SSブログ

「涼宮ハルヒの弦奏」雑感+(追加) [涼宮ハルヒの雑感]

涼宮ハルヒの弦奏
フィリップ・チュウ指揮東京フィルハーモニー(4/29)
司会/白石稔、松元恵
作曲・解説/神前暁
編曲/岩崎文紀、松尾早人、浜口史郎、澤口和彦

(会場)東京厚生年金会館
(開場)17:00 
(開演)18:00
(座席)2階10列52番
(曲目)
[第一部]
01/恋のみくる伝説
02/いつもの風景~激烈で華麗なる日々
03/最強パレパレード
04/非日常への誘い~悲劇のヒロイン~ビーチバカンス(VN/由良浩明)
05/好調好調~みくるのこころ~小さくても素敵な幸せ~おいおい~コミカルハッスル
06/冒険でしょでしょ?(V/平野綾)
07/ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」第一楽章より、戦争のテーマ
(休憩15分)
[第二部]
08/素直な気持ち~ある雨の日~ハルヒの想い(P/本田聖嗣)
09/ザ・ミステリアス?朝倉涼子の真実~冬の足音
10/Lost my music(V/平野綾)
11/SOS団始動~何かがおかしい
12/雪、無音、窓辺にて。(V/茅原実里)
13/のどかな商店街~ユキ登場~ピンチっぽい!~ミクル変身!そして戦闘!~大団円
14/ハレ晴レユカイ
[アンコール]
15/God knows…(V/平野綾)
(終演/20:10)


17時開場で17:20に入るも
グッズは当公演パンフレットを除いて全て売り切れ。
ホールに入ると舞台正面の壁に
ハルヒが指揮している姿の画が観客をお出迎え。

ハルヒ.jpg

が、それ以外には舞台上にPAがある以外は
ふつうのクラシックコンサートと風景は何ら変わらない。

内容はハルヒで使用された楽曲を
フルオーケストラにアレンジしたものを中心に
曲によってはゲストを迎えて演奏していくという、
よくあるクラシックオケによるポップスコンサートみたいなもの。
(もっともベートーヴェンやハイドンの頃のコンサートというと
作曲者が自作を披露する演奏会も多かったので
今日のそれは大昔のクラシックコンサートみたいなものなのかもしれません。)

ただ驚いたのはこの種の演奏会としては
オケの約80人の編成というのはかなり大型。
(大きさは14型、木管二管、TP3、TB3、HRN4、
TUBA1、P1、HRP1、打楽器5人)
ガンダムSEEDの交響組曲など50人前後での録音だったことを思うと、
演奏会とはいえその規模が大きいことがよくわかる。
このままチャイコフスキーあたりの曲を演奏してもおかしくないくらいの編成です。
([2009:5/7訂正]:ガンダムSEEDもこの日の演奏会と同規模の編成での録音でした。お詫びして訂正させていただきます。)

またドラムやエレキギター&ベースといったものがなく
ようするにこれが純然たるオーケストラコンサートであり、
これが「クラシック」と銘打つコンサートであり
この演奏会では演奏とアレンジがかなり大きくものをいう
まぎれもなく本格的演奏会だということを
開演前にここの部分でものがたっているようで
そこにちょっとその意気みたいなものを感じたものでした。

冒頭オケと指揮者登場後、長門もなぜか登場。
指揮者とちょっとしたやりとりの後
指揮のチュウが長門からもらったステッキ?で指揮。
会場の笑いを誘い、リラックスさせたところでそのまま一曲目へ。

この冒頭一曲目。これを聴いたとき
「なんて豪華で贅沢なアレンジなんだ」
と驚いてしまいました。

もういきなりボストンポップス風の
華麗で豪華で粋と三拍子揃った音楽が客席に流れ出す。
しかもオケが14型のため弦を中心にまるで音が薄くならない。
多彩な曲想がこれでもかとガンガン変化していく。
(もちろんオリジナルを活かした方がいいものはストレートにオケに転化している。)
アレンジャーとしては、これだけのフルオケを自由に使えるということで
もう使えるアイデアをすべてほうりこんだような
とにかくどれもこれも贅沢なつくりの音楽てんこ盛りとなっていました。
(ただそのためふんだんに使用された金管や小太鼓がかなり終盤こたえていたようですが…)
もっともそこには各アレンジャーが他の三人に対して
「俺が」という意識が働いてこれだけの作品を生むという、
ちょっとしたひとつの原動力となっていたのかもしれません。

