SSブログ

「劒岳 点の記」雑感 [映画]

td.jpg

昨年(2009)公開された「劒岳 点の記」のDVDを購入した。

劒岳という山は自分の実家が新潟ということもあり
小さい時からよく知っていた。

その山を舞台にした小説が
同じ作者新田次郎氏の小説「八甲田山」の映画公開時に
新聞で宣伝されていたのをみたのが
この作品を知った最初だった。

だけどなぜかこの小説は気になってたけど
なぜかなかなか読むことをせず
そうこうしているうちに映画になってしまった。

で感想としてはとても好きな映画であり
静かな映画だったということ。

実話を基にしたこの作品。
原作を読んでいないのであれなのですが
静かで強い人達が
大きくかつ厳しい自然の中で
ひとつのことをやりとげるということにつきるのだろうけど、
その静かさが
より自然の厳しさを際立たせている気がしたものだった。

多少これで大けがしないの?とか
頂上に至る直前がなぜか省かれるような演出があるところ
など少し物足りない気がするけど
それでもこれは個人的にとても好きな映画となった。

とにかく次々とあらわれる風景が素晴らしい。
それらをけっこうじっくりとみせてくれるので
印象にどれもこれも残るものがある。

たしかにびっくりしたりするものはないけれど
自分のように登山経験が無いものにとっては
このどれもが強く心に留まるものがあった。

ところで当時の登山は今より遙かに厳しいたというものだったという気がする。
装備といい情報といい今よりずっと貧しい状況だったろう。
ある意味決死の覚悟で剣岳を登っていたであろうことは容易に想像ができる。

そういえばかつて上野から長岡に上越線経由の夜行普通列車があった。
この列車を利用して当時谷川岳を登った人が多かったが
谷川岳でり遭難者が多かったことからこの列車は
「親不孝列車」とよばれていた。
そんなことをこの映画をみていてふと思い出してしまった。

それにしても繰り返し言いますが自然がじつに美しい。
それは厳しさ無くして存在しない美しさなのたろうけど
ほんとうに素晴らしい美しさがある。

おそらく監督もこれらの自然をこよなく愛している方なのだろう。
ひょっとすると頂上直前のシーンがあのようにあっさりとなったのは
愛してるがゆえどうしてもその最高の瞬間が満足に映画に投影できなかった
その結果だったのかもしれない。
惰性や妥協で描くくらいならこの方がいいし
自分にも観客にも嘘をつかなくてもすむ。
それくらい自然に対して強い愛情と畏敬の念をもたれている方なのかもしれない。

劇場の大画面でみたらもっと圧倒されただろうけど
自宅のTVでも充分堪能できた「劒岳 点の記」
山以外のシーンはけっこうあっさりしているので
ラストなどあっさりしすぎていると思われるかもしれないけど
それだけにより剣岳の印象が強く残るものとなっていました。

最後に、
俳優さんもじつにいい人が揃っていました。
特にメインの二人、浅野さんと香川さんがじつによかったです。
香川さんは以前
「双頭の悪魔」というドラマで初めてみたとき
いい役者さんだなという気がしたのですが
今では押しも押されもせぬ名優になられているようです。
ここでも香川さんの宇治長次郎役はじつに見事なものでした。

とにかくほんとうにいい映画でした。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0