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アニメの中のクラシック2 (EVAとハルヒ) [アニメと音楽]

以前
「アニメの中のクラシック」
というタイトルでひとくさりやったことがある。
http://blog.so-net.ne.jp/ORCH/2006-04-30

これはあのハルヒでクラシックが使用される前のもので
今みてみると、いいタイミングで書いてあったという気がしました。
今回はこのハルヒ放送の後の雑感ということですすめてみたいと思います。

クラシックを多用して話題になったアニメとしてはEVAがあります。
これはもう誰もがご存知のとおりでして
「第九」「メサイア」そして「パッヘルベルのカノン」なども使用されました。
だいたいは作品の後半以降、もしくは劇場版でではありますが。

ハルヒでもやはり使用されたのは放送後半ではありましたし
EVAと似た感覚を感じさせるということで
見ている方としてはそんなに違和感も驚きもなく
「以前EVAでもめがっさやってたなあ」くらいの感じだったと思います。
ただよく考えてみると
使用動機というか使い方は若干違いがやはりあるようです。

EVAの場合はどちらかというと雰囲気というか感覚
もしくは装飾として使用されていたというかんじがじつは個人的にはしています。
「この場面ではこういう音楽を使用してみよう
全体ストーリーとしてもあっているし雰囲気的にも作品のそれに沿っている」
という考えがベースになって使用された、というかんじにです。

別にこれは悪いことでも何でもありませんし
よくそこに感覚的に閃いた、という驚きの方が今でも強くあります。
ただ時間が経っていくとなんというのでしょうか
クラシックを使用するということでこのアニメにクラシックのもつイメージ
つまり「高尚」「深遠」「精神性」という
いわゆる今までのアニメとはちょっと異質とおもわれるものを混ぜ
一般層にも注目させる
もしくはこのアニメは「高尚かつ深遠」な精神性がじつはあるのだということを感じさせ
クラシックというもののもつ一種の「ブランド」を利用したという
そんな部分を感じさせるものが個人的にあったことも事実でして
それはかつて読んだ
ジャズにブロックコードを持ち込んだ人が
カレッジコンサートで熱狂的に受けた理由として
今までのジャズになかった「何か高尚なもの」がそこに感じられたことに
多くの若者が熱狂したことがあるという一文に相通じるものがある
そんなものともまたダブったこともあり
かなり複雑な気分になったものでした。

ところが今回のハルヒはたしかにEVA同様クラシックを持ち込んだものの
そこにはそのクラシックのもつ特性だけでなく
その持っているいくつかの部分に「こだわった」という
そんな印象を強くもちました。

例えばショスタコーヴィチのレニングラードを使用のときも
それをシリアスに使用せず
現実におけるゲーム音と、仮想世界内における原曲とを絶妙につなげるという
ほとんど作曲者が聴いたらのけぞってしまうような使用をしているところなど
「高尚」や「精神性」などすっとばした
この曲のもつリズムと戦闘描写(実際には単純な描写ではないのですが)の面にこだわった
そんなつくりとなっていますし、
最終回でのマーラーの8番はその歌詞とストーリーとの合致に
これまたこだわったつくりとなっています。

また使用されたどの曲も演奏時間が30分を遥かに超える
交響楽団使用による大曲のみ使用されていたり
無理にこじつければ、
どの曲も「スラブ」というものと結びついてくるという共通項があったりと
このあたりにもこだわりがあるような気がします。

もともとこのアニメはハルヒのひたすら「おもしろいこと」へのこだわりから発生した
というより、そのために集められたキャラがそのために創られた?世界で
ただただ「おもしろいこと」にこだわったためにつくられていったストーリーということを思うと
音楽の使い方にせよ、バンド演奏の描写にせよ、長門の使用したパソコン描写にせよ
こだわったつくりに彩られているのはあたりまえといえるのかもしれません。

EVAが確立した
クラシックがアニメにとって「高尚」や「精神性」というものへの装飾品というものから
ハルヒは
「こだわり」への手段として手のこんだ使い方が可能な食材のひとつであることをも証明した
そんな感じが今はしています。

それにしてもEVA放送終了の約十年後にはじまったハルヒ。
この二つの作品が十年という時間をまたいで
アニメにおけるクラシックのそれをいかに面白くしてくれたことか。
まあ、これを苦々しく思われている方もいらっしゃるとは思いますが
このことがクラシックという古いスタイルの音楽がなぜ何百年も聴きつがれてきたか
その一端を垣間見れたような気がしたものでしたし
クラシックとアニメのもつ特性の一部がこのことによって際立ったところもあり
とにかくいろいろと面白いことに遭遇できた事柄でもありました。

ただ次のそれまでまた十年というのはちょっと勘弁でして
もうすこしいろいろとやっていただきたいというのが本音です。

もっとも濫作濫造的実験だけはあれですが…。

(追伸)
それにしてもネットによってもたらされる情報はほんとうにありがたいものが多いです。
おかげでハルヒで使用されたクラシックの演奏者もいろいろとわかりました。

そういえばだいぶ前ですが「ルパン三世カリオストロの城」で
クラリスと伯爵の結婚式に使用されたオルガン曲を尋ねたら

◎JSバッハの「パストラーレ」ヘ長調BWV590の第3曲

というふうに教えてもらったことがあります。
おかげでその曲だけでなく
BWV590のオリジナル全4曲をその後知ることができましたし
今ではその全4曲がお気に入りとなっています。
便利な時代になったものです。


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