指揮のチュウさんは曲が15曲もあるため
譜面台の左右にも一段低い譜面置き場をつくり
左の置き場に演奏順に譜面を積んで、
演奏するごとにそこから譜面を一曲ごと譜面台に持ってきて、
指揮が終わるとその譜面を今度は右の置き場に積んでいくということを
じつにテキパキと行っていました。

他にもいろいろと演技?などもしていたりで
とにかく大活躍のチュウさんでしたが、
それにしてもこういう演奏に慣れているとはいえ、
ほとんどが「初演」みたいな曲をじつに聴きやすく、
しかもその魅力をひきだしているのには感心しきりでした。
この人なかなかいい指揮者です。
コープランドやRシュトラウスなんかも聴いてみたいです。

オケもけっこうがんばっていて
プログラムの関係上けっこうみんなでずっぱり状態ではあったものの
最後までいい仕事をしていましたし、
弦などはむしろ後半に行けば行くほど
充実した音をだしていました。

ゲストは平野さん以外すべて一曲のみというもの。
それだけに多少各ゲストへの簡単なインタビューなどもしてほしかったけど、
そんな限られた中でも各自個性を十二分に発揮していたのはさすが。
由良さんの存在感の強いバイオリンといい
本田さんの珠を転がすようなピアノといい
本当に印象に残るものでした。

だがそんな中でたいへんだったのが平野さんと茅原さん。
ふだんのようなバンド編成と違い
フルオケの背中から押すような音圧と膨大な音の情報量に
ちょっと緊張しているように感じられました。

特にオケが鳴り捲った時に
二人の声がオケに巻き込まれかけたりしていましたが、
占めるところをしっかり占め
終始自分のペースを貫いてオケとわたりあい
みごとに歌いきったのはお二人ともさすがでした。

最後「ハレ晴レ」がインストだったのはちょっとものたりなかったし
それならもっとノリと弾けがあるアレンジで
より長尺ものにしてもよかったのではという気が最初はしていましたが、
でもこれはこれでOKと、今は思っています。

それにしても作曲の神前さんも
各曲のアレンジの妙をくりかえし絶賛していましたが
それだけに曲ごとの編曲者の名前がどこにもクレジットされてないのが残念。

最後アンコールの後
ゲスト全員と司会者で挨拶した後
平野さん茅原さんが本日の感想を述べ
観客に挨拶して無事終了…

…とならなかったんですよ、これが!

司会の白石さんと松元さんが何曲かごとに登場し曲やゲストのアナウンス、
そして神前さんが曲のこととアレンジへの感想を述べていたのですが、
この司会のお二人がちょっと心配なほどに死ぬほどかしこまっていて、
特に白石さんはふだんの良さが背広につつまれてしまったのか、
かなりたいへんそうにみえてしかたありませんでした。
それが最後にちょっとした形でボケて出てしまったのですが、
あれをギャグで切り返せなかったのが
白石さんのこの演奏会で受けていたプレッシャーをさらに感じさせられてしまいました。
ただとにもかくにも終わってしまえばノーサイド。
お二方、ほんとうにご苦労様でした。

こうして二時間ちょっとで全て終了とあいなりました。
ふだんのライブと比べるとちょっと物足りなく感じた人もいたかもしれませんが、
平野さんと茅原さんが各キャラの声や仕草をときおりみせたりして会場をたのしませたりと
「クラシック」と銘打たれた演奏会としては
自分は今回のこれを上々の出来と思っています。
とにかく自分は充分たのしめました。

それにしても繰り返しますがアレンジがよかった。
どの曲もそれこそクラシックのサマーコンサートで
アンコールとして演奏しても何等違和感のないほどのものでした。
ぜひどこかのオケでやってほしいものです。

今回はカメラが入っていましたが
このことから自分はむしろできれば
今回の曲すべてをCD化してほしいと思いました。
これらを一晩だけの夢にしておくのはあまりにも惜しい。
ぜひ一考を要してほしいものです。

