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「シン・ゴジラ」への不安と期待。 [ゴジラ]

2016年夏に「シン・ゴジラ」が公開されるという。
godzilla.jpg
http://www.shin-godzilla.jp/

総監督・脚本:庵野秀明
監督・特技監督:樋口真嗣
特技総括・監督補:尾上克郎
プロデューサー:山内章弘

出演者
長谷川博己
石原さとみ
竹野内豊

というもの。


正直いってよく火中の栗を拾ったものだと思った。

「ゴジラ」

正直世代によってその理想とするイメージが甚だしく違う。

しかもかなり多様な要素をもった、
それでいて独特の様式美をもち、
テーマミュージックまでももっている。

そんなモンスター系のキャラなんて他にいただろうか。

ドラキュラ、狼男、フランケンシュタイン、
エイリアン、プレデター、ジェイソン、フレディと、
いろいろなキャラが過去現在と存在しているが、
テーマのあるキャラといえばジョーズくらいだろうか。
ゴジラはそういう意味で極めて特殊なキャラといえるだろう。

そんなかなりの部分で固定されたイメージをもたれ、
それでいながらそこそこ自由に扱えるキャラクターも
それだけにゴジラは製作者の心の底や趣味性を、
かなり明け透けにみせてしまうという、
おそろしい写し鏡のような要素ももっている。

ある意味動く「交響曲」といっていいのかもしれない。

ゴジラという基本や様式はあるものの、
その時代時代の監督や製作者により、
かなり自由な解釈の幅に対応できるそれは、
作り手にとってやりがいと怖さが両立している、
ほんとうに稀有の存在といえるだろう。

だからまずそんなゴジラにあえて手を出した、
庵野・樋口両氏にはまず敬意を表したい・


さてそんなこの両氏のつくるゴジラというと、
どうしてもかつてこの両氏の作品
「巨神兵東京に現る」
を思い出してしまう。

十分足らずの作品だったが、
CGをまったく使用しない云々にかかわらず
これはこれでなかなか見応えのあるものだった。

ただなんというか日常のシーンが、
普通すぎて嘘くさいという、
そんなところが少しだけど気になった。


おそらく今回のゴジラの生命線は、
日常にゴジラという非日常をぶち込んだらどうなるか、
この一点につきるのではないだろうか。

庵野・樋口コンビの前述の作品では、
そういう部分と過去のゴジラ作品のオマージュ、
さらにはローランド・エメリッヒが好きそうな手法が、
いろいろとうまくミックスされた作品となっていた。

だけどあれは短編、今回は長編だ。

延々と「巨神兵」のノリでやるわけにはいかない。
非日常の部分は自分は心配していないが、
じつは日常の方が自分はちと心配している。

正直、自分は人間ドラマをあまり持ち込むような、
そういうことはしてほしくないと思ってる。

下手に親子の関係とか恋愛云々とかを持ちこんだ場合、
それがストーリーを軽く薄くしてしまいかねないからだ。

だからもし日常にドラマを持ち込みたいなら、
華を沿えるようなものではなく、
ストーリーの推進力や核になるものにしてほしいし、
辛口のドライなものになってもそれはかまわないと思う。

凄みがあるならなおけっこうというところか。

ただしドラマの設定そのものから必然的に派生した切ないような、
そういうドラマはむしろいいと思う。

森谷監督の「日本沈没」のような、
ああいう感じといえばおわかりになられるだろうか。

例えて言うと、
火山の噴火から逃れるように東京へ避難していく多くの人たちの姿や、
ラスト近くでの箱根での山本総理と田所博士の別離のシーンの、
あんなかんじのようなものです。

樋口監督も好きな作品らしいので、
このあたりの雰囲気も織り込んでくれるかなあと、
ちょっと期待。


ところで自分がいちばん心配してるのは、
じつは音楽の部分だ。

平成以降のほとんどのゴジラは、
この音楽に泣かされている。

またときおりみられる伊福部サウンドの利用も、
音を綺麗にしたためか、
迫力も重さもそぎ落とされたものが散見された。

(そういう意味では「続・三丁目の夕日」でゴジラのテーマを編曲された佐藤直紀氏のそれは秀逸だった。)

とにかく音楽によってゴジラだけでなく作品そのものも、
軽く薄いものに印象としてなった部分がけっこうある。


自分はハリウッドと日本の特撮の差は、
演出や技術よりも、
音楽の方がはるかにデカいという気がしている。

「ジャックと天空の巨人」をみたとき、
その音楽の贅沢さに、
とにかく羨望の念を禁じえなかったものだった。

初代「ゴジラ」のときは、
音楽をあの天下のN響が担当したという。

もちろん今回N響が担当したとしても、
オーケストレーションが薄っぺらいものだったら、
どうにもこうにもならないだろう。

とにかくこのあたりを何とかしてほしい。

せっかく両監督が映像で完璧を極めても、
音楽がダメなら魅力も半減してしまうだろう。

このあたりぜひ万難を排してほしいところです。


まあとにかく撮影ははじまっているようで、
おそらく庵野監督のことですから、
過去のゴジラ映画における欲求不満を感じた部分は、
かなり強力に修正してくることでしょう。

EVAの「ヤシマ作戦」の前あたりのそれをみていると、
このあたりはかなり期待できるかも。

ただそれにもかかわらず
「続・三丁目の夕日」のゴジラの方がよかった!
などといわれないよう、
ほんとお願いしますというのが正直なところ。

https://www.youtube.com/watch?v=L_HkTP0ldv0
(続・三丁目の夕日)

といったところで公開までまだ一年近くありますが、
いろんな意味で期待も不安もまだまだごちゃまぜという、
今はそんな感じです。


あ、あとこれだけは言いたい・

両監督とも他人の目を気にせず、
好き放題やりたい砲台とにかくやってほしい。
それこそ出し惜しみなんかとんでもないというくらいにです。

だいたいゴジラは百人が百人、
理想のイメージが強固にバラバラなキャラなので、
どうつくろうが絶対批判や罵倒が、
少なからずガンガンとんでくると思います。

ですけど、

にもかかわらず一分でも

「おお、ここなかなかやるなあ」

と思わせたら、それでOK、それで勝ちなのです。

ゴジラ映画って自分はそんなものだとも思っていますから。


以上で〆。


(余談)

それにしても「シン・ゴジラ」の「シン」っていうそれ。
なんかEVAの碇シンジの「シン」とかぶってみえちゃうんですよね。

自分だけでしょうか、そんな人。
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とおりすがり

今回の音楽は、多分エヴァンゲリオンと同じく鷺巣詩郎氏になるんじゃないでしょうかね。
エヴァシリーズとどう差別化を図るかが問題ですけど。

映像の方は、「ガメラ3 イリス覚醒」レベルなら問題はまず無いでしょ。
「巨神兵東京に現わる」はヱヴァ見に行った時に劇場で見ましたけど、さすがに大画面で見るとなかなかの迫力でしたよね。
ハリウッドに負けない作品、期待したいですね。

by とおりすがり (2015-12-09 22:56) 

阿伊沢萬

やはり鷺巣さんですか。「ふしぎの海のナディア」もそうですからこの可能性は大ですね。

ただ庵野さんだと差別化せずにそのまんまんという気もなんとなくします。それが後は吉と出るか凶と出るかですが。

>ハリウッドに負けない作品、期待したいですね。

そうですね。とにかくやりつくしてほしいです。とおりすがり さま、コメントありがとうございました。
by 阿伊沢萬 (2015-12-10 20:35) 

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