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昔はアニメを売ることがたいへんだった [アニメ]

もう何十年も前の話だから時効ということでここに書く。


まだCDショップがレコード店とよばれていた昭和の頃の話だ。

当時はまだアニメという言葉はあったけど、
アニメというジャンルはことレコード店にはなかった。

まだビデオも一般にはあまり出回ってはおらず、
でていてもかなり高額なものが多かった時代のことだ。


当時アニメのLPというと、
ほとんど「こども」か「マンガ」というジャンル、
もしくはそういうコーナーのあいうえお順に
無造作におかれていた。


たしかに「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」、
さらには「ガンダム」などもあったが、
大型店はともかくそれ以下となるとそれがあたりまえだった。

声優のアルバムも出ていたが、
それが並ぶのもやはり大きなお店が中心だった。


だが大きなお店でもすべてがそうだったかというとそうでもなく、
一部では「アニメというジャンルは無い」という考えに固執したり、
アニメを担当すると「あれはオタク」だと、
今とは違う意味の「オタク」という言葉でよばれたものだった。

それは蔑みの意味もあったような気がする。


こういうものを横でみていたからか、
逆に正直なんかこのジャンルをちゃんとやれば、
店全体にとっても戦力になるし、
今アニメのファンでも将来別ジャンルに興味が移行しても、
「この店なら安心」ということで引き続き顧客になってくれると、
そういう長期的な部分も頭をよぎった。


だけどいざ自分がやるとなるとなかなかハードルが高い。


まずアニメの担当というものが概念としてない。

アニメといわれるものは邦楽の担当が、
歌謡曲、童謡教材から、今でいうJ-POPと込みでやっていたので、
まずそことの話し合いになる。


そこである程度線引きを行ったあと、
当時の直属の上司にお伺いを立てる。

さすがにすぐにはOKとはならなかったが、
当時の上司はたいへんこのあたり寛容な方で、
担当ではなく補佐という形でここの部分をやることにした。


あとはコーナー分けの全面見直し、
さらに必要最低限の在庫補充、
そして告知場所の新規作成と、
ほぼ一日でこのあたりをやる。


もちろんこれだけではダメなので、
当時比較的アニルに力を入れていたメーカーに、
このあたりの協力を要請する。


このとき自分が担当していた本来の担当ジャンルが、
そこそこいいかんじで数字を出していたので、
そのあたりをからめての交換条件もいろいろと出したりと、
やはり一本立ちする前のジャンルをつくるのには、
なかなかいろいろとたいへんなものがあった。


また自分も正直アニメに詳しいというわけではない。

学生時代セル画の収集やイベント、さらには映画館への徹夜という、
そういうこととはあまり縁が無かった人間なので、
基本知識等の覚え込みというのが必要。


なので当時出ていたアニメ雑誌のメイン三誌の定期購読、
さらに昔のことに関しては国会図書館に休みの日に通い詰めて、
かつての雑誌や新聞などをいろいろと調べたりした。


自分はアニメに詳しくないとはいえ、
一応そこそこ興味はもっていたので、
そのときの経験や記憶などもこのとき役に立ったし、
また声優にもかつて興味があったので、
かつて養成所の試験を受けた経験なども、
お客様との会話のきっかけにはけっこう役に立った。

お客様との会話は
自分の知識を増やすためにもとてもありがたいものだった。


ただもちろんこれだけですべてうまくいくわけでなく、
いろいろと運やら助けやらがあってもなお、
ちゃんと軌道にのるのに三年はかかった。


ただそこまで行くと、
あとは普段やっていることをしっかりこなし、
無理なく進めていけば大丈夫という感じになっていった。


自分の場合は本来それ以前にやっていたジャンル同様、
中途半端にやるというのがとにかく嫌で、
他のジャンルに対するのと同じ姿勢を貫くみとを前提とし、
それと同等の重みと価値観とプライドをもつように心がけた。

もちろん最初からそんな綺麗ごとができるわけもなく、
かなりこのあたり葛藤や苦労があったことも確かだった。


ただしばらくするとその頃には時代は平成になり、
アニメもちゃんとしたジャンルとして、
多くのショップでも根付いていた時代へとなっていたので、
そのあたりも次第に解消されていった。

これは時代がかなり後押ししてくれていた部分も、
今思うと大いにあったと思う。

その頃にはアニメを「売る」ということは、
もはや上記した意味でのたいへんさは影をひそめてしまった。

いい時代になったものです。



このようにアニメというのは、
今こそごくふつうにどこでもCDやらDVDが置いてあるが、
かつてはそういう時代もあったのだ。


おそらくアニメが一般社会にドーンと入り込んだのは、
やはりかの「EVA」だった。


これ以前と以降ではかなり様相が変わったという気がする。

そして声優では林原めぐみさんだろう。

やはりこの人以前と以降はすべてに渡って変わってしまった。


自分はこのあたりのことをある意味当時最前線で経験しているので、
このあたりもっと詳細にいろいろと記録として残しておくべきなのかもしれないが、
いかんせんめんどくさがりなので、
気が向いたときしかなかなかこういうことを書こうとしない。


というかまだまとめてもいないので、
漠然と記憶の中で混沌と存在しているといっていいのかも。


このあたりまた気が向いたら徒然なるままに書こうと思います。


ただ読んでいる人には「徒然w」と言われそうで怖い。




(追伸)

なので自分はどうしても声優のことを考えるとなると、
CDの売り上げみたいなものが占める割合が大きくなる。

このあたりは一般やアニメ&声優評論家と少し違う所。
四半世紀以上もそういうものにかかわると、
そういう色がついた眼でみてしまうのか難。

当時仕事上それを精査するのがいつも大変だった。
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