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ベルリンフィル次期音楽監督決定せず! [クラシック百物語]

11.05.15, 21:33
Rattle-Nachfolge

+++ Berliner Philharmoniker vertagen Entscheidung +++

Die Berliner Philharmoniker haben auch nach mehr als elfstündigen Beratungen am Montag keinen neuen Chefdirigenten präsentiert. Via Twitter meldete das Orchester, es gäbe am Montagabend kein Ergebnis der Dirigenten-Wahl.

http://www.morgenpost.de/kultur/berlin-kultur/article140808582/Berliner-Philharmoniker-vertagen-Entscheidung.html


ベルリンフィルの次期音楽監督選出楽員選挙。

11時間かけても結局結論が出ずじまいだったようです。

理由は分かりませんがとにかくしばらくは未定のままになりそうです。

しかしこれ決められるんでしょうか。

再度やるにしてもすぐやったって結果は同じですし…。

無理に決めたらオケが割れてしまうかもしれません。

とにかくえらいことになってしまいました。

warten.jpg
長時間待たされている報道陣。(ベルリンにて)
さすがに朝から待ってるせいか疲労と困惑が見受けられます。

BP.jpg
決定せずの速報を出すニュースサイト。

上記ニュースサイトより。


ベルリンフィル公式サイト
BPO.jpg

Noch keine Entscheidung über die Nachfolge von Simon Rattle

Die Wahl des neuen Chefdirigenten ist ohne Ergebnis geblieben

Die Wahl eines Nachfolgers von Sir Simon Rattle als Chefdirigent der Berliner Philharmoniker ist ohne Ergebnis geblieben. Mehr dazu hier in Kürze.
http://www.berliner-philharmoniker.de/titelgeschichten/2014-2015/wahl-2015/


以前
「5月11日決定か!次期ベルリンフィル音楽監督楽員選挙」
http://orch.blog.so-net.ne.jp/2015-05-04
と書いてまして、
「決定か!」
と一抹の不安がちとあったのでそういうタイトルにしてしまったのですが、
それでもまさかほんとうにこうなってしまうとは…!


ベルリンフィルの公式ツイッター
BPOT.jpg
https://twitter.com/BerlinPhilJapan/status/597845471005175808


その後ベルリンフィル側の発表。


The voting for the Chief Conductor and Artistic Director of the Berliner Philharmoniker brought no results today. Orchestra Board member Peter Riegelbauer said: “After an orchestra assembly which lasted 11 hours, we have unfortunately come to no decision. There were positive and lively discussions and several rounds of voting, but unfortunately we were unable to agree on a conductor.”

123 members of the orchestra who were eligible to vote were present. Riegelbauer continued: “We must continue this process and this election. That will have to take place within one year. We are very confident that we will come to a decision then. The process of this election will be continued, and the orchestra assembly will meet regularly, but we will take the time that is necessary. That can last one year.” The mood during the assembly was described by all participants as very constructive, cooperative and friendly.

http://www.berliner-philharmoniker.de/en/titelgeschichten/2014-2015/ballot-2015-05/

なんか苦悩の色が濃くあらわれてます。

何度も何度も投票をしたけど決まらなかったというのは、
完全に二つか三つに割れてしまい、
しかもそれぞれを推すグループが妥協しなかったのか、
さらにはこのためショートリリーフを頼もうとした指揮者にも、
そんなの受けられるかというかんじで断られたとか、
はたまた本人はOKだけど現在在籍しているオケ側から、
「今去られるのは困る」と契約をたてに強行に反対されたかとか。

いろいろと理由は考えられますが、
そのあたりは何も触れられていません。

ただベルリン・フィル・オーケストラ代表のペーター・リーゲルバウアーは、
一年以内には決める事、
また断続的に選挙は今後も続けていくということなので、
このあたりをじっくりとみていきたいとは思います。

しかし心配なのはこれだけやっても結論が何も出なかったこと、
さらにはオケの中で無記名とはいえ、
かなりハッキリとした意見の違いが表面化したのではないかということや、
将来の展望がみえてこない不安等で
オケに今後動揺が出ないかと、
そのあたりがとても心配です。

