヴィチの8番が発表前に5番に変えるなどの、
プログラムの組みなおしや、
代替の曲目選定に時間がかかったみたいです。


ただ「日本だからまた来たのです」ということもこのとき話ているように、
この来日は本人の強い希望なくしては実現しなかったようです。

最終的には以下のような公演となりました。

5月11日:神奈川県民ホール
プロコフィエフ/交響曲第6番
ベートーヴェン/交響曲第5番

5月13日:東京文化会館※
モーツァルト/交響曲第39番
チャイコフスキー/交響曲第5番

5月19日:宮城県民会館
モーツァルト/交響曲第39番
チャイコフスキー/交響曲第6番

5月21日:NHKホール△
プロコフィエフ/交響曲第6番
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番

5月23日:フェスティバルホール
モーツァルト/交響曲第39番
チャイコフスキー/交響曲第6番

5月26日:広島郵便貯金ホール
プロコフィエフ/交響曲第6番
ベートーヴェン/交響曲第5番

5月30日:岡山市民会館
プロコフィエフ/交響曲第6番
ベートーヴェン/交響曲第5番

6月1日:フェスティバルホール※
モーツァルト/交響曲第39番
チャイコフスキー/交響曲第5番

6月4日:名古屋市民会館※
モーツァルト/交響曲第39番
チャイコフスキー/交響曲第5番

6月7日:東京文化会館
モーツァルト交響曲/第39番
チャイコフスキー/交響曲第6番


この時は前回と違い放送等は一切ありませんでした。

演奏は個人的には、
曲により若干ムラはあったものの、
自分はかなり満足度の高いものとなりました。

ただこの時の「音楽の友」における評はいまいちで、

「厳しさも一歩踏み外すと魅力のないものになる。」

というそれが語られたりしていました。

もっとも音楽の友とムラヴィンスキーはいまいち相性というか、
いろいろとついてない事が多く、
1979年にはムラヴィンスキーの公演の評は、
締め切り等の関係もあったせいか掲載されず、
(アルヴィド・ヤンソンス公演時の評はある)
また四度の来日時に、
ムラヴィンスキーの顔が表紙を飾ることは一度もありませんでした。


この公演は前評判はそこそこあったものの、
話題性としては若干最後地味になったところがあり、
また録音も1973年来日時以降新しいものはなく、
むしろ古い録音が日本で初発売され来日記念盤になるという、
なかなか話題づくりに苦しむ部分もあったようですが、
それが後々来日公演のチケットが入手しやすくなるという、
こちらとしてはありがたい事に繋がっていくことになります。

ある意味「好きな人達」だけが集まるという、
「定期公演」的な雰囲気がその後は会場にけっこう感じられる、
そんなものへとなっていきました。
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