因みに前半最後に演奏されたレニングラードですが、
演奏箇所は小太鼓ソロにのってフルートソロが出たところから、
音楽が高揚してテーマに上下動する音がからみついてくる前までの
戦争のテーマのだいたい三分の二くらいのところの、
これから壮絶になっていく手前まででした。
ほんとうはフルに戦争のテーマをやってほしかったものの
オケの負担と編成を考えるとあそこでいっぱいいっぱいという感じもします。
レニングラードを本格的にやるには今回多少楽器が少ないです。
一応この曲だけホルンが4人から8人に増強されてはいたのですが、
金管などは全体的にふだんの倍はないとちょっと厳しい曲ですから…。

尚、アニメがらみの新情報はありませんでした。
まあこんなところで言うものでもありませんし…。

あと個人的には
後半11の「SOS団始動~何かがおかしい」
これが生で聴けたのがなんかえらく得をしたようで、
とにかくこれが今日聴いてて一番「うれしかった」曲でした。
じっさいこの曲のテーマが鳴ったとき、
ちょっと会場の雰囲気が変わったといいますか、
「あっ、これこれ」というような感じをあちこちから受けました。
けっこうそういう人が自分以外にも多かったかも?…です。

最後に、この日とてもびっくりというか感心したのが、
この日の観客のマナーがしっかりしていたこと。
たしかに慣れてないことからくる
ぎこちない反応もたまにはありましたが、
正直通常のクラシック演奏会の聴衆より、
しっかりしている部分すらあったくらいです。

特にうれしかったのは
オーケストラが出てきたとき
場内からごく自然に拍手がおきたこと。
じつは国内オーケストラの演奏会で
演奏前の入場時に拍手が起きるというのはあまりなく、
オーケストラ側もこのことで気持ちよく演奏に入れたのではないでしょうか。

じっさい平野さんの歌の後
オーケストラのコントラバスのトップの方が、
平野さんに弓で楽器を叩くという方法で拍手をされていました。
あたりまえのことかもしれませんが、
けっこう自然にこういうことがでていたところにもそういうことを感じました。

いい観客が演奏者とともにいい演奏会をつくった。
それに立ち会えた自分もいい経験をさせていただきました。
この日の観客の皆様にもあらためて感謝です。

以上です。
長文におつきあいいただき、ありがとうございました。


(追加)

今回の曲すべてをCD化してほしいと思いました。
これらを一晩だけの夢にしておくのはあまりにも惜しい。
ぜひ一考を要してほしいものです。

…と本文で書いていたらCDが発売になりました。
奏.jpg
(税込価格)¥3000 (メーカー)ランティス (CD番号)LACA-5920
CDの感想は↓です。
http://orch.blog.so-net.ne.jp/2009-06-25
nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 2

コメント 3

阿伊沢萬

nabe-tさま、「直chan」さま

個人的にはなかなか面白い演奏会でしたし、
これだけのアニメだからできた
ユニークなイベントだったという気がしました。
オーケストラもアニメだからみたいなこともなく、
ちゃんとしっかり演奏をしてました。
これも真摯に聴いてくれていた聴衆あればこそなのでしょう。
そういう意味でもとても嬉しい演奏会でした。

nice! ありがとうございました。
by 阿伊沢萬 (2009-05-01 22:29) 

nabe-t

阿伊沢様

わたくしは行ってなくて、このライヴのちゃんとした詳しいレビューってのを探したんけども、いまいちなかったんで、このレビューとても良かったです。
おおかた反応の良い、フルオケ版「みんみんミラクル…」聞きて~。あと生ヴァイオリンの「雪、無音、窓辺にて」…って、CD出るみたいすね…。できればDVもさぁ…

また涼宮さん関連で寄らせていただくと思いますんで、その時はよろしくです。
by nabe-t (2009-05-06 00:50) 

阿伊沢萬

nabe-tさま

おそらく声優関係のレポートは、各ファンサイトが書かれることになるのでは?ということで、ここでは通常のクラシック演奏会と同じような書き方のレポートとさせていただきました。

フルオケ版「みんみんミラクル…」は作曲の神前さんも絶賛と絶句の両方を交ぜた?ような評価をされていました。これはぜひCDに入れてほしいですね。DVDもカメラを入れていたくらいですから、こちらは発売するならぜひバックステージも含めてのコンプリート版にしてほしいです。できれば白石さんの緊張ぶりも含めて。

書き込みいただきありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
by 阿伊沢萬 (2009-05-07 18:24) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0