YASUAKI SHIMIZU/CELLO SUITES [音楽]
YASUAKI SHIMIZU & SAXOPHONETTES
による
バッハの無伴奏チェロ組曲。
かつて1996年にその1番から3番
そして1999年にその4番から6番までを録音したセッションを
一組にまとめたアルバムが出た。
(VICP-63779~80)
正直たまに音楽におけるジャンル分けというものが
ひどく邪魔というかうっとおしくなることがある。
このアルバムもそのひとつ。
なんといいますか
サックスでやるバッハとはなんと不謹慎!
と眉をひそめるかたもいらっしゃるかもしれない。
たしかにカザルスあたりのそれと比べれば
別世界の演奏といえるだろう。
だが別世界ということは
ようするにそういう通常のものと比較対照することなどかなわない。
ここには素晴らしい音楽というものがあるだけ、
と言い切れることもまた可能というものだろう。
それにしてもなんと詩的というか
不思議なほど響きの静寂と清澄を感じさせられる演奏だろう。
しかもバッハより以前の時代を想起させられるような趣すらここには感じられる。
これまたバッハを冒涜しているといわれるかもしれないが、
ひょっとしたらバッハがこの曲を書きながら
本来思い浮かべていた過去の時代へのオマージュというものを、
この演奏は忠実に再現しているのではないかと、
そんなふうにさえかんじさせられるものがあった。
たしかにこれをバッハではないと言うのは簡単でしょうが
これもまたバッハと言えることもたしかだと思います。
ありとあらゆる環境下で録音されたこれらバッハの全6曲。
そしてそれらがひとつの世界で共鳴しているようなこの演奏。
音楽、じつにいろいろあります。
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