SSブログ

ガメラ対ギャオス(1967) [映画]

自分が怪獣に魅せられたのは、
おそらく1965年の1月初めに放送開始となった
「ウルトラQ」をみたからだろう。


その後雑誌等でみた「ガメラ対バルゴン」が気になり、
親に「ガメラ」をみたいとせがんだところ、
ちょうどその夜に「コジラの逆襲」が放送され、
それを見ることとなった。

これが自分にとって初の怪獣映画だった。


その後劇場では年末に上映された
「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」
を観ることになり、
これが自分が初めて映画館でみた怪獣映画となった。


だけど自分にとってより強烈に印象付けられたのは、
翌年(1967)公開された

「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」

gg01.jpg

だった。

その後松竹の「ギララ」や日活の「ガッパ」もみたけど、
個人的にはこのガメラ対ギャオスには遠く及ばなかった。


で、今でもこの映画をみることがあるけど、
なぜ子供の時にみても大人になってからみても、
ほぼ同じくらい面白いかというのが、
最近ようやくわかるようになった。


ようするにこの映画は子供向きにつくられてはいるけど、
子供に媚びすぎていない、
そういうつくりになっているのだ。



この作品以降、
ガメラ・シリーズの主役は子供になってしまうが、
ここでは子供が作品の潤滑油というか、
大人だけだとグダグダになりそうなところを、
子供特有のひらめきで話の流れをつくるということに徹し、
邪魔したり出しゃばったりしてこない。

大人のやることを見事にアシストし、
しかもガメラとも仲良しという設定ではあるけど、
後の作品よりは控えめに描かれている。


また子供に大きくスポットをあてているとはいえ、
他の出演者もかなりいい人が揃っていて、
本郷功次郎さんや北原義郎さんという、
おなじみの方たちだけでなく、
丸井太郎さんと螢雪太郎さんの名コンビ、

gg05.jpg

そして名優上田吉二郎さんと、

gg06.jpg

じつに存在感のある人たちの出演にも、
この作品は恵まれている。

これが子供を突出させなかった要因にもなっている。


しかも丸井、蛍、上田の三氏の演技は、
子供にも受けるしわかりやすいため、
怪獣が出なくても、
このあたりの人たちがでていると
子供もあきることはない。


ほんとうにスキの無い布陣だ。


もちろんガメラ作品らしく、
ガメラが子供を背中に乗せて飛んだり、

gg04.jpg

観覧車で背中を寄せて子供をうまく助けられるようにしたりと、

gg02.jpg

子供にも喜ばれるシーンも続出している。


そして何といっても画期的なのは、
この二大怪獣が三度戦っていること。


それまでのガメラやゴジラは、
怪獣同士の闘いは大きく二度(二会)がほとんどで、
このため戦いの比重がかなり大きく感じられる。


またガメラとギャオスはお互い二足歩行をすることはあるものの、
二足歩行でぶつかりあうことはなく、
超音波光線と火焔噴射の応酬や、
飛行によるぶつかりあいや、
噛みついての捕捉などをメインとしているため、
ゴジラのような重さと力勝負ではなく、
速さと攻守の切り替えの素早さでみせているので、
今までの怪獣映画にない面白さがある。


ゴジラには絶対できない、
ガメラの長所を前面に出したことでそうなったんだろうけど、
とにかくこれは大当たりだ。


今みると特撮の技術などは、
やはり時代を感じさせるものがあり、
CGに慣れた今の若い人には、
かなり物足りなく見えるかもしれないけど、
作り方やみせ方のうまさは、
今の作品に決してひけをとっていないと思う。


ただ残念なことに、
このときの最初にみたこのガメラが面白すぎたせいか、
その後の「バイラス」や「ギロン」は、
残酷な描写が増えたようにみえたり、
予算縮小等で作品の多彩さが後退したようにみえ、
正直途中から自分の興味から外れていってしまった。


またギャオスのキャラもなかなかで、
正直顔の愛敬はガメラよりもあったように感じた。

gg07.jpg

あれで鳴き声が攻撃的なものでなく、
人を好んで食べるという設定がなかったら、
ガメラより子供に支持されていたかも。


また戦うシーンが夜がほとんどだったことも、
作品に迫力とリアルな感じをもたせていたのもよかった。


音楽も伊福部昭門下の山内正さんのそれがまた秀逸で、
ガメラ・シリーズをこの人で統一してもよかったのにと、
今でもそこの部分が悔やまれます。



とにかく昭和の時代、
ゴジラ・シリーズ以外の怪獣映画で、
数少ないそれらと並ぶ名作となった「ガメラ対ギャオス」。


来年(2017)で公開から50年となります。


もし機会があったらぜひご覧になってください。

nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 1

コメント 1

阿伊沢萬

今みるとけっこう贅沢な映画です。これといい大魔神シリーズといい妖怪三部作といい、大映のこのジャンルの貢献はいくら賞賛しても足りないくらいだと思います。
by 阿伊沢萬 (2016-11-16 02:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0