もっとも上記発表には友好的かつ協力的だったといいますので、
今はそれを信じることにしたいと思います。


ところでこの投票時間中に一部で、
ティーレマン、ドゥダメル、ネルソンス、バレンボイム、
というあたりの名前に絞られたという情報が流れたり、
ネルソンスが「決定」したかのような情報が飛び交うなど、
一時かなり情報が錯綜していました。

そしてそういう情報に対してベルリンフィルが公式のそれで
BPO00.jpg
という異例の呼びかけをする事態にまで至りました。
これにはほんとうに驚きました。

まあ携帯とりあげられて、
缶詰状態で11時間も投票と会議をしていたのですから、
情報など洩れるわけなどないのですが…。


とはいえラトルはロンドンに2017年から赴任するため、
もう待ったなしです。

また決まらなかったということで、
投票直後にベルリンの指揮台にあがるパーヴォ・ヤルヴィあたり、
「俺もがんばれば」みたいな気持ちになってくるかもしれません。
(ただいくつもの今の職を捨てることも念頭におかなければいけませんが。)

さらには一年以内となると、
来季登場の指揮者にもチャンスが巡ってくるかもしれません。


とにかくしこりを残さず、
できるだけ速やかかつ穏便に次期監督が決まってほしいものです。


(5/13追補)

戦いすんで日が暮れて…
ではないがとにかくBPOはもうお疲れモードだろう。

一年以内に投票云々とはいってるが、
個人的には今回の投票を軸にした調整と交渉、
そして再度投票を行いそれで総意を確認したうえでの決定という、
そういう流れになっていくだろうと思う。

そういう意味で次回はあっさりと投票は決まってしまうだろう。


ただベルリンフィルの事務方としても、
今回の選挙前にある程度の目安はつけていたと思う。

そういう意味で本来は新音楽監督決定最初のシーズンとなるはずだった、
来年のベルリンフィルに登場する指揮者のそれが俄然注目されるので、
今回その2015-2016のそれをみてみた。

http://www.musik-reisen.jp/_userdata/2015-2016Berliner_Philharmoniker_Berlin.pdf

ラトルを除くと以下のような登場となる。

9月がマティアス・ピンチャー、ズビン・メータ。
10月がジョヴァンニ・アントニーニ、アンドリス・ネルソンス。
11月がフランソワ=グザヴィエ・ロト。
12月がベルナルト・ハイティンク。
1月がクリスティアン・ティーレマン(2プロ)、ダニエル・ハーディング、イヴァン・フィッシャー。
2月がヘルベルト・ブロムシュテット。
3月がマリス・ヤンソンス。
4月がメータ(ソロにバレンボイム)、セミョン・ビシュコフ、トゥガン・ソヒエフ、ネルソンス。

と、ここまで最初の投票日から一年。その後は、

5月がファンホ・メナ。
6月がジョン・エリオット・ガーディナー。ヤニック・ネゼ=セガン(1プロ+ヴァルトビューネ)。

というかんじになる。


これをみるとティーレマンとネルソンスの待遇が他の指揮者よりもいいかんじが受ける。

ティーレマンは新春年明け最初の6公演2プロを任されているが、
これは今年とほぼ同じ、ネルソンスの2回登場も同じ。
内容はティーレマンがフォーレのレクイエムのプロとポリーニとの共演プロ、
ネルソンスはアルプス交響曲のプロとブルックナーの3番のプロだ。

それ以外ではドゥダメルとペトレンコの名前が消え、
ネゼ=セガンとハーディングの名前があらわれている。
ハーディングとペトレンコのそれは、
ひょっとするとペトレンコのキャンセルが影響しているのかもしれない。


で、上の来季のそれをみると今回の選挙は、
どうもティーレマンとネルソンスの一騎打ちだった可能性が高い。
この二人はまったくタイプも世代も違うので、
投票がこの二人で割れていたらそうは簡単にまとまるとは思えない。

ただこの2016のプロは指揮者の予定を考えると、
ラトルの退任が発表されてから一年くらいの間に組まれていた可能性が高いので、
その後の511選挙直近の状況を反映しているわけではないが、
2015年のプロよりは傾向がハッキリしてはいるだろう。

