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ハルヒのクラシック追加編+1 [涼宮ハルヒのクラシック]

ここで少なからず追加を…。

「射手座の日」の冒頭に使用された音楽。
これはラヴェルの「ダフニスとクロエ」の中の一部分で
第三部(第二組曲)の「夜明け」に当たる部分が使用されています。

この曲は過去四十年以上
アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団という
超大名盤がいまだ金字塔として絶大な地位を保っている。
録音こそ最新のものではないが
その千変万化する究極の音楽細工的な音の響きと陰影や色彩は
もはや神がかりといってもいいとおもいます。

そのためこの曲がかかった瞬間自分などは
そこで使用されている演奏がなんであれ条件反射的に
その演奏しか頭に響いてきませんでした。
とんでもないことかもしれないがこれは正直な話です。

それにしてもなぜこの曲が使用されたのか?
こだわりのアニメなのでなんらかの理由があるはずでずが
なかなかそこのところは読み解けないものがあります。
海賊に誘拐されたクロエと再会するダフニスが
その直前に祭壇の前で眠っているシーンでかかる曲ですが はたして…。

続くショスタコーヴィチとチャイコフスキー
ここで使用された演奏がゲルギエフとムラヴィンスキーであるという前提で話します。
(ほぼ間違いないはずですが、前科もちは断言は許されない…)

じつはゲルギエフ指揮のショスタコーヴィチのレニングラード
特にゲームシーンで使用された「戦争のテーマ」の演奏は
他のいろいろな演奏に比べると
やや早めの演奏でしかもかなり明確に小太鼓を叩かせた演奏になっています。
じつは他のこの曲の演奏ではもっとゆっくり叩いたり、他の楽器の音に埋没気味になっていたり
粘るような表情をつけたり、テンポをかなり揺らしたりという演奏があるのですが
ゲルギエフのそれは明快かつ粘らず
気持ち他の多くの演奏に比べ早めに運んでいるのが特長で
颯爽としたある意味の格好よさを兼ね備えた演奏となっています。
小太鼓もリズミカルに軽く明確に刻まれ最後跳ね上げるような
じつに小気味よいリズムが際立っているように感じられますがどうでしょう。
これが画面のゲームのそれとうまく合うことになってもいるようです。

因みにこのゲームで使用された「戦争のテーマ」は
この交響曲第一楽章の中間に使用されていますが
ここでゲルギエフとそれ以外の何人かの指揮者による演奏の

①第一楽章全体と
②小太鼓のリズムにのって弦のビィツィカートが「戦争のテーマ」を奏ではじめてから
その小太鼓が音楽が大きく盛り上がったところでリズムを刻むのを止めるところまでの

それぞれの時間を参考までに記しておきたいと思います。(多少の誤差あり)

◎トスカニーニ指揮NBC交響楽団       ①28:48 ②11:29
◎ムラヴィンスキー指揮レニングラードフィル ①26:59 ②10:43
◎ノイマン指揮チェコフィルハーモニー     ①26:37 ②10:36
◎コンドラシン指揮モスクワフルハーモニー  ①26:29 ②10:46
◎スヴェトラーノフ指揮ソビエト国立交響楽団 ①28:20 ②11:25
◎ヤンソンス指揮レニングラードフィル     ①25:54 ②10:49
◎バーンスタイン指揮シカゴ交響楽団     ①31:43 ②11:21
◎スヴェトラーノフ指揮ハーグ・レジデンティ  ①26:11 ②11:04
◎バルシャイ指揮ケルン放送交響楽団    ①26:20 ②10:39

◎ゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管弦楽団 ①27:38 ②9:54

これをみるとゲルギエフは、①の演奏時間そのものは目立ってはいないのですが
②の「戦争のテーマ」だけ、唯一10分台を切っているのが際立っており
これが上記の要素を部分的ですが時間的にも裏付けているように感じられます。

