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ヘンデル作曲「メサイア」(モーツァルト編曲/K.572) [クラシック百銘盤]

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ヘンデルのオラトリオ「メサイア」。
あの「ハレルヤ」コーラスで有名なヘンデルの名曲。

そのヘンデルの名曲に晩年のモーツァルトが編曲したものがあることは、
けっこう有名なことなのだが意外と一般には知られていない。

きっかけはモーツァルトが1780年代のはじめに
ウィーン宮廷図書館長スヴィーテン男爵の元を訪れ
ヘンデルやバッハの作品に身近にふれ研究したことだという。

この後モーツァルトはヘンデルのいくつかの曲を編曲していくが、
その中にこの「メサイア」が含まれていた。

この版についてはいろいろとネットでも解説されているが、
とにかく原曲にはない
フルート、クラリネット、トロンボーンが付加されていたり、
合唱や声楽のソロにおける変更(追加や削除)、
そしてそれはオーケストレーションにも及び、
歌唱も英語からドイツ語に変更されるなど
かなりの部分で改変が行われているが
それはK.572という番号がつけられているように、
かなり本格的なものとなっている。

すでにこの編曲をする前に
後期三大交響曲や26番までのピアノ協奏曲、
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」や「フィガロの結婚」を書き上げていただけに、
この手の大曲にも臆することなく、
「怪物ヘンデルに天才モーツァルトが挑む」
の如く書き進んでいったようです。
(実際はそんなにオーバーものではありませんが)

そしてそれは原典重視がされる時代になるまで
広く愛用されていったようです。

現在では一時この版について冷遇されていたものの、
再評価されるようになりつつあり
録音もそこそこされてきているようです。

個人的な感想としては
とにかく明るいという意味では
ヘンデルとモーツァルトの共通した特徴ではあるものの、
ヘンデルとはまた違ったより劇的な響きと、
どことなく前述したモーツァルトの響きが垣間見られるところが、
特に弦楽器にみられるところがあります。

You Tubuにその一部UPされています。ここでは管楽器の変更もよくわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=lu9aeqzNLWQ&feature=fvst
http://www.youtube.com/watch?v=4Td7nYKJp6Y

そんな中で自分が聴いているのが

チャールズ・マッケラス指揮ロイヤルフィル

ヘルマン・マックス指揮ダス・クライネ・コンツェルト

このある意味両極ともいえる演奏。

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マッケラス盤は自身二度目の録音で歌唱は英語を使用。
しかも場所によっては原典によるところも多いようで、
かなり従来のヘンデル風の響きが横溢した
壮麗かつなかなか迫力と大きさを感じさせる、
昔風の大編成風のものになっている。


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これに対しマックス盤は従来のドイツ語で、
しかも極力モーツァルト版による演奏を展開しており、
マッケラスより小編成で演奏をしていることや、
ピリオド奏法を使用していることなどから、
新しいタイプのモーツァルト風の雰囲気が強い、
新鮮で小気味の良い演奏になっている。

このように演奏によっては
まるで別の版のような印象が残るものの、
どちらもとても印象に残る演奏だ。

ただどちらも従来の演奏、たとえばトゥービンやベーレンライター等に、
(とはいえ「メサイア」にはおっそろしくいろいろの版があるのだが)
そこそこ聴きなれてしまっていると、
かなり違和感でまくりのものであることは間違いない。

ただこれも馴れてくるとそんなに違和感はない。
年末向けのこの曲、
今年はこういう少し変わったものはいかが?

あとこういものもあります。
http://www.youtube.com/watch?v=yL0hZ5dVi_w

他にもヘンデルにはメンデルスゾーンが編曲した
牧歌劇「エイシスとガラテア」や
「デッティンゲン・テ・デウム」もある。

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これは編曲者がモーツァルトよりも時代が下がり、
ロマン派の作曲家ということもあり、
より大胆というか色彩的かつ迫力と輝かしさに充ちたものとなっています。
これもまた天才メンデルスゾーンの面目躍如といった、
そんな素晴らしい響きに彩られたものとなっています。

あと余談ですが他にも

メンデルスゾーン編曲のバッハの「マタイ受難曲」
そしてシューマン編曲のバッハの「ヨハネ受難曲」

もでているとか。
いやあこれらも実演でぜひ聴いてみたいです。
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コメント 2

阿伊沢萬

この版最近気に入ってます。できればウィーンフィルで聴いてみたいぞ。Dionysusroomさま、xml_xslさま、nice!ありがとうございました。
by 阿伊沢萬 (2011-12-26 02:20) 

阿伊沢萬

ヤムスターファさま

この版はヘンデルのそれに耳が慣れている方には些か評判がいまいちのようですが、個人的にはすでに書いてますようになかなかのお気に入りになってます。nice! ありがとうございました。
by 阿伊沢萬 (2012-01-15 15:14) 

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