それを思うとラトル退任発表から半年もたたないうちに、
ボストン響がネルソンスを獲得したことが、
ベルリンにはここにきてかなり痛い展開になっていると思われるし、
ボストンの対応がじつに素晴らしかったということがあらためて感じられた。

もっともこれには理由がある。

ドゥダメルがロサンゼルスに行ったあたりをきっかけに、
ティーレマンがドレスデン、
ネゼ=セガンがフィラデルフィア、
ソヒエフがボリショイ、
そしてガッティも2014年10月にコンセルトヘボウへ行くことが発表と、
急速に各オケのトップが若返りをみせている流れというものに、
ボストンも遅れをとることなく見事にそれにのったということもいえるだろう。

逆に言えばベルリンはこの流をよめなかったか、
もしくは重視していなかった。

ベルリンは他とは別で声をかければすぐ決まるという、
そういう余裕とも驕りともいうものがあったのかもしれない。

ただベルリンの影にかくれたかんじになっているが、
じつはニューヨークフィルもギルバートの後任を現在探しているところなので、
ベルリンもじつはそんなに悠長にしてはいられないのが現状だ。

他にもロシアのメジャーオケのいくつかがやはりトップが高齢化していることで、
その後任を模索しはじめているという。

ロシア国立がユロフスキ、ボリショイがソヒエフと、
ロシア国外で実績を積み名声を得た指揮者が、
次々とロシアのトップに着任していることを思うと、
意外な大物をもってくる可能性もある。

ベルリンはそういう意味でもほんとうは待ったなしで511に決定したかったところだったが、
とにかく最大一年のさらなる出遅れを余儀なくされた。

誰に目をつけていたかは想像はつくが、
とにかく何等かの理由で現在はそれが頓挫した状況だ。

今のところティーレマンなら二つ返事でOKだろうが、
もしウィーンの国立歌劇場のポストでも手に入れたらはたして…。

ネルソンスはボストンとのそれがまだ始まったばかりで、
ボストンとの協力を得ないとそう簡単にはOKは出ないだろう。

なにしろラトルのベルリンにおける登場回数は、
日本のオケの定期では考えられないほどのものがある。

もしベルリンがこのラトルと同じ回数の登板を条件としてたら、
とてもどこかと兼任というのは無理だろう。
できたとしてもせいぜいひとつ。

しかもおそらくそことベルリンの二つしか、
ほとんど年間指揮することはかなわないだろう。

だとすると人によっては、
はいそうですかとすんなり呑むのは難しいだろう。


ただどういう理由があるにせよ、
ほんとグズグズしていられないベルリンは状況だ。

早く団内の意思統一を図るか、
それとも条件面を指揮者にかなり譲歩するなどして、
候補者との着任取り付けの下交渉を確実にするようにしないと、
監督無しで2018年のシーズンを迎えてしまうかもしれない。

それまで今のシーズンを含めなければあと3シーズン、
つまりあと3年ちょっとしかない。


はたしてベルリンはちゃんと次期監督を選出できるのか、
それとも驚くようなショートリリーフの隠し玉でもあるのだろうか。


これから一年、
ベルリンフィル正念場です。

(追補)

2018年のシーズンでネゼ=セガンがロッテルダムを去るという、
そういうニュースがこの選挙前の5/5にあった。
https://www.rotterdamsphilharmonisch.nl/Publicaties/ArticleID/898/mod/486/Yannick-Nezet-Seguin-in-2018-verder-als-ere-dirigent
これが何を意味していたのか。
なんとも意味深なニュースです。


(6/22追加)

めでたく決まりました。
キリル・ペトレンコ
です。
KP.jpg
http://orch.blog.so-net.ne.jp/2015-06-23
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阿伊沢萬

DorakenBeginnerさま。

まあとにかく前代未聞でした。確かに一部事前に「今回決まらないのでは…」という意見も耳にしてはいましたが、まさか11時間も引っ張ってそうなるとは思ってもみませんでした。しかしここまで来ると、あとに遺恨を遺さないようにと祈るばかりです。

nice! ありがとうございましたる
by 阿伊沢萬 (2015-05-13 20:45) 

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