ひょっとするとこれは狙って選ばれた演奏なのかもしれません。

この演奏を受けて長門とキョンの対話から音楽はチャイコフスキーのそれとなるのですが
正直言ってムラヴィンスキーであるとは指摘されるまでまるでわかりませんでした。
ムラヴィンスキーのこの演奏は1960年の録音で
かならすじも最近のものではなく、
しかも音質もやや古く硬めの音質という印象が強く
このTVで聴かれた演奏の方が遥かに柔らかく柔軟に聴こえたものでした。
じつはムラヴィンスキーはこの時期
このチャイコフスキーの交響曲第4番を自分のレパートリーから外す直前でして
そういう意味ではあまり気乗りしなかったセッションだったのかもしれませんが
結果はいつものムラヴィンスキーらしいキビキビしたものとなっています。

ムラヴィンスキーのこの曲の演奏、特に使用された部分のそれは
いろいろな演奏ある中でもトップクラスに早いテンポで演奏されており
音のキレと跳ね上がるような勢いが素晴らしく
それがまた画面に勢いと追い込みを与えることとなっています。

ここでお気づきになったかもしれませんが
「跳ね上がる」
という共通項がここでこの両曲の演奏にあるのですが
それもそのはず
ムラヴィンスキー(1903-1988)とゲルギエフ(1953-)は歳こそちょうど五十歳違うものの
同じサンクト・ペテルブルク(旧レニングラード)を本拠地とした指揮者というだけでなく
ゲルギエフはムラヴィンスキーの門下生でもあるのです。
 (しかもゲルギエフはムラヴィンスキーに捧げる演奏会を日本でも演奏するほど
 その音楽を慕っているようです。スタイルそのものは多少の相違はありますが…)

このあたりもひょっとして師弟連結を狙っていたのかもしれませんが
はたしてこれは考えすぎで偶然の産物だったのか
とにかく油断も隙もない作品なので
あえてこのことも提示しておきたいとおもいます。

マーラーについてはすでにいろいろ書いてあるし反省しきりですのでここでは省略します。
http://blog.so-net.ne.jp/ORCH/2006-07-05

以上です。
続編についてはいろいろと飛び交っているようですがほんとうはどうなのでしょうか?
こちらの方は今後の推移を見守っていきたいとおもいます。

それにしても「射手座の日」の射手座って
ゲームだけでなくハルヒのこともいってたんですね。
おそまきながら今知りました。
まったくよく考えていますよ、この作品は。

しかしここ数日のアクセス数が尋常ではない。
何があったのだろう…?

+1=(8/15追加)

上でダフニスの演奏について「何がかかってもクリュイタンスと言ってしまう」と書きました。
そんな人間なので正直言いきりたくはないのですが
今回の涼宮で使用されたそれはどうもそのクリュイタンス盤のような気が本気でしてきました。
演奏時間、音を重ねての聴き比べ
そしてフルートソロの雰囲気やクラリネットの音など
かなりの部分でよく似ているという感じがしているのです。

ただ何度も言いますが前科もちですのではっきりとは言い切りません。
しかも極度の刷り込みがある演奏と曲ということなので、さらに…な部分もあります。
EMIからでているこの

◎アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団による1962年録音の演奏。

これも機会があったらぜひ聴いてみてください。
因みにTVでの使用場所は第三部における「夜明け」の冒頭部です。

この後「考察+推測編…」があります。
いままでの部分と多少重複している部分もありますが興味のある方はご覧ください。
ただしかなりの長文になりますのでご了承ください。
以下に続きます。↓
http://blog.so-net.ne.jp/ORCH/2006-08-15-1

----------------------------------

※(補説)
この「涼宮ハルヒのクラシック」は全部で5項目からなっています。
読みやすいようにすべて上から順番に並び替えてありますので
このままスクロールしても次の項目に行けますが
http://blog.so-net.ne.jp/ORCH/archive/c5362149
をクリックしていただくと、その五つのみ順番にみることも出来ます。


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